夏の元気に。こもりがちな熱を取り除くツボをピックアップ
2025.07.21
夏本番が始まり、楽しみな予定を立てている方も多いかもしれません。一方で、連日の暑さから「なんだか身体がだるい」「食欲がない」といった不調を感じる方も多いのではないでしょうか。
原因は、身体の中にこもった「熱」かもしれません。東洋医学では、身体に溜まった余分な熱を上手に逃がすことが、夏を元気に過ごす秘訣とされています。
そこで今回は、身体にこもった熱を取り除くメカニズムと、改善に役立つ4つのツボをご紹介します。また、暑さ対策をサポートする食事のポイントも合わせてご紹介しますので、夏を乗り切る参考にぜひご覧ください。
INDEX
なぜ梅雨明けは不調に?身体に熱がこもるメカニズム

東洋医学では、私たちの身体に影響を与える外部からの要因を「邪気」と呼んでいます。梅雨から夏にかけては、ジメジメとした湿気の「湿邪(しつじゃ)」と、太陽の強い日差しによる「暑邪(しょじゃ)」が多くなる季節です。
湿邪によって身体の内部の水分代謝が悪くなり、むくみやだるさを感じやすくなります。そこへ暑邪が加わると、こもった熱がうまく発散できない状態になってしまいます。こもった熱は上へ上へと向かう性質があるため、のぼせ、ほてり、頭重感、イライラといった顔や頭の症状として現れやすくなるのです。その他にも、夏に感じやすい全身の倦怠感や食欲不振、寝苦しさなども、こもった熱が原因の一つになっています。
つらい夏の不調を乗り切るためには、身体にこもった余分な熱を上手に外へ出してあげることが大切です。
夏の不調対策に!熱を逃がす効果的なツボ4選
7月のツボ1. 前谷(ぜんこく)

<ツボの位置>
小指の付け根の関節の外側、指先寄りのくぼんだところ。手を軽く握ったときにできる、シワの端あたりです。
<前谷とは>
前谷は、「手の太陽小腸経」に属するツボです。身体にこもった熱を外に放熱するツボで、クールダウンさせてくれる効果が期待できます。屋外での活動後や、室内にいても身体に熱っぽさを感じるようなときに、このツボを刺激してみましょう。
じんわりとほどよい刺激を感じる程度の強さで、5秒ほどかけてゆっくり押して離す、を数回繰り返してみてください。
7月のツボ2. 委中(いちゅう)

<ツボの位置>
膝の裏の横ジワの中央、大腿二頭筋と半腱様筋の中間あたりです。
<委中とは>
委中は「足の太陽膀胱経」に属するツボで、全身の熱や痛みを和らげる効果があるため「万能ツボ」の一つとして知られています。
委中は、身体を冷ましたいときにも温めたいときにも役立つツボです。夏場に身体に熱がこもっているときには熱を冷ますように働き、逆に冬場に身体が冷えているときには温めるように作用すると言われています。また、ぎっくり腰の特効穴としても有名です。指でゆっくりと刺激するほか、軽いストレッチで膝裏を伸ばしてあげるのも良いでしょう。
7月のツボ3. 陽谷(ようこく)

<ツボの位置>
手の甲側、小指のラインと手首が交差するあたりのくぼみです。
<陽谷とは>
陽谷は「手の太陽小腸経」に属するツボで、手首の血行を促進し、身体の内部の熱を外に放散する働きがあります。暑さによる動悸やめまいといった上半身の不調に効果的とされています。熱中症のサインである、顔のほてりや気分の悪さといった、熱中症の初期症状を感じたときにも役立ちます。
デスクワークの合間などにも手軽に押せるツボなので、覚えておくと便利です。ゆっくりと呼吸をしながら、心地よい圧で刺激してみてください。
7月のツボ4. 通里(つうり)

<ツボの位置>
手の平側、小指側の手首の一番太いシワから肘に向かって親指1本分のところにあるのが通里です。
<通里とは>
通里は「手の少陰心経」という、心臓や精神活動と深く関わる経絡に属するツボです。
熱を放散させる作用に加え、精神を安定させる効果が期待できるのが大きな特徴です。暑さで頭がぼーっとして判断力が鈍っているときにおすすめです。また、動悸や不安感、ストレスを感じたときにも、このツボを優しく押してあげることで、高ぶった神経が落ち着きやすくなります。気持ちよいと感じる程度の強さで、ゆっくり押したり離したりを繰り返しましょう。
夏の暑さ対策にはきのこ!不調対策&においケアにも役立つ栄養素とは

夏の暑さは、気がつかないうちに身体に大きな負担をかけています。ツボ押しに加えて、日々の食事からもしっかりとケアをしていきましょう。そこでおすすめの食材が「きのこ」です。
きのこには、糖質の代謝を助けてエネルギー産生を促し、エネルギーチャージや夏バテによる疲れの回復をサポートするビタミンB1が豊富に含まれています。また、きのこに豊富な食物繊維は、夏場に乱れがちな消化機能を助けたり、免疫細胞の集まる腸を整えたりするため、夏の体調管理に役立ちます。
他にも、食物繊維は体内の老廃物の排出を促す働きがあるため汗をかきやすく、身体のにおいが気になるこの時期にピッタリです。さらに、きのこに含まれるアミノ酸の一種オルニチンはにおいの原因となるアンモニアの代謝を助ける働きがあるため効果を後押しします。
加えて、きのこは火の通りがよく、電子レンジでも簡単に調理ができるため、暑さで料理が億劫な時にもおすすめの食材です。
きゅうりやトマト、ゴーヤなど、水分が豊富で身体の熱を冷ます効果のある旬の夏野菜と合わせて美味しく夏を乗り切る身体づくりをしましょう。
参考文献
症状改善!ツボ大全.布施雅夫監修.成美堂出版.2024
m’s鍼灸院|ツボ紹介