「冷え」の改善にも効果的!普段から意識したい「美腸」
女性が抱える身体の悩みの定番といえば“冷え”と“便秘”。一見関係なさそうにも思えますが、実はこの2つには密接な関係がありました。「便秘が解消されて腸内がきれいになることは、冷えの解消にも効果があります」と瀧本先生。今週のトレンドコラムでは、きのこを取り入れた食事で生み出した熱で身体を温めたら、ぜひ取り入れたい保温についてご紹介していますが、「きのこで菌活」では、「冷え」改善のための「美腸のすすめ」についてのお話です。
—————— 教えてくれたひと ——————
瀧本靖子 (管理栄養士 国際中医師)
体調不良を薬膳で治した経験から中医学のおもしろさに魅了され、中医学・薬膳の世界へ。現在は、飲食店の薬膳メニューの監修やセミナー講師を務める一方で、薬膳教室を主宰し、薬膳料理を教えている。西洋栄養学と薬膳を融合させた理論と料理作りが得意。
きのこは、冷え症にも体温が低い方にもよい最強の“対冷え食材”
—— 編集部:前回のコラムでは、中医学の観点からもきのこは『冷えの改善』に欠かせない食材というお話を伺いましたが、栄養学の観点からも、きのこは冷えに効果的なのでしょうか?
—— 瀧 本:そうですね。いろいろな効果が期待できます。例えば、冷えには「便秘」など腸のトラブルも影響するってご存知でしょうか。
—— 編集部:いいえ。便秘と冷えにつながりがあるのですか?
—— 瀧 本:はい、そうなんです。実は、便秘と冷えに共通するポイントが自律神経です。便秘で悩んでいる方というのは往々にしてストレスがたまっている方が多く、便通がよくなることでイライラが収まり、自律神経が整っていくといわれています。自律神経は体温調整や血管の調整も担っているので、おのずと血行が良くなり、代謝も上がって身体が温まっていくというわけです。
—— 編集部:へえ! 便秘の解消が冷えの改善に効果的だとは思いませんでした。
—— 瀧 本:そこで、役立つのがきのこに含まれる食物繊維です。食物繊維は腸内にたまった“ごみ”を絡め取り、また腸壁を刺激することで排便を促し、腸内をきれいに掃除してくれるので便秘の解消に役立ちます。また、腸内の環境が整うということは「腸が正常に機能している」ということ。つまりは、胃で消化した飲食物をきちんと栄養物に変えることができているということです。栄養物に変える時に熱が産生されますから、体温が低い方にも効果があるんです。
—— 編集部:きのこは、冷え症にも低体温にもいいんですね!
—— 瀧 本:きのこの対冷え効果はそれだけではありません!低体温を引き起こす原因のひとつに「ビタミンB群の不足」があるのですが、きのこには、ビタミンB群が豊富に含まれているんです。
—— 編集部:ビタミンB群が不足すると、なぜ低体温に陥ってしまうのでしょうか?
—— 瀧 本:低体温というのは身体の体温が低いということ――つまり、自力で温まることができない状態のことをいいます。きのこに含まれるビタミンB群は、B1、B2、B6などが挙げられるのですが、B1は糖質の代謝や分解、B2は脂質の代謝、B6はタンパク質の分解や代謝を高める働きがあります。つまり、きのこを食べることで体内で効率的にエネルギーを生み出すことができるようになるのです。
—— 編集部:身体の中で食べ物を“燃やす”ことで、熱を生み出すということですね。
—— 瀧 本:そのとおりです。あとは体内に余分な水分がたまっている、いわゆるむくんでいる状態も血行を悪くしてしまうのですが、むくみの解消によいとされるカリウムもきのこには豊富に含まれています。
—— 編集部:きのこに含まれるいろいろな栄養素が、冷え症や低体温に総合的に働きかけてくれるんですね!
美腸による”冷え対策”。具体的な方法とは?
—— 編集部:先ほど「美腸」を心がけることで冷え症や低体温が改善されると伺いましたが、美腸をつくるきのこで菌活の効果を、もっと高める具体的な方法があれば教えてください。
—— 瀧 本:腸を活性化させるという意味では適度な水分をとるということもおすすめですね。特に、寝起きに飲む1杯の水は効果的です。
—— 編集部:「起きがけに水を飲むと健康にいい」といったことはよく聞きますが、これはどういった理由からなのでしょうか?
—— 瀧 本:水を飲むことで腸が動き出すので、便秘の改善につながるんです。水分をとることで血液もさらさらになりますから、血行もよくなるんですよ。
—— 編集部:水ではない、ほかの飲み物ではだめですか?
—— 瀧 本:空腹時にコーヒーやお茶を飲むと胃に負担をかけてしまうので、やはり刺激の少ない水がいいでしょうね。温度はお好みでいいかなと思います。冷水、常温、白湯など、ご自身の身体に一番合ったものを選んでください。
—— 編集部:きのこで菌活に寝起きの1杯の水、さっそく明日から始めてみます!
—— 瀧 本:ぜひ。食物繊維をたっぷり含むきのこや、味噌や納豆、ヨーグルトなどの発酵食品を積極的にとると、腸の働きを活性化させ、副交感神経を上げて自律神経を整え便秘などの不調も改善させながら、総合的に腸内環境を整えていくことができますよ。また、私は朝と晩に食物繊維がたっぷり摂れるサラダやスープを食べるようにしています。
—— 編集部:まさに菌活ですね! それは、腸の活性化が目的ですよね?
—— 瀧 本:そうですね。朝は、お水を飲んで腸を動かして、そこからきのこや野菜たっぷりのサラダやスープを食べてからタンパク質を含む朝食を摂ります。私には、この方法が良いようで腸の動きがよくなり、便秘の解消にもなっていると実感しています。
—— 編集部:そのような”美腸”をつくる生活習慣が、冷えとりの第一歩なのですね!
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