PAGETOP
研究員の研究日誌

今注目を集める、きのこの睡眠改善成分とは

2023.07.17
今注目を集める、きのこの睡眠改善成分とは

暑くて寝苦しい季節になってきましたが、皆さんはよく眠れていますか?私は、寝つきはとても早いのですが、夜中に眼が覚めてしまう事がよくあります。そのうち半分は子供のキックによるものですが、睡眠の質が悪いのかも知れません。

今日は、きのこと睡眠の話題です。実はきのこには、睡眠改善に効果がある成分が3種類も入っています。それは、GABA、オルニチン、エルゴチオネインです。GABAとオルニチンは睡眠改善効果についての機能性表示食品の関与成分にもなっています。

各成分の主な科学的根拠をまとめてみました。

研究日誌001

上には臨床研究で統計的有意差が見られた代表的な数値を載せていますが、どの成分も被験者自身による主観的な睡眠評価スコアの改善も見られています。

つまり、これらの成分を摂取することで、
・就寝から睡眠に入るまでの時間が短くなる
・深い眠りを続けられる時間が長くなる
・睡眠中に目が覚める回数が少なくなる
といった、睡眠の質を改善する効果が期待できるのです。

でも、きのこに入っている成分量は少ないのでは?という疑問も出てきます。そこで、睡眠改善効果が確認されている各成分の量に対して、きのこの含有量がどれくらいか調べてみました。

研究日誌002

これを見ると、エルゴチオネイン以外は、きのこだけで十分量を摂取するのは難しそうです。しかし、3種類の成分が一度に摂取でき、相乗的な効果があるとすれば、きのこは睡眠改善食材として期待できるのではないでしょうか?

特にオルニチンとエルゴチオネインに関しては、きのこほど含有量が多い食材はほとんどありません。サプリメントではなく普段の食生活から摂取しようとすると、きのこが断然おススメなのです。

一方でGABAは、野菜や果物にも含まれています。トマト、ジャガイモ、バナナ、メロンなど、特にGABAが豊富な食材を組み合わせる事で、より睡眠改善効果を得やすくなると思います。

きのこを食べて睡眠が改善することを確認した臨床試験としては、主に健康食品に使われるヤマブシタケの摂取で睡眠評価のスコアが上がるという報告があります(4)。しかし一般的な食用きのこによる研究例はまだほとんどありません。

さらなる研究の必要性はありますが、睡眠改善効果を持つGABA、オルニチン、エルゴチオネインを普段の食生活から同時に摂取できるという点では、きのこを食事に取り入れる意義は大きいと感じます。

研究日誌003

睡眠と認知機能には密接な関係があります。今夜の睡眠が明日の仕事のパフォーマンスや学校のテストの結果に影響することもあり得ます。

朝からすっきり、元気に活動できるように、毎日のきのこを続けたいですね。

ということで、ここで一句。
「きのこ食べ 今夜はいい寝👍 朝すっきり!」

と思ったけど、今夜も子供のキックで目が覚めそう・・。

開発研究課 森 光一郎(薬学博士)

≪引用文献≫
(1) Yamatsu A. et.al., Effect of Oral γ-aminobutyric Acid (GABA) Administration on Sleep and its Absorption in Humans. Food Science and Biotechnology. 2016, 25(2): 547-551.
(2) Miyake M. et. al., Randomised controlled trial of the effects of L-ornithine on stress markers and sleep quality in healthy workers. Nutrition Journal. 2014, 13, 53.
(3) Katsube M. et. al., Food-derived antioxidant ergothioneine improves sleep difficulties in humans. Journal of Functional Foods. 2022, 95, 105165.
(4) Venturella G. et. al., Medicinal Mushrooms: Bioactive Compounds, Use, and Clinical Trials. International Journal of Molecular Sciences, 2021, 22, 634.

きのこらぼに無料会員登録をしていただき、ログインした状態で記事をご覧いただくとポイントがもらえます。
貯まったポイントは、プレゼント応募にご利用いただけます。