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きのこで解明!ドクター’s クエスチョン supported by 雨宮病院

きのこで丈夫な骨づくり!きのこと骨密度の関係を検証!

2021.12.01
きのこで丈夫な骨づくり!きのこと骨密度の関係を検証!

12月は一年で最も日照時間が短くなる月。丈夫な骨づくりに欠かせない栄養素のうち、「ビタミンD」は紫外線を浴びることで皮膚で合成される栄養素ですが、日照時間が短くなるこの時期は不足しがちに。つまり、この時期はビタミンD不足や骨の健康への意識が大切です。今回は、そんな体内のビタミンDや、骨の状態「骨密度」がきのこの摂取によってどのように変化するかを調査しました。

試験DATA

◆試験期間:2021年4月14日~2021年10月15日(6か月)
◆被験者数:50~60代の女性 合計6名
◆試験方法:血液検査(血中25(OH)D濃度)、骨密度測定DXA法(大腿、腰椎)
◆食べたきのこの種類と量:エリンギ、まいたけ、ブナシメジ 1日合計約100g

検証結果

血中ビタミンD(25(OH)D)濃度の変化

血中ビタミンD(25(OH)D)濃度の変化

きのこを6か月間摂取した前後で血中ビタミンD(25(OH))濃度を測定したところ、きのこ摂取群、コントロール群共に数値の改善がみられました。

骨密度の変化

前屈の記録の変化
前屈の記録の変化

きのこを6か月間摂取した前後で大腿部・腰部の骨密度を測定したところ、きのこ摂取群では大腿部で1名、腰椎で1名、それぞれ数値の改善がみられました。しかし、コントロール群においてはすべての被験者において数値の低下がみられました。

総評

まず血中ビタミンD(25(OH)D)濃度はすべての被験者で数値の改善がみられました。これは試験期間中が夏季であったため日光の照射による血中ビタミンD合成が進んだことや、新型コロナウイルスワクチンの普及により外出の機会が相対的に増えたことが大きな原因と考えられます。
一方、骨密度についてはきのこ摂取群で1名ずつ数値の改善がみられ、きのこに含まれるビタミンDが作用した可能性や、きのこはうま味が豊富なため、減塩につながった可能性があります。塩分を過剰摂取すると体内では余分なナトリウムを排出するよう機能しますが、その際にカルシウムの排出も促進されるため、減塩は骨の健康にも欠かせません。また、きのこに豊富な食物繊維により腸内環境が整い、骨形成に重要なタンパク質やビタミン、ミネラルの吸収が高まったことも関係している可能性があります。
コントロール群においてすべての被験者で数値が低下したように、高齢になるにつれ骨密度は緩やかに低下するのが一般的ですが、その数値が一部被験者で改善したことは興味深く、今後は被験者の食事内容・食べ合わせなどにも注目しながら、きのこを摂取することによる骨への影響を検証することで、きのこと骨形成の関係をより明確にできると思います。

profile

池田 正典(いけだ まさのり)

群馬大学医学部 卒業 / 日本整形外科学会 所属
医療法人雨宮病院 副院長
当院 大腿骨頚部骨折センター 副センター長

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