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きのこ面白情報

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【きのこ面白情報】とよ田キノ子さんコラムvol.25 世界で一番短い“きのこ文学”

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こんにちは。
とよ田キノ子です。

五・七・五の17文字からなる文学といえば、そう、俳句です。
限られた文字数の中で、選び抜いた言葉をつなげ気持ちを伝えるというのが魅力のひとつです。
読む側の想像力が試されるところにも面白さがありますね。
俳句は季語を入れることがお作法ですが、もちろん「きのこ」も季語(秋)です。
今の時期は「梅雨茸(つゆだけ/つゆきのこ)」という季語もあります。
ちなみに、俳句は世界で最も短い定型詩だそうで、
つまり、きのこを詠んだ俳句は世界で一番短い“きのこ文学”!
なんかちょっとワクワクしませんか?
今回は、そんなきのこにまつわる俳句について、ご紹介しようと思います。

うつくしや あらうつくしや 毒きのこ

これは森で毒きのこと出会ったときの感動がダイレクトに伝わってくる一句ですね。
美しい毒きのこはたくさんありますが、やっぱりベニテングタケかな?
それともベニタケ…、いやいやドクツルタケも美しい。
この詠み人は一体どんなきのこに出会ったのか、想像するのも楽しいです。
そんな、きのこ好きのハートをキャッチしてしまう俳句を詠んだのは、
教科書でも馴染みのある江戸時代を代表する俳諧師・小林一茶。
1763年、今でいう長野県信濃町で生まれた小林一茶は、
生涯に約2万句という膨大な数の俳句を残しましたが、その中できのこの俳句を多く詠んでいます。
いくつかご紹介しましょう。

天狗茸 立てり魔所の 入口に

手の前に 蝶の息つぐ茸哉

鶏の 掻き出したる 菌かな

風土と共に生きる百姓的な視点で詠んだ俳句が多い一茶、
信州の土地で生まれ育ったこともあり、きのこが身近で気になる存在だったのかもしれませんね。
今年、2013年6月15日は小林一茶生誕250年というメモリアルイヤーでもあるそうで、
長野県内でいろいろな催しが開催されているようです。
この機会に、一茶のきのこ俳句を訪ねる旅をしてみる、なんてどうでしょう。

季語は“言葉の宝石”と言われることがありますが、
これは四季がある日本だからこその言葉の美しさを表す、とても素敵な表現だと思います。
俳句を始めると、見るもの・聴くもの・触れるものなどなど、
世の中の全てに好奇心が湧くというのも、うなずけますね。
だって、身の回りの全て、キラキラ輝く“言葉の宝石”で囲まれているということなのですから。
個人的には学校の授業で触れてから、それ以上には馴染みのなかった俳句ですが
意識するだけで世界が変わって見えるというのは、きのこにも共通するところです。
そう考えると、ちょっと興味がわいてきますよね。
実際、きのこ俳句を考えだすと、
「このきのこのかわいさ・美しさを表現したい!」と思うようになるのですが、
なかなか言葉が出てこないので、もどかしくもあり、楽しくもあり…。
これはハマってしまいそうです。
あなたも、世界で一番短い“きのこ文学”に触れてみませんか?
日常がちょっと変わって見えるかもしれません。
それでは私も最後に一句。

会えるかな 姿をさがす 雨あがり

お粗末さまでしたm(_ _)m

(今回の写真は、上諏訪地方の土産物。いつ頃の物かはわかりませんが、これを買った
旅人も旅先で一句詠んだかもしれませんね。)

【次回コラム予告】
菌友をつなぐコラム、2人目は日本で唯一の“きのこライター” 堀 博美さんです。
きのこについて語り出したら止まらない!そんな堀さんから飛び出すお話はいかに!?
どうぞお楽しみに。

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とよ田キノ子
アートディレクター、グラフィック&ウェブデザイナー、きのこグッズコレクター。
2007年に“キノコ病”を発症し、以後「とよ田キノ子」名義で活動を開始。
キノコグッズコレクションの展示や、キノコをモチーフにしたイラスト作品展、
キノコイベント等を開催。
2011年9月、グラフィック社より出版された『きのこ(乙女の玉手箱シリーズ)』を監修。
日々、キノコの魅力を伝える“胞子活動”を行っています。
信州きのこの会会員。

とよ田キノ子さんウェブサイトはコチラ

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