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きのこ面白情報

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【きのこ面白情報】カメラマン 西野嘉憲

「こいつ、光るのかな?」
夜の森で懐中電灯を消し、網膜の残像が消えるのを待ちます。コノハズクやカエルの鳴き声が響く森は、漆黒の闇。目が慣れるまで数秒、やがて目の前に青白く光るものが浮かび上がるではありませんか。ようやく出合えた感動に、胸がときめく瞬間です。

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夜の森で合唱するリュウキュウカジカガエル

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ヤコウタケは発光が強く、薄暮でも確認できる

光を放つ正体は、キノコ。自ら光を発する「発光キノコ」は、日本で十数種、世界では70種以上が報告されています。
私がはじめて発光キノコに出合ったのは、1994年の八丈島でのこと。世界の発光キノコのなかでも、屈指の明るさで光るヤコウタケでした。この種の明るさは数十メートル先からはっきりと光を確認できるほどで、ホタルの光と見間違えそうです。近くで観察すると、明るさを変えることなく絶えず光り続けています。
「どうして光っているのか?」──真っ先に頭に浮かぶのはこの疑問。動かないだけに、ホタルのような意思は感じられません。じっと見つめていると、やがてその美しさに引き込まれ、光る理由を詮索することなど、野暮に思われてきました。

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ブナの立ち枯れに発生するツキヨタケ

国内の発光キノコはその多くが、南西諸島や小笠原諸島、伊豆諸島、本州、四国、九州の太平洋沿岸など、温暖な地域に発生します。唯一の例外がブナ帯で発生するツキヨタケ。広葉樹のブナは関東以南では標高1000m付近に分布するので、夏から秋にハイキングやトレッキングで山に登ると、立ち枯れや倒木に群生する光景が見られるかもしれません。もし車道や山小屋の近くなど、比較的安全な場所で見つけることができたら、日没後に再び観察に行ってみましょう。キノコが仄かに光を発する幻想的な光景に出合えることでしょう。
先述したヤコウタケは伊豆諸島の八丈島のほか、小笠原諸島の父島、母島でも観察が容易です。八丈島では毎年7〜8月に無料の観察会が開催されており、発光キノコに詳しいガイドの案内で発生地をまわることができます(http://www.8jo.org/hro/)。また小笠原諸島では、ネイチャーガイドによる有料のナイトツアーに参加するのがおすすめです。

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シイの腐朽部に発生するシイノトモシビタケ

発光キノコの世界はまだまだわからないことだらけ。国内外から新たな種が続々と報告されていますし、既知種であっても新たな生息地がたくさん見つかっています。シイノトモシビタケは長年、八丈島特産とされてきましたが、この10年ほどの間に、多くの生息地が知られるようになりました。あなたのお住まいの近くでも、その輝きを放っているかもしれません。長雨の後、森がたっぷりと水分を含んだときが狙い目です。

さて、「どうして光っているのか?」。みなさんも気になりますよね。
虫をおびき寄せるため? 存在を主張するため? いろいろ想像を巡らせてしまいますが、
専門家によるとその答えは、……実はいまだ決定的な説がなく、さらに発光のメカニズムも解明されていないそうなのです。
でも、不思議でわからないことがたくさんある。それこそがキノコの魅力であるような気がします。

西野さん、あなたにとってのきのことは?
「自然のふしぎが詰まった玉手箱」

西野嘉憲(カメラマン)
1969年、大阪府生まれ。沖縄県石垣島在住。
早稲田大学教育学部卒業後、広告制作会社勤務を経て、フリーランスのカメラマンとして活動。漁業、狩猟など、人と自然の関わりを主なテーマに撮影を続ける。発光キノコの撮影は、2002年より取り組む。趣味は昆虫採集と魚突き。日本写真家協会会員。
共著に『光るキノコと夜の森』https://www.iwanami.co.jp/.BOOKS/00/5/0058830.html(解説:大場裕一)、著書に『石垣島 海人のしごと』(ともに岩波書店)、『海を歩く─海人オジィとシンカの海』、『ハブの棲む島─伝説のハブ捕り名人と奄美の森の物語』(ともにポプラ社)がある。

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