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12月の特集テーマ
ニッポンのおせち。

おせちで迎える、お正月。

2017.12.18

数々の縁起物が盛り込まれた「おせち」料理。お正月を豊かに過ごし、一年の健康と幸せを祈る、日本文化に根付いたお料理には、やはり特別な意味がありました。今週の「きのこで菌活。」コラムでは、新年を迎える準備に忙しいこの時期食事から栄養をとり、健康に過ごす方法をご紹介していますが、今週の「トレンドコラム」では、新年に向けて準備を進めたい、おせち料理の意味とお正月三が日の過ごし方についてご紹介します。

数々の縁起物が盛り込まれた「おせち」料理。お正月を豊かに過ごし、一年の健康と幸せを祈る、日本文化に根付いたお料理には、やはり特別な意味がありました。今週の「きのこで菌活。」コラムでは、新年を迎える準備に忙しいこの時期食事から栄養をとり、健康に過ごす方法をご紹介していますが、今週の「トレンドコラム」では、新年に向けて準備を進めたい、おせち料理の意味とお正月三が日の過ごし方についてご紹介します。

小宮理実
教えてくれたひと
小宮理実(Komiya Rimi)おせち料理研究家
2007年から料理教室を主宰。おもてなし料理を教えるうちに、おせち料理やお正月のしつらいには、和食の基本や日本人が季節を愛でる心がこもっていることに気づき、生徒さんといっしょに「おせち料理」を学ぶ料理教室を開設。
現在は、食品会社や地方の商工会、百貨店、個人店など商品アドバイスからレシピ開発まで料理研究家として、食を軸に活動中。京都のおせち料理から節供行事、地方の伝統食に至るまで本格的に研究に取り組むこととし講座や講演にも力を注いでいる。
http://fukuchidori.com/shop2

神様に一番近い食事「おせち料理」

「日本では、元旦の朝に歳神様が家に来てくださると言われていますよね。歳神様は、1月1日から3日の三が日の間は、火の神“荒神”を怒らせないために、家の中で煮炊きに火を使わないことが習わしとされ、これが煮炊きしなくても食べられるおせち料理を用意するようになった理由です」

おせち料理を中心に日本の節会料理や日本文化を研究されている、おせち料理研究家の小宮さんは、年始を迎える一つひとつの行事には意味があり、元旦の過ごし方にも、昔からの伝統があると話します。

「歳神様は、元旦の鶏の声とともに家に来てくださると言われ、お正月の三が日は家の中にいらっしゃると考えられています。ですから、三が日は神様を敬う3日間。バタバタせずに、落ち着いた正月を過ごすことが大切であり、そのためのおせち料理とも考えられています。余談ですが、松飾りを目印に神様はやってきますので、松飾りのない家には神様はやってこないと言われているんですよ」

年末大掃除も、玄関に松飾りを置くことも、単なる習慣として行いがちですが、本来は神様をお迎えするための準備。このように意味を知るだけでも、一つひとつの物事への丁寧さが変わってくるようです。

では、一年のはじめにいただく、おせち料理にはどのような意味が込められているのでしょうか。

「お正月の迎え方は地域によって様々ですが、私の生まれ育った京都では、朝一番で『福茶』を飲みます。福茶は、お正月の朝一番にいただくお茶のこと。年が明け、邪気を祓い身を浄める意味があります。福茶には、結び昆布や、小梅を入れてまたは白湯、お茶のみをいただきます。その後に、お屠蘇、お雑煮、祝い肴(おせち)の順番で食べていくのが正しいとされています」

実は、一年のはじめに「お雑煮」を食べることが、非常に重要なのだそう。

「お餅には神様の魂が宿っているとされ、1年のはじめにいただくことで、神様から一年を健康に幸せに過ごすためのエネルギーをもらうことができると考えられています。お雑煮は地域色が豊かな料理。お餅の形一つをとっても、武士文化の関東では「敵をのしてしまおう!」とのし餅を切った角餅で縁起をかついだことから、角のあるお餅が定番。関西では『角のたたない』丸いお餅の入ったお雑煮が定番です」

関西風のお雑煮

 

おせちに欠かせない「祝肴三種」

多種多様なお料理が詰まった、おせち料理ですが、それぞれにはどのような意味があるのでしょうか。

「おせち料理は『神様に一番近い食事』と言われます。それは、神様にお供えしたものを“お下がり”として、感謝の気持ちを持っていただくという考えに基づいています。神様と同じものを食べることにより、神と人間との精神的な連携をする『共食信仰』のひとつですね」

おせち料理は、古くは四季の節目(節会)を祝う際に神様へのお供えとされていたもので、もともとは「御節供(おせちく)」と呼ばれていました。干しアワビやナツメ、松の実などの乾物であった御節供が、今のように正月に食べる料理と意味合いが変化したのは江戸時代のこと、さらに現在のようなおせち料理が、一般的になったのは昭和初期のことでした。その楽しみ方は時代に合わせて変化していますが、おせち料理の意味を知ることが大切と小宮さんは話します。

「おせち料理の一品一品の持つ願いや意味を知り、神に感謝をしながら、残さずに最後まで食べることが、おせちを楽しむということです。食べ物がたくさんある今の時代だからこそ、神様に感謝して正月を過ごすことを大切にしたいですね」

おせち料理の中でも、絶対に食べるべきは「祝い肴(いわいざかな)」と呼ばれる3つの料理。これだけは欠かさないことが鉄則なのだそう。

「祝肴三種は、『数の子』『黒豆』『田作り(ごまめ)』『たたきごぼう』の中から3つを使って用意します。関西ではたたきごぼう、関東では黒豆が入ることが多いです。この3つがあれば、無病息災・子孫繁栄・五穀豊穣を願うことができるとされ、お正月のお祝いに必ず食べたいものなのです」

祝肴三種(左から 黒豆・数の子・田作り・たたき牛蒡)

 

その他にもおせち料理には、縁起物が多く入っています。その意味は下記の通り。家族の幸せを祈るお料理であることがよくわかります。

種類 意味
黒豆 「まめに働く」の語呂合わせから。邪気払い、無病息災などの意味も
数の子 ニシンは卵が多いという点から、子孫繁栄を願う
田作り 小魚を肥料として田畑に撒いたことから名付けられた。五穀豊穣を願う
たたき牛蒡 地中にしっかり根を張るごぼう。縁起物として。
たたきごぼうは、軟らかく煮たごぼうを叩き、身を開いて、開運の縁起をかついだもの
紅白なます 大根・にんじんと酢で作ったことから。お祝いの水引を表わす
海老 長生きの象徴。長いひげをはやし、腰が曲がるまで長生きすることを願う
昆布巻 「喜ぶ」の言葉にかけ、縁起ものとして。
栗きんとん 黄金色に輝く財宝にたとえ、豊かな1年を願う。

 

おせち料理は、神に感謝し、家族の平和と幸せを願っていただく料理。毎年、食べる習慣がないという方も、今年はお雑煮と祝い肴三種を用意して、お正月をお祝いしてみませんか。

【12/26公開の次週は、おせち料理の楽しみ方をご紹介。残ってしまった場合のアレンジ方法も掲載します】

【今週更新!きのこで菌活。】

大掃除におせちの準備に…と、忙しい年末だからこそ、健康でいたいですよね。年末疲れの解消や風邪やインフルエンザの予防にもきのこが役に立つんです。

今週の「きのこで菌活。」を読む ▶︎

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