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Do My Best, GO! 〜アスリートインタビュー

プロアスリートを支える食事に迫る。第70回テニス・島袋 将選手インタビュー

2026.09.18
プロアスリートを支える食事に迫る。第70回テニス・島袋 将選手インタビュー

アスリートへのインタビューを通し、明日への一歩を応援する「Do My Best, Go!」。今回はテニスの四大大会で本戦出場、世界ランキング100位を突破して日本人トップの座につくなど、大学出身のプロ選手としては異例の飛躍を遂げている島袋将選手に登場いただきます。テニスを始めたきっかけやプロまでの道のり、アスリートの食生活まで幅広くお話いただきました。

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はじめに、テニスを始めたきっかけを教えてください。

子どもの頃、よく家族でキャンピングカーに乗って旅行をすることが多くて、道の駅などで車を止めて宿泊し、スーパー銭湯などに寄ったりするのがすごく好きでした。そんな旅行をしていたある日、朝起きて車から外に出たら目の前にテニスコートがあったんです。そこで家族みんなで「じゃあテニスする?」となったのがテニスとの出会いですね。

それは何歳の時だったのでしょうか?

小学1年生頃だったと思います。その旅行の後に何かスポーツを習おうという話になって、僕は最初野球がやりたくて…。でも野球だと試合や練習で親の当番などがあるし、兄弟も多かったので難しいと反対されて、じゃあ楽しかった思い出があるテニスにしようと始めました。地元のスポーツ少年団みたいなところで、田んぼのド真ん中にテニスコートが1面あって、コートの周りは全部畑。その1面に子どもたち20人くらいが入るんです。1時間とか1時間半とか、ひたすらボールを打っていました。

どのくらいの頻度でテニスをしていましたか?

小学1、2年生は週1回のテニスと、それ以外にも習い事をしていました。小学3、4年生から、そのスポーツ少年団でコーチをしていた方のテニスクラブに通うようになって、週3~4回の練習に増えました。そして小学5年生から「ヒデテニスアカデミー」(※岐阜県のジュニア育成の名門)に通い、週6日ほぼ毎日テニス三昧でしたね。

そこまでテニスに夢中になっていったのはなぜですか?

小学4年生くらいの時に、テレビでウインブルドン(※テニスの四大大会の1つ)のフェデラー(※伝説的な名選手)の試合を見たことです。画面越しでもすごく格好良かった。当時の僕からしたら、踊っているようにプレーしている姿を見て、「自分もこうなりたい」と強く思ったのがきっかけでした。そこから親に「本気でテニスをやりたい」と話して、アカデミーに入ったのが大きな一歩だったかなと思います。

そこから中学・高校では全国レベルに達しましたが、まだトップには届かない立ち位置だったかと思います。その時の心境を教えてください。

プロになりたいという気持ちは小5くらいからずっと持っていて、高校を卒業したらプロになるつもりでいました。そのためには全国のタイトルが必要だったので、とにかく全国優勝、個人戦のシングルスで優勝することを目標にしてやっていました。でも結局、高校3年の最後のインターハイではベスト8、全日本ジュニアもベスト16で、十分な結果を残せずに終わりました。

その時、大学から話をいただいたんです。実は高校1年くらいから勧誘してもらうことはありましたが、プロになるつもりだったので選択肢としてはあまり考えていませんでした。でも高校最後の年に結果を残せなかった段階で、プロになるために大学で力を付けようと考えるようになりました。

大学に行くとなっても、プロを諦めたわけではなかったんですね。

そうですね、諦めたわけではなかったです。テニス選手としてはゴールデンタイムと言われている18~22歳の時期を、プロの世界ではなく大学で頑張ろうと。早稲田大学にはスポーツ科学部があるので、身体の仕組みや専門分野を学べることも、選手としてプラスになるのではと思って選びました。

島袋将選手(テニス)フォアハンドでボールを捉える場面

早稲田大学に行って、ご自分にとってのプラスになったことを教えてください。

大学に入ってみると、練習は毎日すごく厳しくて1日7~8時間やる時もありました。それに、いわゆる体育会系の上下関係が厳しい環境を経験したことで、根性というか気持ちの面ですごく強くなった部分はありますね。本当に練習量もすごかったですし、日本一を経験してきた先輩や同期、後輩と一緒に練習できてモチベーションは常に高く維持できました。

個人で特別な練習をしたわけではなく、環境の中で強くなったという感じですか?

もちろん環境のおかげで成長した部分もありますが、大学1年生の時は全然勝てなくて、インカレ(※全日本学生選手権)も1回戦負け、リーグ戦(※団体戦の関東大学リーグ)も1勝4敗くらいで、すごく悔しいシーズンを送っていました。そこから「この冬場に誰よりも練習しよう」と先輩や同期を巻き込んでとにかく練習しました。漠然としたものでしたが、自分はもっと強くなれるという自信があったのと、プロになりたいという目標を諦めずに持ち続けていたので、誰よりも練習して1番になってやるという思いは人一倍強かったと思います。大学1年の冬から2年になる前まで、トレーニングから練習から全部テニスにフォーカスしてやって、2年生からちょっとずつ花が開いた感じです。

2年で春の関東学生大会とインカレで優勝しましたね。一気にレベルアップしましたが、大学時代に一番伸びたのはどこだと感じていますか?

テニス的には大きく変えたわけではないんですけど、とにかく自分のテニスに自信を持てるようになりました。練習をたくさんした結果、プレーに自信が出たのが大きかったと思いますし、それが春関で優勝して結果が出たことで、インカレやリーグ戦などその後の試合につながったのかなと。

大学卒業後プロになり、大きく成長するわけですが、どういうことに取り組んだのが良かったと思いますか?

佐藤文平さん(※元プロ選手で、島袋選手のコーディネーター)とプロ1年目から一緒にやってきましたが、一番最初に話したのは「チーム作りを大事にしよう」ということでした。これから世界へ挑戦する上で、1人で飛び込んでいっても、右も左も分からない状況で埋もれていくだけだと。それならば強いチームを作って、トレーナーやコーチを付けて転戦しよう。サポートがあるのとないのとでは全然違うということで、当時の僕が考えてもいなかったことを文平さんが教えてくれました。そこはすごく大きかったなと振り返って思います。

数年前までは雲の上にいたツアー選手たちと今戦って、勝ったり接戦を演じているわけですが、差が縮まっている実感や、何か見えてきたものはありますか?

6月の芝シーズンでベン・シェルトンと対戦し、ファイナルセット4-6で負けてはしまいましたが、トップ10選手に対してここまでできると感じられました。最後までチャンスはありましたし、試合後も「相当苦しかった」と相手が言っていたので、レベルが縮まっているかどうかは別として、戦える実力は間違いなくあると思っています。同時にこのレベルに居続けるためにもそういう選手に勝っていかないといけないので、ただやって惜しかったという試合は減らしていきたいです。どんどんビッグネームやトップ50くらいにコンスタントに勝っていける選手を目指しています。

島袋将選手(テニス)試合後にネット越しで相手選手と握手を交わす場面

ここからは食習慣について伺っていきます。アスリートとして食事へのこだわりや栄養面で取り組んでいることはありますか?

昨年結婚しまして、妻が家で一汁三菜を毎食作ってくれるおかげで、栄養面ですごく助けられているなと感じています。自分で特に意識しているのは、普段から身体を動かしているのでタンパク質はなるべく食事から取るようにしたり、フルーツや乳製品なども忘れずに意識したりして、ただただ食事を取るだけではなく必要な栄養を取るように考えています。日本にいる時は毎食、プロテインでも補っていますが、できるだけ食事から色々な栄養面を取れるように心掛けていますね。

海外での食事についても伺いたいのですが、奥様が作れない時などはどのようにされていますか?

アメリカへの遠征などでは、炭水化物が意外と取りづらいんです。ご飯がどこにでもあるわけではなく、パンも意外と置いていなかったりします。ステーキハウスへ食べに行った時も、ステーキとサラダとスープしか出てこなくて、炭水化物を取りたいけれど取る方法がなく、そういった部分で困ったことはありますね。ライスがなかったらパンでもいいからくださいとお願いしています。アメリカシリーズの大変な部分の1つかなと思います。

試合会場では、炭水化物など食事は充実しているんですか?

試合会場に行けばパスタやライスが置いてあったりするので、大丈夫なんですけど、たまに行くレストランになかったりするのはすごく大変ですね。でも僕は日本食が好きなので、なるべく日本食レストランを選んで食べるようにはしているので、だいたいは賄えます。

ただ、今は100位に入ってATPツアーを回っているから、試合会場にレストランがしっかり完備されていて、食べたい日本食やアジアンフード、パスタ系、ステーキなどが用意されていますが、その下のチャレンジャー大会レベルでは、自分たちでUberEatsを頼んだり、現地の日本人大使館の方などにお願いしたりして日本食を取り寄せてもらうこともありました。でも、このおにぎり大丈夫かなと…と心配にはなりますよね。食事を含めて“ウイナー・テイク・オール”というか、結果を出すことで十分なホスピタリティを初めて手にできる世界だなと思います。

チャレンジャーや下部ツアーを回っている時は、自分でサトウのごはんやお味噌汁、簡単に作れる日本食をパックにして持っていくことが多かったです。だからスーツケース2個のうち1個は全部食事だったりしました。チュニジアやエジプトといった過酷な所で試合があると、整った食生活を過ごすには自分で持っていかないと無理だったりするので、そこは苦労したところですね。

これまで栄養や食事について学ぶ機会はありましたか?

大学3、4年生の時に、チームに栄養士がいて、そこで色々勉強させてもらったのと、プロ1年目までその先生がサポートしてくださって、3年ほど学びました。

その先生からはプロテインなどで栄養を取るのではなく、なるべく食事で全て補うという考えを学びました。だから試合後にはこれを食べるようにと教えてられることもあって、大学時代は試合中や試合後にみたらし団子をよく食べていました。

最近では妻がアスリートフードマイスター検定を取得してくれて、普段日本で作ってくれる食事の中で色々考えて料理してくれるので、すごく助かっています。

「きのこ」も栄養豊富な食材の一つですが、食べる機会は多いですか? 好きなきのこ料理などもあれば教えてください。

そうですね。自分で食べる物をチョイスする時などは、自然とその中にきのこを使った料理も選んでいる気がしますね。

また、味噌汁に入っているエリンギや、実家の岐阜県には地元の料理としてきのこが入った「味噌煮込み定食」があって、好きでよく食べています。あとは椎茸ですね。椎茸がすごく好きで、小さい頃から今も本当に好きです。母親が鍋や味噌煮込みを作る時によく椎茸が入っていて、それがきっかけですね。

きのこのメリットとして食物繊維が多く腸内環境を整えてくれる働きがあるのですが、テニス選手として腸内環境を意識するようなシチュエーションや、おなかのコンディションが大事だと感じることはありますか?

はい。例えば中国に行った時は料理の油がすごかったり、暑い時期や地域では食あたりがあったり、遠征中におなかをやられる選手が結構多くなるので、そういう部分では気を付けています。僕自身は基本的には便通は良くて、それが体調を測るバロメーターになったりもしているので、悪いと不安になります。

奥様が資格を取られてから「きのこ」が増えたな、ということはありますか?

妻と出会う前までは外食がほとんどで、きのこもたまに食べるくらいだったんですけど、今の食生活の中で確かにきのこを食べる機会は増えたかなと思います。妻が色々メニューを考えて作ってくれる中できのこが入ってくるのかなと思います。

また、きのこって腸内環境を整える有用な選択肢なのだなと知り、テニスのジュニア選手やアスリートにとっても有益だと思います。

島袋将選手(テニス)サーブを打つ場面

では、テニスを頑張っているジュニアに向けて、上達のためのアドバイスをお願いします。

とにかくまずはテニスを楽しむことと、あとは高い目標を常に持ってやってほしいなと思います。目標があればそこに向かってモチベーションを持ってできると思いますし、その目標を達成してもまた新しい目標を持って、どんどん自分自身のレベルも上がっていけると思うので。とにかくたくさん練習して、高い目標を持ってやってほしいなと思います。

最後に、テニスを頑張っているジュニアアスリートに向けて、食事面のアドバイスをお願いします。

テニスは身体が資本なので、食生活は本当に重要だと思っています。ジュニアの時から「これは食べちゃいけない」とこだわりを持つよりは、とにかくたくさん食べてエネルギーをつけた方がいいなと思います。苦手だから朝ご飯を抜いて昼ご飯を多めにする、などではなく、毎食ちゃんと食べるのと、アスリートは1日3食じゃなくて5食と言われているので、おなかが空く時間をなるべく作らず、常に何かを食べる。そうすることで身体も作られていきますし、ケガの予防にもつながると思うので、積極的に習慣づけてほしいなと思います。

僕が小学5年生から中学3年生まで通っていたテニスクラブは夜9時まで練習があって、家から30分くらいの距離を車で通っていました。親が送迎してくれていましたが、帰って学校の宿題をして、睡眠も大事にさせたいと考えてくれた母親が、「帰りの車の中で食事するのが一番効率がいい」というアイデアを出して、ほぼ毎日お茶碗や小鉢をお盆に載せた夕食を用意してくれました。お弁当箱じゃかわいそうだからって、ちゃんと配膳して、栄養バランスも考えて、練習後すぐに食べられるように。僕はヒザの上にお盆を置いて、「止まるよ」と言われたらお盆を持って構えたり。毎回前を見ていないとどこで曲がるかわからないので、自分でバランスを取りながら食べたりしていましたね。今思うとすごくありがたい環境で、思い出に残るシチュエーションです。

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コメント

できるだけ食事から様々な栄養素をバランスよく摂るように意識しています。こちらのレシピはタンパク質である牛肉やビタミンの豊富なきのこ・ピーマンがとれるため、自分でも作ってみたいと思いました。

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profile

島袋 将

(しまぶくろ しょう)

1997年7月30日生まれ、岐阜県岐阜市出身。
6歳でテニスを始め、世界王者のフェデラーに憧れてプロを目指す。四日市工業高校、早稲田大学とテニス名門校に進み、大学2年でインカレ優勝。2020年に卒業と同時にプロ転向する。下部ツアーから這い上がり、23年のウインブルドン予選を突破してグランドスラム本戦に初出場。さらに同年の全米オープンも予選を突破し、大学出身のプロ選手としては異例となる四大大会連続本戦出場を果たす。そして26年3月に世界ランキングで日本人トップに立つと、8月には自己最高87位をマーク。国内大学卒の日本人男子選手としては51年ぶりとなるATPランキングTOP100に入った。テンポの速い攻撃テニスを武器に、最高峰のATPツアーを主戦場にする数少ない日本選手。有沢製作所所属。