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研究員の研究日誌

きのこで菌活・腸活! 免疫機能向上やダイエットに役立つ短鎖脂肪酸が増える!

2023.03.13
きのこで菌活・腸活! 免疫機能向上やダイエットに役立つ短鎖脂肪酸が増える!

研究日誌をご覧いただきありがとうございます。開発研究課の森です。

今回は、株式会社メタジェンとの共同研究で分かったきのこの腸活効果についてご紹介したいと思います。

この研究結果は、2023年1月9日付けでスイスの国際栄養学誌 Frontiers in Nutrition に掲載され、多くの反響をいただいています(1)。共著者のひとりである私が詳しく解説していきます!

腸内環境を良好に保つことは、全身の健康維持に重要です。腸に存在する免疫細胞の数は全身の免疫細胞の約70%を占めているため、腸内環境と免疫機能は密接に関連していると言われています。きのこはビタミンやミネラル、食物繊維が豊富で免疫機能に良い影響を与えることが以前から知られていましたが、具体的な作用メカニズムはまだよく分かっていませんでした。そこで、きのこが腸内環境を介して免疫機能に与える影響をヒトで確かめようと考え、臨床試験を行ないました。

オルニチン換算

成人80名を40名ずつ2つのグループに分け、生きのこ50gに相当するきのこ錠剤、または疑似(きのこ含まない)錠剤を4週間摂取してもらい、腸内環境を比較しました。その結果、大きく下の3点が分かりました。

①短鎖脂肪酸(酪酸、プロピオン酸)が有意に増加した。

オルニチン換算

きのこ摂取群で有意に短鎖脂肪酸(酪酸、プロピオン酸)が増加しました。短鎖脂肪酸とは、腸内細菌がエサとなる食物繊維から作り出す物質です。腸内環境を改善し、全身の健康維持に役立ちます。

特に注目すべき点は、きのこを摂取することで、腸内で最も増えた代謝物が酪酸であったということです。腸内細菌が作る酪酸は、腸内環境を正常に保つ役割や人の免疫機能を向上させることが知られています。最近の研究では、酪酸を生み出す腸内細菌が多いほど長寿になる可能性が示されています。きのこの摂取によって酪酸が増えたことで、腸内環境を通じて、きのこが健康長寿に役立つことが期待されます。

②感染症予防に重要な便中IgA抗体量の増加傾向が認められた(p = 0.0807)

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IgA抗体とは全身の粘膜に存在し、細菌やウイルスの侵入を防ぐ抗体です。感染防御に役立つことが知られています。

腸の免疫細胞は腸から全身へ移動することができます。そのため、腸管だけでなく、鼻やのどなど全身の粘膜においても、きのこ摂取によってIgA抗体が増加し、感染症の予防に役立つと考えられています。

③きのこ摂取前から酪酸やプロピオン酸が多い人ほど、便中IgA抗体の増加量が大きかった。

きのこ摂取前に短鎖脂肪酸が多い人、つまり腸内環境が良好な人ほど、きのこを食べるとIgA抗体が増えやすいことが分かりました。日頃から、腸内環境を整えておくことが重要のようです。また、きのこ摂取によってもこれら短鎖脂肪酸は増えますので、より長期的にきのこを食べることで、更にIgA抗体が増加する可能性も考えられます。

オルニチン換算

つまり、きのこを継続して食べることで腸内環境の改善、感染症予防につながることが分かりました。

さらに、短鎖脂肪酸は食欲の抑制(2)、脂肪蓄積の抑制(3)、脂肪燃焼の促進(4)などの効果が報告されていて、肥満を抑制する効果があると言われています。きのこは低カロリーでダイエットに向いた食材として知られていますが、今回の研究結果から腸内で短鎖脂肪酸が増えることでダイエット効果を発揮するメカニズムもあると考えられます。

最後に私がおすすめしたいきのこ料理を紹介します!それはお味噌汁です。私の家では必ずお味噌汁にきのこを入れます。お味噌汁は簡単に作れるため、忙しい日々でも手軽に食べることができます。ぜひ、きのこで腸内環境を整えて健康的な身体を目指してみませんか?

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最後までご覧いただき、ありがとうございました。

≪文献情報≫
1. Nishimoto Y., et al., Dietary supplement of mushrooms promotes SCFA production and moderately associates with IgA production: a pilot clinical study(キノコの日常的な摂取が短鎖脂肪酸の産生を促し、IgA産生に適度に関連する:パイロット臨床試験), Frontiers in Nutrition, 2023, 9, 1078060.
DOI:10.3389/fnut.2022.1078060
2. Chambers ES. et al., The Proceedings of the Nutrition Society, 2015, 74(3), 328.
3. Kimura I. et al., Nature Communication, 2013, 4, 1829.
4. Hua Z. et al., Journal of Animal Science and Biotechnology ,2021, 12(1), 61.