かわいいきのこグッズや、不思議で楽しいきのこカルチャーをご紹介!
【きのこ面白情報】とよ田キノ子さんコラムVol.20
森と湖の国のアンズタケ
こんにちは。
とよ田キノ子です。
暦では大寒から立春までの期間が1年の中でも一番寒い時期。
寒さは得意ではないのですが、この寒暖差があってこそ、
きのこのシーズンが楽しめると思えば、厳しい寒さも乗り越えられる気がします。
さて、きのこが愛されている寒い地域といえば、フィンランドもそのひとつ。
日本とほぼ同じ国土面積のフィンランドは、その7割が森に覆われ、
氷河に削られてできた湖が多く点在する「森と湖の国」です。
豊かな自然に恵まれたこのフィンランド、きのこ好きにとって嬉しいのは、
ベリーやきのこを自由に採る権利が認められていること!
土地所有者の許可を取る必要もなく、誰もが自然の恩恵をうけることができるのです。
もちろん、観光で訪れている外国人も例外ではありません。
ただし、それはゴミを捨てたり森を荒らしたりしないなどの暗黙のルールがあり
それを守っているからこそ成り立つ権利です。
フィンランドの人々は、そのように今も森と密接に関わりながら、
自然との共生を大事にして暮らしているのですね。
そのフィンランドを代表するきのこといえば、Kantarelli(カンタレッリ)。
日本ではアンズタケ(杏茸)と呼ばれるきのこです。
和名の由来は、杏のような香りがすることから。
フィンランドを舞台にした映画「かもめ食堂」にも登場しました。
もたいまさこさん扮するマサコが森できのこ狩りをして、
後日トランクいっぱいに詰まっていた、あの黄色いきのこです。
フィンランドをはじめ様々な地域で採れるきのこなので、
家庭料理には欠かせない、身近な食用きのことして世界中で広く愛されています。
(きのこらぼ内「きのこアルバム」でも紹介されています。詳しくはこちら。)
このアンズタケ、色も鮮やかで形も特徴的なため、
食材としてだけでなく、グッズや絵本などのモチーフとしても親しまれています。
今回は、そんなアンズタケグッズを紹介したいと思います。
写真上・中、『Vahvero Kehveli』
1981年/Mikko Samulinen(著),Masa Pulkkinen(絵)
フィンランド語で書かれている古い絵本です。
物語は、主人公であるアンズタケの子供が生まれるところからはじまり、
様々なきのこや動植物・昆虫と出会い、自然の世界を知っていくという内容。
森と共に暮らしているフィンランドらしい1冊です。
擬人化されているきのこたちがかわいらしく、色鉛筆画と2色のペン画にも温かみがあります。
フランス発の老舗キャンドルメーカー、
POINT A LA LIGNE(ポアン・ア・ラ・リーニュ)によるアンズタケ型のキャンドル。
アンズタケの特徴であるひらひらとした曲線や、しわひだの表現も美しく
3本の幼菌もかわいらしい!リアルで繊細な造形が魅力です。
多くの国できのこの絵柄の切手が発行されていますが、アンズタケの切手もたくさんあります。
例えば、この写真はニカラグア、ベトナム、ギニア、モンゴル、カンボジア、ソ連のもの。
同じアンズタケの絵柄でも国によって雰囲気が違うのも面白いですね。
アンズタケは、言葉の通り“絵になる”きのこだということがわかります。
このようなアンズタケがたくさん生える美しい国、フィンランド。
あまり接点がないようにも思えますが、
フィンランドの人々が森にはたくさんの精霊が住んでいると信じているように
日本人も、古代から八百万(やおよろず)の神々※と共に、
きのこを始めとする自然と寄り添い暮らしてきました。
現代を生きる私たちが忘れつつある自然への感謝・畏敬の気持ちを、
現在も受け継がれているフィンランドの自然観を通して思い出させてもらったように思います。
テクノロジーと自然が調和し、共存していく道を歩んでいけたら理想的ではありますが
一朝一夕でできる簡単なことではありません。
せめて、私たちも自然の一部ということを忘れずにいたいものです。
※八百万の神:たくさんの神々の意。あらゆるものに神が宿っているという考え方。
とよ田キノ子
アートディレクター、グラフィック&ウェブデザイナー、きのこグッズコレクター。
2007年に“キノコ病”を発症し、以後「とよ田キノ子」名義で活動を開始。
キノコグッズコレクションの展示や、キノコをモチーフにしたイラスト作品展、
キノコイベント等を開催。
2011年9月、グラフィック社より出版された『きのこ(乙女の玉手箱シリーズ)』を監修。
日々、キノコの魅力を伝える“胞子活動”を行っています。
信州きのこの会会員。
とよ田キノ子さんウェブサイトはコチラ
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