人類が知りつくせないほどの種類があるきのこ。その一部をご紹介します。
【きのこアルバム】クチベニタケ
寒さが残りつつも、徐々に暖かい日が増えるこの時期。お店には旬を迎えた春野菜や春物の衣類・コスメが並んでおり、さまざまなところから春の訪れを感じますね。そこで今回は、「口紅」を名前に持つ個性的なきのこ「クチベニタケ」をご紹介します。
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クチベニタケは、日本各地や台湾でのみ発生するきのこ。日本では比較的よく見かけるきのこですが、他の国では発生例がなく、世界的に珍しいきのことされています。
そのことはクチベニタケの学名にも表れており、学名「Calostoma japonicum」は「Calostoma」=「美しい口」、「japonicum」=「日本の」という意味があり、日本でよく見つかっていることが伺えます。
クチベニタケは夏から秋にかけて、広葉樹の茂った山中の土の上や、湿度の高い谷川沿いの崖などに発生するきのこ。発生する環境の条件は少々限定的ですが、これらの条件がそろった場所であれば、クチベニタケは群れになって発生したり、少し離れて点々と発生したりしています。
また、クチベニタケはスーパーなどでよく見かける「傘」を持つきのことは違い、ほぼ球体状の「頭部」と、「菌糸足」という細長い多数の菌糸が束になったゼラチン質の「偽柄」からなるきのこです。「偽柄」と表現されるのは、一般的なきのこが持つ「柄」とは形状が異なることや、通常は地中に隠れて見えないことなどが理由と考えられます。
全体の高さは2~3cm程度ときのこの中でも比較的小さめ。頭頂部にある鮮紅色の「星状に裂けた孔」が特徴的で、この部分が口紅を塗った唇のように見えることが名前の由来といわれています。
クチベニタケの「頭部」の表面は粉状またはひび割れしたような状態になっており、淡い黄土色をしています。成熟すると頭部の内部に“白い粉塊”をみることができますが、これは胞子の塊であり、内部で胞子が熟した状態になると、頭頂部の孔が開き、まるで煙のように白い胞子が放出されます。
余談ですが、“頭頂部から胞子を放出する”という特徴は、以前きのこアルバムの中でご紹介した「ホコリタケ」にもみることができます。しかし、クチベニタケとホコリタケは別の種類に属しているため、同じような生態を持つところが不思議ですね。
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春の気温は「三寒四温」といわれるように、寒暖差が大きいのも特徴です。気温や生活環境など何かと変化の大きな時期ですが、日々の生活から健康な身体を維持し、“始まりの季節”である春を楽しんでいきましょう♪
【出典】
・今関六也・大谷吉雄・本郷次雄 編(2011)「増補改訂新版 山渓カラー名鑑 日本のきのこ」株式会社 山と渓谷社,東京
・前川二太郎 編著(2021)「スタンダード版 新分類 きのこ図鑑」株式会社 北隆館,東京
・本郷次雄 監修(1999)山渓フィールドブックス⑩「きのこ」株式会社 山と渓谷社,東京
・今関六也・本郷次雄 編(1989)「原色日本新菌類図鑑(Ⅰ・Ⅱ)」株式会社 保育社,大阪
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