研究員の研究日誌

エルゴチオネインと認知機能

2021.11.02
エルゴチオネインと認知機能

こんにちは。ホクト㈱開発研究課の森です。私が持っているのは誰でしょう?アンチエイジング成分として注目度急上昇中のエルゴチオネインさんです。
前回の私の研究日誌に引き続き、今日もエルゴチオネインさんのすごいところを紹介したいと思います。

前回エルゴチオネインの抗酸化作用を紹介した研究日誌はこちら

エルゴチオネインは、活性酸素による脳へのダメージを防ぎ、認知症のリスクを低下させるのではないかと考えられています。近年、その効果を期待させる研究論文が次々と報告されています。

今年の9月に発表された、沖縄科学技術大学院大学 柳田教授の研究グループの論文では、認知症患者と健常高齢者の血液成分の中で、量に違いが見られる成分を調べています。その結果、認知症患者の血液には、エルゴチオネインが少なかったそうです(1)。もしかしたら、エルゴチオネインを含むきのこをたくさん食べて、体内のエルゴチオネイン量を多く保つことが、認知症リスクの低減に繋がるかも知れません。
また、あるシンガポールの研究論文では、きのこを食べる頻度が週に2回以上の人は、週1回以下の人に比べ、軽度記憶障害になるリスクが低いという結果を報告していて、その効果がエルゴチオネインによるものではないかと述べています(2)。

今年、エルゴチオネインを関与成分とする、記憶力を維持する機能を表示した機能性表示食品も誕生しています。この機能性表示食品の科学的根拠として、1報の臨床試験論文が使われています。論文によると、エルゴチオネイン5mgを含むサプリメントを毎日12週間摂取した結果、被験者の認知機能項目のうち言語記憶力と単純注意力の上昇が見られたそうです(3)。

これらの報告を合わせて考えると、エルゴチオネインは認知症リスクの低減に効果がありそうだと思えるのですが、どのくらい食べれば、どれほどの効果が得られるか、未だはっきりと言えるようなデータが少ないことが課題だと思います。私は分からないならたくさん食べるしかない!と思い、エルゴチオネインを多く含むきのこを積極的に食べるようにしています。きのこは低カロリーで食物繊維がたっぷり。ダイエットのお供にも最適で、多めに食べても太る心配はないと思います。そして、エルゴチオネイン自体を摂取し過ぎることによる副作用は、今までのところ何も報告されていません。実はこれも、エルゴチオネインのすごいところです。

ちなみに、現在販売されている機能性表示食品のサプリメント1日分で摂取できるエルゴチオネイン5mgは、ヒラタケだと1/10株くらい、約10gで摂取可能です。

10gは、たったこれだけ?もっと食べさせてよー!ってレベルですよね。私のおススメ、ヒラタケカレーなら、1食で50gくらいは余裕で食べることができます。
ところで、昨日妻が作ってくれたカレーには野菜ときのこしか入ってなくて少しがっかり・・。「今日はお肉入ってないんだね。」と言うと、妻は「きのこ入ってるでしょ!」と一言。きのこは肉ではないと思う・・。もしかしたら、きのこは肉の代替になり得るか?という深いテーマを投げかけてくれたのかな??そんな訳ないか。

ホクト株式会社 開発研究課 森 光一郎(薬学博士)

【参考文献】
(1)Teruya T. et al., Whole-blood metabolomics of dementia patient reveal classes of disease-linked metabolites. PNAS, 118(37), e2022857118, 2021.
(2)Feng L. et al., he Association between Mushroom Consumption and Mild Cognitive Impairment: A Community-Based Cross-Sectional Study in Singapore. Journal of Alzheimer‘s Disease, 68, 197-203, 2019.
(3)渡邉 憲和 他, 健常者および軽度認知障碍者に対するエルゴチオネイン含有食品の認知機能改善効果, 薬理と治療. 48(4), 685-697, 2020.

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