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トレンドコラム

新年に向けたこころの整理に、坐禅を組む魅力

「心の整理術」と題してお送りしている今月のトレンドコラム。最後は、禅宗のお寺・恵林寺の古川周賢住職が教えてくれる「坐禅」の方法と、その“効果”をお届けします。古川住職いわく、禅の本質は「執着を捨てること」。執着を捨て去ったその先に、「本当に大切なこと」が見えてくると説きます。今週のきのこで菌活。コラムでお伝えしている冬の不調に負けない食事のポイントとともに、坐禅に取り組み、心身ともに強くなりたいですよね。ただし、実はそもそも「坐禅に効果を求めること」そのものが「執着」していることになる、と古川住職。深い禅の教えに触れて、新年に向けた意識改革を始めましょう。

 

—————— 教えてくれたひと ——————

古川周賢さん

古川 周賢 (Shuken Furukawa)

臨済宗妙心寺派乾徳山恵林寺住職。1990年早稲田大学第一文学部卒業、1997年東京大学大学院人文社会系研究科基礎文化研究哲学専攻修了。京都・大徳僧堂で修行を積み、臨済宗妙心寺派恵林寺へ。2014年、同寺の住職に就任。NHK総合「SWITCH インタビュー 達人達」での落語家の立川談春さんとの対談が話題に。http://erinji.jp

 

“プロの坐禅”は、どんな状況でも集中できる自分をつくる

現在、禅宗のお寺・恵林寺で住職を務めている古川住職は、いわば“坐禅のプロ”。3時半に起床、お経を読んで禅問答、清掃、托鉢、畑仕事などの肉体労働を行い、そして坐禅。こうした生活を送ることで、どんな状況でも集中でき、心がブレなくなると古川住職は言います。

古川周賢さん

「最初の頃は、あと1時間というところでどうしても眠ってしまっていたんです。お寺では肉体労働をするから、体力がないとどうしても眠ってしまう。坐禅の時間に眠たくならないように、ハードな仕事は前もってやっておいたり、試行錯誤しました。そうやってフィードバックを繰り返して、自分の方法を見つけていくんです。坐禅って、自転車に乗るのと同じように、言語化できない“身体技法”なんですよ」

修行の一環としてだけでなく、坐禅に向かう目的は人それぞれ。「リラックスしたい」「癒されたい」など、最初は自分の欲求を叶えるためでよい、と古川住職は話します。そして、坐禅を続けて気力が充実してきたら、集中力を高めるために行うなど、目的のステージを高めていけばいいのだそうです。新年の新しい取り組みとして始めるのに、向いていそうです。
基本となる座り方は次のとおりですが「これが正しい」というものはなく、繰り返すうちに自分のやり方を会得していくのが坐禅なのだそう。

●坐禅の心得

坐禅の心得

  1. 両膝とお尻の3点で身体を支えるように座り、お腹で呼吸がしやすい姿勢をとります
  2. 両足をそれぞれの太ももに乗せて安定させます。難しければ片足だけを組んでもOK
  3. 手のひらを上にして、左手を右手の上に重ね、親指を軽く突き合わせて、太ももの上に乗せます
  4. 顔は正面を向けて、目線は1m先に落とし、半目にします

ここで姿勢を整えるのと同じくらい大切なのが、呼吸を整えること。まず、息を吐き、口を閉じて、腹式呼吸で鼻から息を吸い、吐きます。ポイントは、自分の呼吸を数えることだと古川住職。

「『数息観』といって、1から10まで呼吸を数えるんです。息をできるだけ長く、ゆっくりと吐き出して。自分の吐く息を伸びる糸のようにイメージして、細く、長く、数を数えながら吐きます。3メートル、4メートル先まで息を伸ばしてください。10まで数えたら、また1に戻って繰り返します。そうすることで『自分が今やっていること』に集中して、雑念が浮かぶことを防ぐんです」

坐禅を通して知る、「同じ瞬間は二度とない」ということ

古川周賢さん

坐禅で目指すのは「無心になって、自分自身と向き合うこと」。そのことを象徴する「二念を継がず」という言葉があります。そしてこれが、「執着を捨てる」ことにつながる、と古川住職は言います。

「『念』とは思考のことで、『一念』は最初に頭に浮かぶことです。『二念を継がず』とは、そこにさらに思考を積み重ねない、つまり『次を考えないようにする』ということです。おいしいものを食べて『うまい』と思うのが一念、『もう1個ほしいな』と考えるのが二念。そこから三念、四年と継いでいくことで執着が生まれます。だから、坐禅では『一念』でとどめて、そのままにしておくんです」

「二念を継がず」とは、いわば「ものごとをありのままに観る」ということ。たとえば「脚がかゆいな・・・」と思っても、かかずに「そのままにしておく」というイメージがわかりやすいでしょうか。自分と、自分を取り巻く世界が常に変化し続けていることを感じ、“今、ここ”に集中する。そうすることで、執着が消えていくのだそうです。

古川周賢さん

「モネの『睡蓮』という名画がありますよね。実はモネが睡蓮を描いた作品は200枚以上あって、同じモチーフを何度も何度も描いているんです。なぜかって、同じ瞬間は二度とないから。坐禅は、その当たり前のことに気づかせてくれます。そして、そのことに気づくと、自分自身が常に“更新”されて、執着が消えていく。刻一刻と移ろう世界を全身で感じていたら、たとえば『嫌いな上司にあんなことを言われた、許せない』なんてことは吹き飛んでしまう。執着が消えれば、本当に大切なものがわかってきます」

過去のできごとにとらわれることは、誰にでもあるものです。そんな執着を捨て去り、「今、この瞬間」をありのままに感じることで、心と身体に調和をもたらすのが坐禅です。忙しい年末ですが、自分のために時間を作り坐禅を組んでみましょう。しっかりと坐禅の仕方を学びたいという人は、お寺などで開催されている「坐禅会」に参加してみるものいいですよね。
きのこで菌活で身体の内側から整えるとともに、「今、この瞬間」の心の声を聞くことで、一年を振り返れば、きっと新年に向けた新たな目標が見えてくるはず。そして、きのこで菌活とともに習慣化することできっと新年を健康でいい一年にできるでしょう。

【本年も、トレンドコラムをご愛読いただきましてありがとうございました。来年も、皆様にお楽しみいただけるトレンド情報をお届けいたします!】

【今週更新!きのこで菌活。】坐禅や瞑想で心を整え、健康に気を使っていても、体調不良になってしまうこともありますよね。そんなときにも役立つ「きのこで菌活」レシピや食事のポイントをお教えします。

今週の「きのこで菌活。」を読む ▶︎

今おすすめのきのこレシピ

きのこの具だくさん骨太オムレツ

ケガをせずに良いパフォーマンスを発揮するためにも、土台となる骨を丈夫にすることが大切です。きのこに豊富なビタミンDは、骨の主成分であるカルシウムの吸収を高める栄養素のため、チーズやしらすと合わせて骨づくりを助けます。また、卵に豊富なタンパク質は骨の材料となるので、成長期やアスリートの身体づくりにぴったりです。

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