サルコペニア予防にもきのこ!筋肉ときのこのお話
2023.10.06
こんにちは。10月に入り、気候も秋らしくなってきましたね。
「○○の秋」という言葉がありますが、皆さんはどんな秋をお過ごしでしょうか。私は、健康づくりのためにも「スポーツの秋」にしたいと思いながら、ついつい、食欲の秋ばかり楽しんでいます。
そこで今回は、運動をするのにも気持ちの良い「秋」にちなんで、筋肉ときのこのお話をしたいと思います。少し長い文章ですが、最後まで読んでくださると嬉しいです。
皆さんは「サルコペニア」という言葉を聞いたことはありますか?
少し耳慣れない言葉かもしれませんが、私たち誰もがいつか経験することとなる現象です。
サルコペニアとは、『筋肉の量や筋力が加齢とともに衰える現象』のことを言います。
筋肉の衰えを自覚し始めるのは70代ごろと言われています。しかし、実は40代ごろから気づかないうちに筋肉量の減少は始まっています。(1)

また、10~30代の方も注意が必要です。細いモデル体型への憧れから食事制限を続けることで十分な筋肉量がついていない若い方も多いのが現実。(2)
若いうちに十分な筋肉量がないと、加齢により筋肉の衰えがより深刻になると考えられています。

筋肉を育てるには第一に「運動」が効果的ですが、「食事」も重要な要素です。
そして、昨今の研究で、サルコペニアに「きのこ」が役立つ可能性が示唆されています。
以下では、サルコペニアの予防にきのこが役立つかもしれない、という研究をいくつか紹介いたします。
食事と健康は深い結びつきがありますが、
「○○だけたべればいい! ○○という栄養素が最強!」
というものではなく、栄養バランスを考えて食べることが重要になります。
そのため、最近は複数の食材や栄養素を組み合わせて解析する「食事パターン」という考え方の研究が増えてきました。
サルコペニアと食事の関連を調べた日本や中国の研究では、サルコペニアになりにくい食事パターンの食材に共通してきのこが含まれています。(3, 4)

この結果を見ると、筋肉の維持にきのこの様々な栄養素が複合的に効いているために出た結果なのではないかと考えられます。
例えば、どのきのこにもたくさん含まれる食物繊維は、腸内細菌のエサとなり短鎖脂肪酸を生み出すことが知られています。一方、サルコペニア患者では短鎖脂肪酸をつくる腸内細菌が減ってしまっていることが報告されています。(5)
また、短鎖脂肪酸は筋肉を合成する遺伝子を活性化させる働きが知られています。きのこの食物繊維が腸内で短鎖脂肪酸に変わることで筋肉減少を抑えられる可能性があるのです。
さらに、サルコペニアの原因のひとつとして酸化ストレスの増加も考えられます。きのこに含まれる抗酸化成分エルゴチオネインが酸化ストレスから体を守り、サルコペニアを防ぐのに一役買っているのではないかとも考えられます。
アメリカで1298人を対象に行われた研究では、血中のエルゴチオネイン量が多い人は老化に伴う歩行速度が低下しにくかったと報告されています。(6)

人生100年時代を健康に生きるためにも、今日からきのこを食卓にプラスして健康な食事パターンを目指してみるのはいかがでしょうか。
最後までご覧いただき、ありがとうございました!
参考文献
- 谷本ら、 老年医学. 2010; 47: 52-57.
- Yasuda T., interv Med Appl Sci. 2019 Jun;11(2):117-121.
- Yokoyama Y, et al., Nutr J. 2021 Jan 18;20(1):7.
- Li C., et al., Nutrients. 2020 Nov 30;12(12):3689.
- Zhang T, et al., Ageing Res Rev. 2022 Nov;81:101739.
- Nierenberg JL,et al., Aging (Albany NY). 2020;12(12):11914-11941.
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