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研究員の研究日誌

ホクトのきのこはオリジナル!~新品種開発のお話~

2021.05.17
ホクトのきのこはオリジナル!~新品種開発のお話~

研究員の研究日誌をご覧いただきありがとうございます。開発研究課の河西めぐみです。

突然ですが、「品種」という言葉を聞いて、どんなイメージをお持ちでしょうか?
私の家族に聞いてみたところ、急に言われてもいまいちピンとこないとのこと。
―ブナシメジとエリンギの違いってこと?
―きのこって、きのこっていう種じゃないの?
―エリンギはエリンギじゃないの?

確かに、スーパーに売っているきのこには、「エリンギ」「ブナシメジ」「マイタケ」としか書いてありません。
でも実は、その中身は、野生のきのことも他生産者さんのきのことも違う、こだわりのホクトオリジナル品種なんだということを知っていただけたらなあと思い、今回はきのこの新品種開発についてお話したいと思います。

そもそも品種ってなんでしょう?
品種で食べ物を選ぶことって身近にたくさんあると思うんです。
例えば、ポテトサラダには男爵だけど、カレーにはメークインが崩れにくいよね、とか、今年は庭の畑に黄色いミニトマトを植えよう、とか。ワインのカベルネソーヴィニヨンとかピノノワールとかもブドウの品種ですよね。
同じ作物の中にもいろいろな特徴を持った品種があるんですね。好みや用途に合わせて、日常的に選んでいるのではないでしょうか。

同じように、きのこにもたくさんの品種があるんです。
当社のきのこでは、例えばブナシメジの品種としてホクト10号、11号、12号、15号、16号、17号、18号・・・と農林水産省に登録されている品種があり、現在も続々と新しい品種が生まれています。

ホクト8号菌16号菌18号菌

同じように、エリンギ、マイタケ、シイタケ・・・それぞれのきのこに、いろんな特徴を持った品種があります。
これらの品種は、美味しいきのこをお客様に食べていただきたい!という思いで、改良を長年続けてきた中で、生まれてきました。

きのこの品種改良ってどんな風にするんでしょうか?
新しい品種開発のはじまりは野生のきのこです。でも野生のきのこをそのまま大量に栽培することは難しい上に、味や見た目などにも問題点があったりします(野生のブナシメジは苦みが強かったり、野生のマイタケは傘が薄くてギザギザして触ると割れてしまったり・・・)。

このままでは販売できない!品種改良が必要!

野生のきのこの良いところを生かしつつも、ブナシメジの苦みをなくそう!マイタケの傘を肉厚にして食感良くしよう!など、味や形など様々な観点で、問題点の解決を目指します。
そこで、良い特徴を持ったきのこ同士を交配して、その子供たちの中から、
おいしいか?
食感は良いか?
揃った形か?
安定して栽培できるか?
従来品種より傷みがはやくないか?
などなど、あらゆる観点から良い品種を選んでいきます。お客様相談室に「きのこにふわふわした毛のようなものがついているのですが・・・」という質問をいただくことがあります。これは気中菌糸といってきのこの表面の細胞の一部が空気中に伸びたものですが(食べてももちろん大丈夫です!)、気中菌糸が発生しやすいかどうかも品種によって差があったりします。きのこはパックの中でも生きているので保存状態によってはどうしても発生してしまうのですが、できるだけ少なくなるように、というところも品種を選抜するポイントの一つだったりします。
自分で生み出した我が子たちは、みんな個性豊かでかわいい!けれども、商品として世の中に送り出せるか見極める私たちの目は、我ながらとっても厳しいと思います。何回も交配を繰り返し、何千株も試験しても、ボツになってしまう品種がほとんどです。
いろいろな厳しい関門を乗り越えて、何年もかけて選びに選び抜かれたトップスターの品種が、現在スーパーに並んでいるきのこなんです!

個々の品種について開発秘話を熱く語りたいところですが、長い話になってしまいますので、いつかどこかで・・・
今のところ、スーパーに並んでいるきのこを、お米や果物のように品種名で選ぶことはあまりないかもしれません。でも、どこにも書いてないけど、いろんな思いを込めて選ばれた品種がお店に並んでいるんだなあと知っていただけたら、とてもうれしいです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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