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ライフアップコラム

5月を元気で過ごすには?「肝気鬱結(かんきうっけつ)」を改善するツボをピックアップ

2025.05.26
5月を元気で過ごすには?「肝気鬱結(かんきうっけつ)」を改善するツボをピックアップ

初夏の風が心地良く過ごしやすい日が続いている一方、新生活やゴールデンウィークの疲れが出やすい時期。「なんだか気分が晴れない」「イライラしやすい」「やる気が出ない」といった不調を感じている方も多いかもしれません。
これらは一般的に「五月病」とも呼ばれる症状ですが、中医学的に見るとストレスや緊張によって「肝(かん)」の働きが滞る「肝気鬱結(かんきうっけつ)」の状態が原因といわれています。
前回の記事では春にケアしたい「肝」についてお伝えしましたが、今回はその働きが滞る「肝気鬱結」に焦点を当て、改善に役立つツボをご紹介します。
【前回の記事はこちら】

ストレスケアに役立つツボ押しや食事で心と身体の巡りを整え、初夏の過ごしやすいこの時期も健やかに過ごしていきましょう。

INDEX

ストレス・緊張が続くと「肝気鬱結(かんきうっけつ)」状態を招く

前回の記事でもご紹介したように、中医学における「肝(かん)」は、全身の「気(き)」(エネルギー)の流れをスムーズにして精神状態を安定させたり、「血(けつ)」を貯蔵して必要に応じて全身に巡らせたりする重要な役割を担っています。

一方、私たちは気づかぬうちに仕事や人間関係などさまざまな要因からストレスや緊張を感じています。リラックスする時間が十分に取れなかったり、溜まった感情をうまく発散できなかったりする状態が続くと、「肝」が持つ「気を巡らせる」働きが滞ってしまい、「肝気鬱結(かんきうっけつ)」と呼ばれる状態になります。

肝気鬱結になると、心と身体の両面にさまざまな不調があらわれやすくなります。精神的な不調としてあらわれるのが「イライラしやすくなる」「気分が落ち込む」「やる気が出ない」などです。また、身体的な不調としては、「肩や首の頑固なコリ」「原因のはっきりしない頭痛」「食欲不振」「寝つきが悪い・眠りが浅いといった睡眠障害」などがあらわれることがあります。

肝気鬱結を改善するツボとは?5月の不調は膻中(だんちゅう)と天柱(てんちゅう)で改善しよう!

5月のツボ1. 膻中(だんちゅう)

<ツボの位置>
身体の左右中心で、乳頭と同じ高さにある第4肋間(肋骨と肋骨の間)と同じ高さ、胸骨体上にあるのが、膻中です。

<膻中とは>
不安を和らげたりイライラを抑えたりするなど、気持ちをコントロールするツボです。胸腹部の正中線(真ん中)を通る「任脈(にんみゃく)」上のツボで、気の巡りを調整します。中指を立て、息を吐きながら押し込みましょう。できれば、仰向けで寝そべって押しましょう。

膻中は「気」が集中するため、万能ツボとも言われています。乗り物酔いにも効果的ですので、お悩みの方は試してみてください。

5月のツボ2. 天柱(てんちゅう)

<ツボの位置>
後頭部の髪の生え際、2本の太い筋肉に挟まれた「ぼんのくぼ」と呼ばれる中央の凹みの左右親指幅1本外側にずれたところにあるのが、天柱です。

<天柱とは>
身体の内部で膀胱や腎を通る「膀胱経(ぼうこうけい)」上のツボで、あらゆる疲労に効果を発揮します。膀胱経は最もツボが多く、内臓全般の治療に使われています。気持ちが良いと感じる程度の強さで、ゆっくり「押す」「離す」「押す」を繰り返しましょう。6秒間に5回程度が目安です。

頭部や肩のコリ、眼精疲労を解消して、顔色を良くしてくれます。

5月のツボ3. 神門(しんもん)

<ツボの位置>
手首の内側、小指寄りのくぼみにあるのが神門です。豆状骨の下の際で薬指の真下線上になります。

<神門とは>
身体の内部で心や小腸を通る「心経(しんけい)」上のツボで、心臓の症状や精神神経系統の病気に効果的と言われています。ほどよい刺激を感じる程度の強さで、6秒間、5回程度ゆっくり押して、ゆっくり離すのを繰り返しましょう。

リラックスを促しながら自律神経を整え、感覚を正常にするように働きます。気が集まり、自然治癒力を高めると言われている「原穴」の一つで、自分でも押しやすいツボです。

5月のツボ4. 内関(ないかん)

<ツボの位置>
手首の横じわの中央からひじに向かって親指幅2本分のところにあるのが、内関です。

<内関とは>
身体の深部で心を包む心包、臓器と臓器のすき間と言われる三焦を通る「心包経(しんぽうけい)」上のツボで、動悸、息切れ、胃痛、嘔吐、不眠などを改善すると言われています。お腹でゆっくり呼吸をしてツボを押しながら、吐く息を意識するようにしましょう。

不安や心配、緊張を取り除きたいときに押すと、副交感神経が優位になりリラックスできます。神門と同じく気の集まる原穴の一つで、自分でも押しやすいのが特徴です。

ストレスケアには食物繊維を豊富に含むきのこもおすすめ!

ストレスケアにはツボ押しと合わせて食事からのアプローチも大切です。
中でも菌類であるきのこは、野菜類よりも多くの食物繊維を含み、「第二の脳」とも呼ばれ、自律神経の多く集まる腸の環境を整えるのに役立ちます。また、腸内環境が整うと、気分の安定に関わるセロトニンなどの神経伝達物質の働きが良くなるため、気持ちを落ち着かせる効果も期待できます。
さらに、きのこには疲労回復を助けるビタミンB1、神経保護に関わるビタミンD、ストレス緩和に役立つGABAなども豊富です。また、この時期旬の「新じゃがいも」や「ピーマン」には、ストレス軽減や免疫力向上に役立つビタミンCが豊富に含まれているため、合わせて摂ることで心身の不調ケアを後押しします。

日常の中でツボ押しをとりいれたり、ストレスケアに役立つきのこや旬の食材を日々の食事に積極的に取り入れたりしながら、心身のバランスを整えて健やかに過ごしていきましょう。

参考文献
症状改善!ツボ大全.布施雅夫監修.成美堂出版.2024.