女性は誰でも注意!低下する骨密度をきのこでカバー
今週取り上げるのは、女性に多い骨粗しょう症です。一般的に女性の骨密度は18歳でピークを迎え、50歳前後から急速に低下していきます。カルシウムは骨だけでなく、美しさを印象付けるのに欠かせない歯にも直接影響し、美と健康の両面から見ても重要な栄養素なんです。今週のトレンドコラムに楽しみたい女性ならではのあったかファッションについて特集していますが、きのこで菌活では、そんなファッションも楽しめる健康な身体づくりに欠かせない、健康な骨を叶える効率的なカルシウム摂取方法について教えていただきました。
—————— 教えてくれたひと ——————
魚住理恵 (SYOKUYOJO LABO・管理栄養士)
福祉施設での治療食献立作成や専門学校等の講師、生活習慣病予防のための特定保健指導や妊産婦、乳幼児の栄養相談を経て食養生ラボを設立。食事カウンセリングのほか栄養監修、コラム執筆、食育活動など幅広く活躍し、スポーツクラブやエステサロンなどのサポートにも尽力。「カラダを変えるにはカラダを作る食事から」をコンセプトに食の大切さを幅広い世代へ向けて発信する。
カルシウムの吸収のカギは“きのこ”
—— 編集部:骨粗しょう症という名前はよく耳にしますが、その症状を引き起こす原因は何ですか?
—— 魚 住:骨粗しょう症はカルシウム不足のほか、加齢に伴う女性ホルモンの分泌量の低下によって引き起こされます。また、骨を作るのに必要なカルシウムは腸から吸収されて骨に取り込まれますが、年齢を重ねることで腸の働きが低下し、腸からのカルシウム吸収が悪くなり、骨密度の低下につながるのも理由のひとつです。
—— 編集部:最近では若い世代の女性にも骨密度の低下が指摘されていますが、それはどうしてですか。
—— 魚 住:過度なダイエットや偏食、栄養不足によるカルシウム不足、不規則な生活やストレスで女性ホルモンのバランスが崩れることが原因で起こります。
—— 編集部:骨密度を補うカルシウムは、どのように摂取するのが効果的なのでしょうか?
—— 魚 住:カルシウムは乳製品や小魚などに多く含まれているので、それらの食品を積極的に摂ることで骨粗しょう症の予防になります。しかし、じつはもともと人の身体はカルシウムの吸収率が低いんです。なので、より効率的にカルシウムを摂るには、その吸収を促進する働きを持つビタミンDと一緒に食べるのがおすすめ。きのこには多くのビタミンDが含まれているため、牛乳を使う料理と合わせるのにもってこいの食材です。
—— 編集部:きのこと乳製品は相性がいいですよね。
—— 魚 住:そうなんですよ!更にきのこはうま味や風味がありながらも味自体はシンプル。だからこそ色々な食材に合わせやすいんですよね。それに、メインの食材と組み合わせることで各々が持つ栄養素を効率的に身体に吸収しやすくしてくれる特徴があります。つまりきのこは健康食の代表食材なんです。
—— 編集部:骨粗しょう症を防ぐためには、カルシウムの摂取にだけ気を遣えばよいのでしょうか。
—— 魚 住:合わせて意識したいことはほかにもあります。例えば、糖質の摂り過ぎで血中に糖分が増えた状態が続くと、骨がもろくなりやすくなります。低カロリーのきのこはダイエットのうれしい味方ですし、血糖値の上昇を緩やかにするとともに骨の形成促進に効果のあるトレハロースを多く含むエリンギも、骨粗しょう症の予防に効果的な食材と言えますね。
—— 編集部:きのこはまさに女性の身体の屋台骨を支えてくれるのですね。
—— 魚 住:その通りです。お互いの栄養を破壊したり吸収を阻害するような“食べ合わせが悪い食材”というのがありますが、きのこに合わせてNGな食材はありません。だからこそ手軽にどの料理にも組み合わせ、毎日の食事の中で摂取しやすいのも大きな利点ではないでしょうか。
カルシウムの入り口「腸」の元気をキープ
—— 編集部:カルシウムは腸から吸収されますが、それには腸が元気に活動しているということが大前提ですよね?
—— 魚 住:そうです。腸の働きが悪いと吸収率も低下するため、まずは腸を整えておくことが栄養素を体内に取り込むためにとても重要。腸内には善玉菌と悪玉菌が存在しており、善玉菌は食物繊維をエサにするのに対し、悪玉菌は肉などのタンパク質や脂肪をエサにします。悪玉菌が増えると便秘や下痢、肌荒れをはじめ、動脈硬化や高血圧といった生活習慣病の原因になります。そこで食物繊維や菌のチカラを使った発酵食品を摂取して善玉菌を増やし、腸内環境を整える必要があるのです。
—— 編集部:では、どのような食材に食物繊維が多いのでしょうか?
—— 魚 住:食物繊維には腸を刺激して便通を促す“不溶性食物繊維”と、腸内で水に溶けて有害物質を吸着し体外へ排出する“水溶性食物繊維”の2種類があります。不溶性食物繊維はきのこ類、大豆などの豆類、ブロッコリー、ごぼうといった野菜類やサツマイモ、サトイモなどに豊富に含まれており、水溶性食物繊維を多く含むのはきのこ類、海藻類、りんごやアボカドなどです。この2種類を2:1の割合でバランスよく食べ、さらにヨーグルトやチーズ、納豆などの発酵食品で善玉菌を増やすようにするのがベストですね。きのこは水溶性、不溶性両方の食物繊維を含みますし、さまざまな栄養も豊富な菌100%でできている、菌活食材の王様です。なので、腸内環境を整えるには、きのこを食べる菌活がおすすめです。
—— 編集部:きのこなどからしっかりと食物繊維を摂って腸を整える菌活が、結果、カルシウムの吸収率アップにつながるということでしょうか。
—— 魚 住:その通りです。なので、カルシウムを豊富に含む食材を摂るだけではなく、きのこと合わせて食べることが肝心です。今の季節ならば鮭が旬ですよね。鮭は良質なタンパク質と豊富なカルシウムをもつ食材です。腸を整えるきのこと合わせれば、より健康的な料理にパワーアップしますよ。
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