【きのこアルバム】マルミノヒガサタケ

夏本番の気候となり、本格的に暑い日々が続いていますね。疲れや不調は上手にケアしながら、夏を楽しんでいきましょう♪
そこで今回は、夏場の必須アイテム「日傘」を名前に持つきのこ「マルミノヒガサタケ」をご紹介します！

マルミノヒガサタケは、日本国内では本州や四国地方に、また外国では韓国などを中心に分布するきのこ。夏から秋にかけて、林の中の腐植土や朽ちた木の上に発生します。

傘は丸みのある山形をしており、傘の直径は2～6cm、柄は5～15cm程度になる、きのこの中でも比較的小さい種類になります。

また、漢字では「丸実日傘茸」と書きます。名前の由来は明確にはされていませんが、名前に「マルミノ（丸実）」がつくきのこは一般的に「胞子の形が丸い」ものが多いそうで、胞子が丸く、かつ、夏の太陽の下で立つ姿が日傘のように見えた・・のでしょうか、なんとも想像力を掻き立てられる名前のきのこです。

また、マルミノヒガサタケの傘表面は白色をしており、中央部に向かってやや紅褐色を帯びていきます。紅褐色を帯びはじめるくらいから、傘表面に暗褐色で綿毛状の小さな鱗片が点々と現れ、中心部分ではその鱗片が密集し、色の濃さが増します。

一方、柄は中空（中が空洞）になっており、上半分は白色をしていますが、下半分は紅褐色で細かい綿のようなものに覆われています。また根元には“つぼ”と呼ばれる膨らみも観察できます。

ちなみに、今回の写真のマルミノヒガサタケは、観葉植物の脇から発生しているものを撮影したもの。おそらく、園芸用の腐植土の中にマルミノヒガサタケの菌糸が混ざっていて、温度や湿度、栄養分など条件が合ったために発生したと考えられます。

余談ですが、マルミノヒガサタケは、非常に似ているきのことして「ミイノヒガサタケ」や「ナカグロヒガサタケ」というきのこがあります。今回は最後に、その違いをご紹介します。

◆マルミノヒガサタケと「ミイノヒガサタケ」
→“胞子”で区別。つまり、顕微鏡がない限り肉眼では判断が難しいのです・・。
・マルミノヒガサタケ：胞子が広卵形～類球形 サイズ : 8µm×6.5µm程度
・ミイノヒガサタケ：胞子が楕円形～卵形　　 サイズ : 10µm×7µm程度
マルミノヒガサタケの方がどちらかというと丸っぽい形をしていて、サイズも少し小さめです。

◆マルミノヒガサタケと「ナカグロヒガサタケ」
→“鱗片の様子”で区別。こちらは肉眼でも判断が可能です！
・マルミノヒガサタケ：傘の中心に向かって暗褐色で綿毛状の小鱗片に覆われる
・ナカグロヒガサタケ：傘表面が全体的に黒色の小鱗片に覆われる

なお、マルミノヒガサタケの食毒は不明とされていますので、道端や植木鉢の中などで発見した際には、観察して楽しむようにしてくださいね♪

【出典】
・今関六也・大谷吉雄・本郷次雄　編（2011）「増補改訂新版　山渓カラー名鑑　日本のきのこ」株式会社 山と渓谷社，東京
・前川二太郎　編著　（2021）「スタンダード版　新分類　きのこ図鑑」株式会社 北隆館，東京
・本郷次雄　監修　（1999）山渓フィールドブックス⑩「きのこ」株式会社　山と渓谷社,　東京
・今関六也・本郷次雄　編（1989）「原色日本新菌類図鑑（Ⅰ）」株式会社　保育社,　大阪

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◆◇◆マルミノヒガサタケ◆◇◆

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