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きのこ面白情報

かわいいきのこグッズや、不思議で楽しいきのこカルチャーをご紹介!

【きのこ面白情報】とよ田キノ子さんコラムVol.19

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ケーキの中からやってくる幸運のきのこ

こんにちは。
とよ田キノ子です。

新年を迎え、そろそろ落ち着きを取り戻してきた頃でしょうか。
今回は、そんな1月に関係のあるきのこたちを紹介したいと思います。

フランスでは、1月6日のEpiphanie(エピファニー/公現祭。キリスト教の祭日)に食べる、
「Galette des rois(ガレット・デ・ロワ/王様のケーキ)」という伝統菓子があります。
その「ガレット・デ・ロワ」の中に必ず1つ入っているのが、
Fève(フェーヴ)と呼ばれる磁器製の小さなアイテムです。
伝統的な食べ方は、家族や友人が集まった中で一番年齢の低い子供が、
切り分けられたガレットをそれぞれ誰に配るかを指定します。
ガレットの中にフェーヴが入っていた人は、その日の王様(女王様)になることができ、
1年を幸せに過ごすことができるそうです。
フェーヴとは、フランス語で“そら豆”の意味。
昔は実際にそら豆を入れていたそうですが、現在は磁器製へと移り変わっています。
ケーキに入れるものですから、大きさは2〜3cmほど。
フェーヴを制作している工房やお店ごとにも特徴があり、
毎年多くの種類が作られているため、コレクションの対象としても愛されています。
伝統的なそら豆型のものもありますが、歴史、人物、動物、植物、食品、雑貨などなど
多種多様なテーマで、あらゆるものがモチーフになっており、
もちろん、その中にはきのこもあります。
では、そんなきのこフェーヴをいくつかをご紹介しましょう。

写真上「Les champignons」シリーズ
2002年/CADOLAND社製/全10個/H2.5cm前後
美しい着色と繊細な造りが特徴的なシリーズです。
実在のきのこをモチーフにしているので、台座には名前がプリントされています。
全体的にツヤのあるうわ薬がかけられ、まるで雨上がりのような瑞々しさを感じます。
きのこの根元には草や小さなお花が生えているのも愛らしいです。

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写真中「Les champignon puzzle」シリーズ
2008年/MOULIN A HUILE社製/全7個/H2.5cm前後(パズル完成時:H約10cm)
ひとつひとつにきのこと名称が象られ、組み合わせると大きなきのこ型になるパズルタイプ。
素朴なつくりで、温かみのある質感です。
着色はややラフですが、ヒダなどの造形はとても細かく施されています。
一部に使われている金色も素敵。黄色を基調にした色違いもあります。

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写真下「Champignons des bois et des pres」シリーズ
2009年/PRIME社製/全10個/H2.5cm前後
きのこのヒダや柄(え)の造形はもちろんのこと、
昆虫やカエル・トカゲ、植物の葉脈まで細かな部分まできっちり作られています。
マットな質感をベースに、所々に艶のあるうわ薬が使われているのも効果的です。
底の部分には、きのこの名前と可食/不食(毒)のアイコンも。

この他にも、きのこのキャラクターだったり、コイン型やレリーフタイプ(浮き彫り)のものなど
様々なテイストのきのこのフェーヴが作られています。
実は、きのこグッズを集め始めて間もない頃に、きのこのフェーヴに出会いました。
まずは小さな磁器製のきのこたちの美しさ、かわいらしさに惹かれ、
いくつか集めていくうちに、フェーヴを取り巻く歴史や文化などの背景を知りました。
この2cmほどの小さなきのこたちが、人々に新年の喜びと楽しみを与えてくれるなんて…
ケーキからフェーヴが出てきた時の人々の笑顔が目に浮かびます。なんて素敵なのでしょう。
もしかしたら、きのこに興味を持たなければ、触れることのなかった文化かもしれません。
私にとっては、新たな魅力や面白さに気づかせてくれたアイテムでもあるのです。
(そして、フェーヴをキッカケにますますキノコグッズを集めることに…)

ガレット・デ・ロワは、現在は1月の間は食べるお菓子として定着しているそうです。
今年の新年は、ガレット・デ・ロワとともにお祝いしてみてはいかがでしょうか。
ケーキの中から幸運のきのこがあなたの元へやってきてくれるかもしれません。
もし、きのこがあなたを選んでくれたら、
きっと楽しい1年になること間違いなし!です。

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とよ田キノ子
アートディレクター、グラフィック&ウェブデザイナー、きのこグッズコレクター。
2007年に“キノコ病”を発症し、以後「とよ田キノ子」名義で活動を開始。
キノコグッズコレクションの展示や、キノコをモチーフにしたイラスト作品展、
キノコイベント等を開催。
2011年9月、グラフィック社より出版された『きのこ(乙女の玉手箱シリーズ)』を監修。
日々、キノコの魅力を伝える“胞子活動”を行っています。
信州きのこの会会員。

とよ田キノ子さんウェブサイトはコチラ

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