【きのこアルバム】タマシロオニタケ

少しずつ気温の低い日も増え、冬の足音が聞こえてくる時期。11/7の「立冬」を境に暦の上では冬が始まります。
今回は、秋～冬にかけて大活躍する「ニット」のような白さがあり、根元には「毛糸玉」のような丸い膨らみがある可愛らしい見た目のきのこ「タマシロオニタケ」をご紹介します。

タマシロオニタケは日本の各地に広く分布し、中国や韓国でも見ることができるきのこ。
夏から秋にかけて発生し、コナラやシイなどの雑木林、ミズナラやブナなどの天然林にも発生します。

傘の直径は3～7cm程度ときのこの中では一般的な大きさ。傘の表面には、トゲトゲとしたツノ状の小さなイボをたくさんつけているのですが、このイボ、実は取れやすいという特徴が。ツノ状で可愛らしいからこそ、取れてしまうというのはなんだか悲しいです。

タマシロオニタケは「ヒダ」も白色をしており、びっしりと密集しています。

また、柄は細長く、おおよそ８～14cm程度になり、表面に多少のささくれがあります。写真からは見えないのですが、柄の上部には膜のような質感の丈夫な「つば」が垂れ下がっています。

そして、根元には野菜の“かぶ”のような大きな膨らみがあり、イボが付着しています。この膨らみが「タマシロオニタケ」の大きな特徴であり、「タマシロオニタケ（玉白鬼茸）」の「タマ（玉）」の由来とも考えられます。

ちなみに、タマシロオニタケは有毒のきのこ。毒性の強い成分を含むといわれていますので、似たきのこを見つけても絶対に食べないようにしてくださいね。

話はそれますが、タマシロオニタケの属するAmanita属のきのこは種類が多く、私たちが普段生活している近くでも見つけやすいという特徴もあります。きのこらぼでも、過去にタマシロオニタケに近い種類のきのこの「ササクレシロオニタケ」や「ドクツルタケ」（共に有毒種）をご紹介しています。
一方、見た目の色は違いますが、食用可のきのことされている「タマゴタケ」や「カバイロツルタケ」も近い種類にあたります。

どのきのこもそれぞれ似ているところがあり、同じ仲間なのだと実感します。
皆様もぜひ、「きのこアルバム」をはじめ、バリエーション豊かなきのこの世界をお楽しみいただければ幸いです。

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寒い季節がやってきますが、この時期ならではの「ニット」を取り入れたり、食事を工夫したりしながら、健康で元気な日々をお過ごしください♪

【出典】
・今関六也・大谷吉雄・本郷次雄　編（2011）「増補改訂新版　山渓カラー名鑑　日本のきのこ」株式会社 山と渓谷社，東京
・前川二太郎　編著　（2021）「スタンダード版　新分類　きのこ図鑑」株式会社 北隆館，東京
・本郷次雄　監修　（1999）山渓フィールドブックス⑩「きのこ」株式会社　山と渓谷社,　東京
・今関六也・本郷次雄　編（1989）「原色日本新菌類図鑑（Ⅰ）」株式会社　保育社,　大阪

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