冷たいものがおいしく感じる夏。“巡り”を整え元気を支えるツボをピックアップ!
2025.08.25
うだるような暑さが続く8月。キンキンに冷えた飲み物やアイスクリーム、そうめんなど、冷たいものに手が伸びがちな方も多いのではないでしょうか。
その一方で、「食欲がない」「胃がもたれる」「なんとなく身体がだるい」といった夏バテのような症状に悩まされている方もいらっしゃることと思います。もしかしたら、それは冷たいものの摂り過ぎで胃腸が内側から冷えて弱っているサインかもしれません。
そこで今回は、夏に起こりやすい胃や腸の不調の原因や、弱った胃腸の働きを助けてくれるセルフケアのツボをご紹介します。また、胃腸ケアに役立つ食事のポイントもご紹介しますので、残りの夏を楽しむための参考にぜひご覧ください。
INDEX
なぜ夏は胃腸が弱るの?冷えが招く「脾(ひ)」の不調

東洋医学では、食べ物を消化吸収し、エネルギーである「気(き)」や栄養である「血(けつ)」に変えて全身に運ぶ働きを「脾(ひ)」が担っていると考えます。現代でいう「胃腸」の機能と近く、元気の源となる大切な場所です。
夏は、冷房の効いた室内で過ごすことが増えたり、冷たい食べ物や飲み物を摂ったりするため、脾が直接的に冷やされてしまいます。さらに、屋外の高温多湿の気候、いわゆる「湿邪(しつじゃ)」も、脾の働きを低下させる一因となります。
また、脾の働きが低下すると消化吸収がうまくいかず、水分代謝も悪くなります。その結果、食欲不振や胃もたれ、下痢といった胃腸症状のほか、全身の倦怠感やむくみなど、夏バテ特有の不調があらわれるのです。
知らず知らずのうちに身体が冷えてしまうこの時期は、胃腸の働きを整えることが大切です。
夏の胃腸疲れに!働きを助ける効果的なツボ4選
8月のツボ1. 中脘(ちゅうかん)

<ツボの位置>
へその中心から上に親指4本分のところにあります。
<中脘とは>
「脘(かん)」は胃を意味し、「中脘」はまさしく胃の真ん中に位置するツボです。任脈(にんみゃく)という身体の中心を通る経絡にあり、古くから消化器系の不調に広く使われてきました。胃の働きを直接的に高めて消化を助け、胸やけや胃もたれを緩和する働きがあります。消化吸収の働きが上がるため、夏バテで落ち込みがちな食欲を取り戻すのにも役立ちます。
満腹時を避け、人差し指や中指の腹で優しく押しましょう。1日3回、息を吐きながら3秒ほど軽く押すのを繰り返してみてください。
8月のツボ2. 合谷(ごうこく)

<ツボの位置>
手の甲側で、親指と人差し指の交点から、やや人差し指寄り、親指と人差し指の付け根の間あたりにあります。
<合谷とは>
知名度が高いツボで、幅広い効果から万能のツボとして知られています。身体のエネルギーの気や血の巡りを司る「大腸経(だいちょうけい)」に属しており、胃腸の調子を整えるのに効果的です。また、全身の痛みを和らげる作用に優れ、頭痛や歯痛、全身の痛みなどにも力を発揮します。さらに、精神面を安定させる働きも期待できます。
親指で骨のキワに押し込むように、少し強めに刺激するのがおすすめです。
8月のツボ3. 手三里(てさんり)

<ツボの位置>
肘を直角に曲げたときにできる、腕のシワの外側部分から、手首に向かって指3本分進んだところにあります。
<手三里とは>
合谷と同じく大腸経に属するツボで、名前の通り手にあります。「里」には集まる、整えるといった意味があり、胃腸の働きを整える作用に優れています。
栄養がきちんと吸収されるよう胃腸の働きをサポートしてくれるため、特に、食欲不振や消化不良の時におすすめです。また、大腸と深く繋がっているため、下痢や便秘といったお通じの悩みを抱えている時にも役立ちます。腕にあるため、仕事の合間などにも気軽に押しやすいのが嬉しいポイントです。
8月のツボ4. 天枢(てんすう)

<ツボの位置>
へその中心から、左右それぞれに親指の幅2本分外側にある左右対称のツボです。
<天枢とは>
「枢」は物事の要を意味し、天枢は上半身と下半身を分けるとされる重要なツボです。胃経(いけい)上のツボで、身体の内部で胃や脾を通るため、腸の不調に優れた効果を発揮します。
特に冷えや暴飲食による下痢の時におすすめで、腸の動きを正常な状態へと整えてくれます。指で押すのはもちろん、お灸や使い捨てカイロなどで温めるのも効果的です。
今回ご紹介した4つのツボの他にも、6月にご紹介した「足三里」や「陰陵泉」も胃腸ケアに効果的ですので、ぜひお試しください。
【6月の記事はこちら】
ツボと合わせて実践!夏の胃腸ケアはきのこの栄養を味方に!
ツボ押しという身体の外側からのケアと合わせて、食事による内側からのケアを取り入れると、夏バテ対策はさらに万全になります。そこでおすすめしたいのが「きのこ」です。
外の暑さや冷房などによる冷えで疲れがちな胃腸の中でも、腸は「健康の要」と言われるほど大切な器官です。きのこに豊富な「食物繊維」は、善玉菌のエサとなって腸内環境を整えるのに優れています。腸には自律神経も多く集まるため、心の状態にも影響すると言われ、腸をケアすることは夏の気だるさやイライラを和らげるのにも繋がります。
また、きのこに含まれるビタミンB群は、夏冷え対策の強い味方です。糖質をエネルギーに変えるビタミンB1は体内で熱を作る働きがあるため、身体を内側から温めるのに役立ちます。さらに、血行を良くするビタミンB3(ナイアシン)は、手足の末端まで温かさを届けてくるため、冷えにくい身体づくりをサポートします。
まだまだ暑さの厳しい日が続いていますが、夏こそおいしく感じる冷たい食べ物を楽しむためにも胃腸ケアに役立つツボ押しや食事で元気な身体をつくっていきましょう。
参考文献
症状改善!ツボ大全.布施雅夫監修.成美堂出版.2024
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