研究員の研究日誌

腸活には食物繊維~きのこで菌活~

2021.04.19
腸活には食物繊維~きのこで菌活~

はじめまして。ホクト開発研究課の川井です。研究員日誌、第2回は「腸活には食物繊維~きのこで菌活~」ということで、この日誌を見ている方の健康、特に腸活を意識されている方の健康のお役に立つような情報に加えて、私の仕事内容や思っていることもお伝えします。

私はきのこの健康効果を調べる仕事をしています。“きのこは身体に良い”と言われているけれど、何が?どう良いの?その疑問にお答えすることが仕事です。そして今、その疑問の答えの1つとして私は、きのこが身体に良いのは“きのこの食物繊維が腸内環境に良いから”だと思っています。

最近、腸内環境が人の健康に大きく影響していることが分かってきています。驚くことに、生活習慣病1)だけでなく、運動機能2, 3)や感染症4, 5)、メンタルヘルス6)にも影響していることが分かってきています。

人の腸内には100~1000種の腸内細菌が10~40兆個いると言われています7, 8)(人の細胞は37兆個なので、人によっては細胞よりも多い!)。重さにして0.2~1.5 kgにもなるそうです。腸内細菌は人が食べたもので消化しきれなかったものを食べています。つまり、人が消化できない食べ物の残り(=食物繊維)が大腸まで届いて、腸内細菌のエサになります。エサとなった食物繊維は、腸内細菌によって別の物質(短鎖脂肪酸やアミノ酸、ビタミンなど)に変化し、人の健康に影響します。

人の腸内環境は腸内細菌の種類によってタイプ分けされています。この腸内細菌のタイプはエンテロタイプと呼ばれ、バクテロイデス型(バクテロイデス属を主体にする型:脂肪やタンパク質をよく食べる人に多い)、プレボテラ型(プレボテラ属が多い型:糖質や食物繊維をよく食べる人に多い)とルミノコッカス型(ルミノコッカス属が多い型:バクテロイデス型とプレボテラ型の中間型)があります。しかしながら当たり前ですが、同じタイプの人でも食べるものが異なれば、腸内細菌が作る代謝物も変わり、健康への影響も変わります。腸内環境にとって食べているものの影響はとても大きいものなのです。

つまり、食べているものに気をつければ腸内環境は改善することができます。腸内環境を改善するための食品として、プロバイオティクスとプレバイオティクスが知られています。プロバイオティクスとは有益な生きた微生物を含む食品、例えば乳酸菌やビフィズス菌を含むヨーグルトなどです。一方で、プレバイオティクスとは有益な微生物のエサになる食物繊維やオリゴ糖などを含む食品の事です。近年、この腸内細菌のエサになるプレバイオティクス(食物繊維)の重要性が注目されています。

では、腸内細菌にエサである食物繊維を与えないとどうなるのか?動物で実験した結果があります。なんと、食物繊維が不足すると腸の感染症への防御システムが崩れることが報告されています4)。食物繊維をエサにしている腸内細菌は、エサとなる食物繊維が不足すると、腸の粘膜をエサにして、腸内細菌が腸の粘膜を食べてしまうことで、腸のバリア機能が低下し、細菌に感染しやすくなると考えられています。このように、健全な腸内環境の維持には、腸内細菌のエサとなる食物繊維を摂ることがとても重要ということです。

きのこは繊維がたっぷり!

そこで、おススメしたいのがきのこです!きのこは低カロリーでありながら、食物繊維が豊富で、ビタミンやミネラルもたっぷり含まれている優秀な腸活食材です。最後に私どもの研究の話をさせて下さい。これまでに、きのこを与えたマウスの腸内で善玉菌が増えることが分かっています9)。そして、一番気になるところは人でどうなるか?だと思います。それは今まさに臨床試験の準備を進めています10)。またどこかでこの結果はご報告できればと思っています。根拠(エビデンス:安心感に繋がる事実)を皆さまにお届けできるように、私どもは日々試験しています!

参考文献

1)Turnbaugh P. J., et al., Nature, 444: 1027-1031, 2006
2)Scheiman J., et al., Nat. Med., 25: 1104-1109, 2019
3)Morita H., et al., bio Rxiv, 2020: doi: 10.1101/2020.03.04.975730
4)Desail M. S., et al., Cell, 167: 1339-1353, 2016
5)Kalantar-Zadeh K. et al., ACS Nano, 14-5179, 2020
6)Hsiao E. Y., et al., Cell, 155: 1451-1463, 2016
7)Human Microbiome Project Consortium, Nature, 486(7402): 207-214, 2012
8)Sender R., et al., Cell, 164(3): 337-340, 2016
9)Shimizu T., et al., Nutrients, 10(5): 610, 2018
10)2020年9月10日 プレスリリース

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