成長期はエネルギー消費が爆発的!「動く・育つ」をダブルで支える食事術
2026.10.19
秋本番の過ごしやすい気候が続き、子ども達にとっては外遊びにぴったりの季節となりましたね。外で元気に走ったり、夢中になってスポーツを楽しんだりする姿が増える一方で、成長期の子ども達の中には、膝やふくらはぎ、すねなどの痛みに悩んだり、ご飯はしっかり食べているのに何だか疲れているといった姿に気が付くこともあるかもしれません。
成長のタイミングやスピードはお子さんによって様々ですが、成長期の子どもは、活動をするエネルギーの他に、骨や筋肉といった身体そのものを成長させるエネルギーも必要です。よく動き、よく成長する時期だからこそ、日々活動するエネルギーに加えて、成長期の身体に必要な栄養を摂れる食事を意識することが大切です。
そこで今回は、成長期の子どもの身体の変化や、元気に身体を動かし成長するための食事のポイントについてご紹介します。日々の成長と食事のつながりについて知ることで、より一層秋を楽しんでいきましょう。
INDEX
- 成長期の子どもが感じる身体の変化
- 子どもはエネルギー消費量が多い?!その理由とは
- 身体づくりの基本はしっかり食べること!
- 目安は「活動量」と「食事量」のバランス
- 成長期の身体づくりを支える「きのこ」のチカラ
- <Let’s Eat!>スポーツの秋を満喫!子どもの成長期を応援するきのこレシピ
成長期の子どもが感じる身体の変化

成長期の子どもが感じる身体の変化の一つに「成長痛」があります。成長痛とは3~12歳ごろの子どもに多く見られる成長に伴う身体の痛みのことで、主に膝の周り、ふくらはぎ、すね、太ももなど下肢に痛みが現れます。成長痛の特徴としては、夕方から夜間にかけて痛むということがあります1)。
子どもの身体の痛みは様々な原因があるため、子どもの脚の痛みを「成長期だから」「運動したから」と一つの理由だけで決めつけるのではなく、痛みを感じる時間帯や、どのようなときに、どこが痛むのかを気にしたうえで判断をすることが大切です。成長痛であれば特別な運動の制限をする必要はないため普段通りに過ごし、運動のし過ぎであれば身体を休め、関節や筋肉を労わるケアをしましょう。痛みが強い、赤みや腫れがある、歩き方がいつもと違う、同じ場所の痛みが続くといった場合には、自己判断や無理をせず、医療機関などに相談しましょう。
子どもはエネルギー消費量が多い?!その理由とは
脚の痛みに気を配るとともに、もう一つ注意しておきたいのが成長期ならではの身体の変化です。成長期の子どもの身体は、身長が伸びたり、骨や筋肉などの発達が続いたりしています。一方でスポーツや外遊びでは、走る、跳ぶ、蹴る、投げるなどの様々な動作の中で大量のエネルギーを消費しています。つまり、身体の「成長」と「活動」が同時期に起こっているため、大人よりもエネルギーや栄養素が消費されやすいのです2) 。
そんな「成長」と「活動」に必要なエネルギーは、毎日の食事が源になっています。そのため、日々の成長と活動量の両方に見合った量や質の食事となっているかを見直すことが大切です。食べていても体重が増えない、元気が出ないと感じた場合は、エネルギー不足や栄養不足になっている可能性もあります。運動の機会が増える秋だからこそ、栄養不足にならないようより一層注意していきましょう。

身体づくりの基本はしっかり食べること!
成長期の子どもの食事を考えるうえでは、栄養バランスといった「質」に加えて「量」も重要です。食べる量そのものが少なければ、身体を動かしたり成長したりするために必要なエネルギー源や栄養素を十分に摂ることができません。1日3食しっかり食べることを基本として、その上で必要な栄養素を摂ることを意識していきましょう。そこで、成長期の子どもが特に意識して摂り入れたい栄養素と、身体での働きについてご紹介します。
・成長に必要な“エネルギー”となる「三大栄養素」
元気に動ける身体を作るためにはエネルギーが欠かせませんが、そのエネルギー源となるのが、三大栄養素と呼ばれる糖質・脂質・たんぱく質です。糖質はごはんやパン、麺類、脂質は油やバター、マヨネーズ、たんぱく質は肉や魚、卵、大豆製品に多く含まれています。中でも「糖質」はエネルギーに変換されやすいため、ごはんやパン、麺類などの主食をしっかりと食べることが大切です。
まずは1日3回の食事が基本ですが、お子さんの体質によっては、一度の食事でたくさん食べられるとは限りません。遊びや運動でたくさん身体を動かした日や、習い事などで食事までの時間が空いてしまう日には、補食としておにぎりやパン、果物、乳製品などを取り入れ、1日全体で必要な量を確保する意識を持ち、子どもの食欲や生活リズムに合わせて「いつ食べるか」にも目を向けましょう。
・成長の土台!“身体”をつくる「たんぱく質」
たんぱく質はエネルギーだけでなく、筋肉や皮膚、骨など身体を構成するさまざまな組織の材料になります。前章でもご紹介したように、成長期は現状の身体を維持するだけでなく、身長や体格の変化とともに筋肉や骨などが発達していく時期でもあります。
たんぱく質というと筋肉づくりに目が向きがちですが、子どもの日々の成長そのものを支える栄養素という意識をもって継続して摂っていきましょう。
・糖質・脂質・たんぱく質の代謝を促す「ビタミンB群」
エネルギーや筋肉などをつくるためには三大栄養素が欠かせませんが、実はこれらだけを摂っていても体内でうまく利用されません。食事から摂った糖質・脂質・たんぱく質を効率よく利用するためには、ビタミンB1やB2、ナイアシン(ビタミンB3)、ビタミンB6などのエネルギー代謝に関わるビタミンB群をあわせて摂ることも大切です。3) ビタミンB1は豚肉や豆類、ビタミンB2はレバーや納豆、ナイアシンは鶏肉やカツオ、ビタミンB6はマグロやカツオなどに豊富に含まれていますが、きのこはこれらのビタミンB群をまとめて摂れる食材です。エネルギー補給や成長期の身体づくりのためにも、三大栄養素と合わせてビタミンB群の豊富な食材を積極的に摂り入れましょう。
・成長期の土台となる“骨・筋肉”をつくる「カルシウム」・「ビタミンD」
成長期は、骨そのものが大きく発達する時期でもあります。骨をつくるうえで欠かせない栄養素の一つに、乳製品や小魚に豊富なカルシウムがありますが、カルシウムと合わせて知っておきたいのがビタミンDです。ビタミンDはカルシウムの腸での吸収を助け、骨の健康を保つのに欠かせないだけではなく、筋肉の働きや身体を動かす働きにも関わっています)。成長期かつ日々の活動量の多い子どもにとって重要なビタミンDですが、人の身体では紫外線を浴びることで体内でも作られます。しかし、近年は「日焼け止め」などの日焼け対策が加速しているため、皮膚が直接日光に当たる時間が少なくなることで、体内で作られにくくなっているため、ビタミンD不足に陥りやすい傾向にあります。また、ビタミンDを豊富に含むのはきのこや魚類などの特定の食材に限られるため、日々の食事から積極的にビタミンDを含む食材をとるよう心掛けていきましょう4)。
成長期の食事は「たくさん食べる」だけでも、「特定の栄養素をとる」だけでもなく、個人に合わせた必要な量と必要な栄養素をバランスよく摂り入れることが大切です。お子さんの悩みや目標に合わせて食事を調整し、成長を見守っていきましょう。

目安は「活動量」と「食事量」のバランス
子どもの食事を考える時に「野菜を食べたかな」「たんぱく質はとれたかな」と食べた物に注目しがちですが、活動量が多い成長期には、「その日の過ごし方に見合う量や食材を食べられたか」という視点も大切になります。
成長のスピードや体格、食欲、身体を動かす量は一人ひとり違ううえ、日ごとでもスポーツや外遊びでいつも以上に身体を動かした日、練習などで食事の時間が遅くなった日、疲れて食欲が落ちている日など、必要な食事の量や補い方が変化していきます。そのため、お子さんのその日一日の様子を振り返ることと、最近の体調や顔色などを注意深く観察することが補食や食事の量を考えるうえで大切です。
食事をしっかり食べられているかを見守りながら、充分な睡眠や休養も心掛けて、健やかな成長につなげていきましょう。
成長期の身体づくりを支える「きのこ」のチカラ
前章でご紹介したようにエネルギー補給や身体づくり、骨づくりに欠かせないビタミンB1やビタミンB2、ナイアシン、ビタミンB6といったビタミンB群やビタミンDなどの栄養が豊富に含まれている食材が「きのこ」です。
特にきのこには、様々なビタミンB群がまんべんなく含まれているため、三大栄養素を効率よく代謝するのに役立ちます。

また、きのこは栄養が豊富なだけではなく、味にクセがないことから和・洋・中どんな料理の味付けにも合うため、お子さんの好みに合わせて、いつもの食事にプラスするだけで栄養のバランスが整いやすくなります。
他にも、エリンギを食べやすい大きさに割いたり、ブナシメジやマイタケを手でほぐしたりする調理工程を子どもにお手伝いしてもらうのもおすすめです。どの年代の子どもも参加しやすいうえ、自分の身体をつくる「食」への興味関心を高めるきっかけにもなります。
身体の成長や、身体を動かすことの楽しさと合わせて、食の大切さを学ぶ一歩として日々の食卓にきのこを取り入れてみてはいかがでしょうか。
<Let’s Eat!>スポーツの秋を満喫!子どもの成長期を応援するきのこレシピ
<厳選レシピ>
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たっぷりきのこのチーズ風味パスタ
4種類のきのこをたっぷり使った、きのこのうま味とチーズのコクが楽しめるパスタです。パスタに含まれる糖質は、スポーツや外遊びで身体を動かすための大切なエネルギー源。きのこに含まれるビタミンB1やB2、ナイアシンなどのビタミンB群は、食事からとった糖質や脂質を身体の中でエネルギーに変える働きを助けます。よく動く成長期の子どもに、主食をしっかり食べてもいたい時にもおすすめの一品です。
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きのこと豚肉のスタミナ補給ごはん
きのこと豚肉のうま味に、しょうがと大葉が香る、食欲をそそる混ぜごはんです。ごはんの糖質でエネルギーを補いながら、豚肉のたんぱく質を摂ることは、成長期の身体づくりに欠かせません。さらに、きのこに含まれるビタミンB6は、たんぱく質を身体の中で利用し、筋肉などの細胞をつくる手助けをする栄養素。きのこのうま味と食感で冷めても美味しく食べられるため、小さなおにぎりにすれば、スポーツの練習後や夕食まで時間が空く日の補食にもぴったりです。
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きのこと鮭のとろーり煮
秋に旬を迎える鮭ときのこを、牛乳と味噌でまろやかに仕上げた一品です。牛乳に含まれるカルシウムは、成長期の骨づくりに欠かせない栄養素。きのこの中でも特にマイタケに豊富なビタミンDは、カルシウムの吸収を助け骨の健康を支えます。また、ビタミンDは筋肉の働きにも関わるため、元気に身体を動かす子どもの健康をサポートします。きのこのうま味が溶け込んだ、とろみのあるやさしい味わいで、鮭やブロッコリーなどバランス良く食べられる一品です。
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きのこと根菜のタルタルサラダ
さつまいもの自然な甘みと卵のまろやかなコクに、きのこや長芋の食感が楽しい、彩り豊かなタルタルサラダです。きのこに含まれる食物繊維は、腸内環境を整える働きがあるうえ、根菜と組み合わせることで、さまざまな種類の食物繊維をとることができます。また、卵に含まれるたんぱく質は、成長期の身体づくりに必要な栄養素。旬の食材を楽しみながら、普段の食卓に一品加えたいときにもおすすめです。
(参考文献)
【引用・参考文献】
1)O’Keeffe M, Kamper SJ, Montgomery L, et al. Defining Growing Pains: A Scoping Review. Pediatrics., 150(2), 2022.
2)厚生労働省.日本人の食事摂取基準(2025年版).第一出版,2025.
3)文部科学省.日本食品標準成分表(八訂)増補2023年.
https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/mext_00001.html
(閲覧日:2026年9月22日)
4)厚生労働省eJIM.ビタミンD[サプリメント・ビタミン・ミネラル―医療者].
https://www.ejim.mhlw.go.jp/pro/overseas/c03/17.html
(閲覧日:2026年9月22日)
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松本大学人間健康学部健康栄養学科専任講師
兵庫大学を卒業後、管理栄養士免許を取得し、運動と栄養の両面から研究する運動栄養学を大阪体育大学大学院で学ぶ。大学院卒業後は、スポーツクラブアクトス、チームニッポン・マルチサポート事業(栄養)で健康づくりの運動指導やトップアスリート栄養サポートに従事して現職に就く。現在は、運動栄養学の教育・研究とともに、県内・外のアスリートの栄養サポートを行う。
【資格】
管理栄養士、日本スポーツ協会公認スポーツ栄養士、修士(スポーツ科学)



