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研究員の研究日誌

赤ちゃんに届けたい!妊活中・妊娠中の女性が摂りたいきのこの栄養素

2024.10.17
赤ちゃんに届けたい!妊活中・妊娠中の女性が摂りたいきのこの栄養素

こんにちは! 開発研究課の石山です。
今回は「赤ちゃんのために届けたいきのこの栄養素」をテーマに、妊娠を考えている方や妊婦さんに役立てていただけるよう、きのこが持つ栄養素について最新研究の結果なども含めて紹介したいと思います。

まず、妊婦さんが摂りたい栄養素で真っ先に挙げられる「葉酸」。
葉酸は、タンパク質やDNAの合成を助ける役割があるため、細胞を作る上で重要な栄養素です。特に、お腹の中の赤ちゃんは脳をはじめ様々な新しい細胞が盛んに作られるため、胎児期に必須の成分です。
一方、国民健康・栄養調査によると、推奨量に対する妊婦さんの「葉酸」摂取量は少ないことが分かっています。(1)

葉酸はほうれん草に含まれていることは有名ですが、実はきのこにも多く含まれていて、きのこの中では特にエリンギやヒラタケに多く含まれています。エリンギやヒラタケ100g に含まれる葉酸は、妊婦さんの1日の不足分の1/3と同程度です。
3食のうち一食は意識してきのこを多めにとると、葉酸不足解消に役立ちます。

きのこといえば、食物繊維が多い食材の代表です。実は、食物繊維も赤ちゃんの健康のために重要であることが近年わかってきています。
その一例として、日本で国家プロジェクトとして行われているエコチル調査という大規模研究をご紹介します。これは約10万人の母子を対象に、妊娠時の栄養と、胎児が生まれて大人になるまでの栄養と健康の関連について長期的に調査するというものです。

この調査のひとつとして、月齢にあわせた「乳幼児発達検査スクリーニング(J-ASQ-3)」という質問票を用いた調査が行われました。
これは乳幼児の発達速度を図る調査で、一般的にその月齢で見られる行動をとるかどうかを養育者に尋ねるものとなっており、例えば、生後6か月時点のコミュニケーション能力の発達については、「見えないところから名前を呼ぶとそちらの方を見るか」「声真似をして繰り返すか」などの行動がみられるかどうかで発達速度を評価します。

その結果、妊娠中の妊婦さんの食物繊維摂取量が少ないことが子どもの発達遅れのリスクの悪化と関連することが報告されました。(2)

食物繊維は母親の腸内で腸内細菌のエサとなり、短鎖脂肪酸という成分に変化します。この短鎖脂肪酸が胎児の神経発達を助けると考えられています。

国民健康・栄養調査によると、妊婦さんの食物繊維摂取量は目標量(18g)に対して、1日3g足りていないことが分かっています。(1)きのこはどれも食物繊維がたっぷりで、一株(約100g)あたり約3gの食物繊維を含んでいます。

きのこには他にも、栄養素の代謝に欠かせないビタミンB群、骨や筋肉の成長に重要なビタミンD、細胞の維持に欠かせないポリアミンなど多くの栄養素が含まれています。それでいて低カロリーなので、体重管理中でも食事からの栄養素をたっぷりとることができる食材です。

毎日の食事にきのこをプラスすることで、まだきのこが食べられない赤ちゃんの分まで菌活をして、きのこの栄養を赤ちゃんの健康に役立てていただければと思います。

参考文献

(1)厚生労働省、令和元年国民健康・栄養調査報告、2019
(2)Miyake K, et al., Front Nutr., 2023 Jul 27;10:1203669.

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