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研究員の研究日誌

きのこに多い「ポリアミン」とは?健康長寿に関連する論文をご紹介!

2024.06.12
きのこに多い「ポリアミン」とは?健康長寿に関連する論文をご紹介!

こんにちは! 開発研究課の石山です。

私は日々きのこの健康効果について研究を行っており、様々な栄養成分と健康についての論文を読んだり、学会で最新の研究発表を聞いたりしています。
今回はその中で、アンチエイジングが期待されている注目の成分「ポリアミン」について、研究論文も交えながらぜひ皆様にご紹介させていただければと思います。

まずポリアミンについてですが、ポリアミンとは、いくつかの成分の総称です。その中でも特に「プトレシン」「スペルミジン」「スペルミン」というポリアミンに注目が集まっています。これらは細胞の増殖や成長に欠かせない成分であり、全身の健康維持に関わっています。

体内のポリアミンの量は加齢とともに減少するといわれていますが、ポリアミンを摂取することによりマウスや線虫などで寿命が延びることが明らかになっています。(1,2)

また、ヒトの寿命との関連も報告されています。生活習慣と健康にどんな関係があるかを調べるため、中高年者829人の20年間の死亡率を調査した疫学調査では、ポリアミンの一種であるスペルミジンを多く摂取している人では死亡率が低いという報告があります。(3)

この調査では、ポリアミン(スペルミジン)の摂取量によって人々を3つのグループに分けました。その結果、最も少ない量を摂取している人たちと最も多い量を摂取している人たちとの死亡リスクの差は、寿命に換算すると5.7年間分にもなりました。

他にも、認知機能や心血管疾患、肝臓機能など、ポリアミンが全身の健康に関わる可能性を示す研究論文があります。(4~7)

このような研究報告を見ると、健康維持のために体内のポリアミンを増やしたい! と感じる方もいらっしゃるかもしれません。

ポリアミンを作り出す力は私たちの身体にもともと備わっています。ところが、自力でポリアミンを作り出す力は年を取ると弱まっていき、高齢になるほど体内のポリアミン量が減少するといわれています。そこで、食事からポリアミンを取り入れることが重要となります。

では、どんな食品にポリアミンが多く含まれているのでしょうか。
ポリアミンはきのこや、納豆などの豆類に多いといわれています。きのこは他の野菜に比べて多くのポリアミンを含んでいて、中でも、ヒラタケにポリアミンが多く含まれています。(ホクト調べ)

きのこに含まれているポリアミンは熱や酸に強いため、加熱調理で減少してしまうことがありません。(8)一方で水に溶けやすい性質があるため、煮物の場合は汁にポリアミンが溶け出してしまいます。汁物にした際には、栄養たっぷり、うま味たっぷりの汁ごと召し上がっていただくことをオススメします!

最後までお読みいただきありがとうございました。
ぜひ、皆さまの日々の健康管理にもポリアミンたっぷりの「きのこ」を役立てていただき、健康で元気な毎日をお過ごしいただければと思います。

参考文献
(1) Soda K, et al., PLoS One., 2013, 8(5), e64357.
(2) Eisenberg T, et al., Nat Cell Biol., 2009, 11(11), 1305-14.
(3) Kiechl S,et al., Am J Clin Nutr., 2018, 108(2), 371-380.
(4) Wirth M, et al., Cortex., 2018, 109, 181-188.
(5) Eisenberg T, et al., Nat Med., 2016, 22(12), 1428-1438.
(6) Ni Y, et al., J Agric Food Chem., 2022, 70(21), 6478-6492.
(7) Fan J, et al., Oncotarget., 2017, 8(11), 17475-17490.
(8) Muñoz-Esparza NC, et al., Foods. 2021, 10(8), 1752.

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