人類が知りつくせないほどの種類があるきのこ。その一部をご紹介します。
【きのこアルバム】キツネタケ
暦の上では「処暑」を迎えたものの、まだまだ厳しい暑さが続いていますね。
これから9月にかけて、少しずつではあるものの秋の気配も感じられるようになるでしょう。また、処暑は暑さが和らぎ、穀物が実り始める時期とも言われています。
さて、これから迎える“実りの秋”。私たち人間にとってだけではなく、動物や鳥、虫たちにとっても美味しい自然の恵みを味わえる嬉しい季節です。
そこで今回は、ちょうど今の時期に観察できる動物の名前がついたユニークなきのこ「キツネタケ」をご紹介します。
キツネタケは、漢字では「狐茸」と書き、傘の大きさは3~6㎝と小型のきのこ。
ピンク色から淡い赤みを帯びたオレンジ色をしており、細かな鱗状の模様を帯びることもあります。柄は傘と同じオレンジ色で繊維状になっており、高さは5~10㎝程。
ほぼ世界的に生息が確認されており、夏~秋にかけて林などでよく見つけることができます。
同じように「キツネ」がつくきのことして、過去のきのこアルバムでも「シロキツネノサカズキモドキ」と「キツネノエフデ」を取り上げましたので、ここで改めてご紹介しましょう。


「キツネタケ」を含む上記2つのきのこもまた「キツネ」という名前が付く由来はわかっていませんが、どれも赤みの強い美しい色をしていることから、キツネの特徴的な毛皮の色からその名がついたのか、はたまた、稲荷神などにもあるように、キツネという動物が日本において特別な存在だったからなのか…その正確な由来は今や誰にもわかりません。
ほかにも動物の名前がついているきのこは、きのこらぼで取り上げたことのあるものだけでも、イヌセンボンタケやコフキサルノコシカケ、アカヤマドリなどなど。きのこ界には、動物の名前がついた数多くユニークなきのこが存在しています。中には、アシボソノボリリュウタケなど、架空の動物の名前をつけたきのこも。命名した人の思いを想像するのも、きのこ観察の面白さの一つかもしれませんね♪
さて、このキツネタケ、実は、昨今のきのこ研究に大きく役立っていることをご存知でしょうか?
キツネタケの仲間である「オオキツネタケ」は生きている樹木と共生しているきのこで、専門的には“外生菌根菌(がいせいきんこんきん)”と呼ばれています。同じく外生菌根菌の仲間には、マツタケやポルチーニ、トリュフといった希少な高級きのこが挙げられ、どれも人工的に栽培することは難しいと言われています。

そんな「オオキツネタケ」ですが、2008年にそのDNA配列が研究により解明され、今では同じ菌根菌であるマツタケの人工栽培研究に試験材料として活用されているのです。つまり、「オオキツネタケ」が、マツタケやポルチーニ、トリュフなどの高級きのこの人工栽培を成功させる足がかりとなっており、いずれそれらが日常的に食卓に並ぶのも夢ではないかも?!ということ。
そう考えると、このきのこの偉大さを感じずにはいられませんね。
さて、これから始まる本格的な秋。
芸術の秋、読書の秋、スポーツの秋…そして、やっぱり食欲の秋!美味しい秋の実りに心から感謝しながら、この秋も健康に豊かな時間をきのこと共に過ごしていきましょう♪
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≪出典≫
今関六也・大谷吉雄・本郷次雄 編(2011)増補改訂新版 山渓カラー名鑑 日本のきのこ.山と渓谷社,東京
「こんなきのこを見つけた!」という情報がありましたら是非きのこらぼに教えてください♪きのこ発見!情報を送る
◆◇◆キツネタケ◆◇◆
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