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きのこ面白情報

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【きのこ面白情報】とよ田キノ子さんコラムvol.26 夏の夜の夢、フェアリーリング

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こんにちは。
とよ田キノ子です。

森や野原、公園などできのこを探していると、
ときどき円を描いて生えているきのこに出会うことがあります。
まるで絵本やおとぎ話に入り込んでしまったような感覚に陥ってしまいますが
これは菌輪(きんりん)という、きのこが円や弧を描いて発生する現象です。
この現象は日本ではあまり馴染みがないかもしれませんが
英語では「Fairy Ring」「Fairy Circle」など「妖精の輪」と表現され、
妖精たちが輪になって踊った跡だという民話に由来しています。
この他にも、魔女文化のあった地域では「魔女の輪」、
中欧・東欧各国ではドラゴンの休息の場であると伝えられています。
また、菌輪は妖精の世界への入り口であったり、
別の場所や過去・未来へ行き来できる扉であるという話もあります。
このことからも、古くから不思議な存在だったことがうかがえますね。
みなさんも、もしフェアリーリングを見つけてしまっても、中に入る時にはご注意を。
“あちら側”へ行ってしまうかもしれませんよ(笑

さて、フェアリーリングは、物語の中にも登場します。
例えば、英国の劇作家ウィリアム・シェイクスピアの遺作『The Tempest(テンペスト/あらし)』では、
「月夜に羊も食わない苦い緑の輪を草地につくるおまえら、真夜中に茸を作って遊ぶおまえら妖精よ」
と主人公が妖精に呼びかけるシーンがあります。
また、戯曲『夏の夜の夢』は夏至に妖精の祝祭が行われるというヨーロッパでの言い伝えが背景になっており、
妖精が輪を描いて踊ったり、演出によっては“きのこの妖精”が登場します。
生長の早いきのこは、前日までなかった菌輪を一夜にしてつくり上げることがありますが、
それを妖精のしわざだと考えた人々の想像力の豊かさを感じさせます。

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では、実際の菌輪とは、どういうものなのでしょうか。
菌輪は菌糸が放射状に伸び、中心部から死滅していくことで円環状になり、徐々に広がっていきます。
ユタ州立大学によると菌輪の半径は年間20cm成長する可能性があり、
過去にはフランスで直径が約600m・菌体の総重量100t、
菌輪としての年齢が推定700歳のものが発見されたと報告されています。
菌輪をつくるきのこは約50種ほどで、「シバフタケ(英名:Fairy Ring Mushroom)」がよく知られています。
見た目はメルヘンな菌輪ですが、芝を枯らせたり変色させてしまうので、
ゴルフ場や公園などのグリーンキーパーさんにとっては「フェアリーリング病」という嫌われモノです。
一方で、菌輪によって芝が色濃く繁茂する特徴に注目した研究も行われてきました。
2010年、静岡大学の研究グループがその“妖精”の正体を明らかにすることに成功し、
今後は農作物の増産への応用が可能であることが発表されています。

今も昔も、おとぎ話の世界から科学的なことまで、
私たちにインスピレーションを与え続けてくれる存在、きのこ。
菌輪をとってみても、国によって連想するものが異なるのも興味深いですね。
きのこをじっと観察してみたら、なんかイイコト思いついちゃうかも!?
その場合は、くれぐれもメモをお忘れなく。
夏の夜の夢のように忘れてしまうかもしれませんから。

(今回の写真は、Amy Ross(エイミー・ロス)氏によるコラージュ作品「Fairy Ring」(筆者所有作品)。
こんな“きのこの妖精”なら、会ってみたいですね。)

【次回コラム予告】
菌友をつなぐコラム、3人目は漫画家・雑学ライター 日高トモキチさんです。
日高さんの目を通して見ると、きのこはどのように写っているのでしょうか?
どうぞお楽しみに。

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とよ田キノ子
アートディレクター、グラフィック&ウェブデザイナー、きのこグッズコレクター。
2007年に“キノコ病”を発症し、以後「とよ田キノ子」名義で活動を開始。
キノコグッズコレクションの展示や、キノコをモチーフにしたイラスト作品展、
キノコイベント等を開催。
2011年9月、グラフィック社より出版された『きのこ(乙女の玉手箱シリーズ)』を監修。
日々、キノコの魅力を伝える“胞子活動”を行っています。
信州きのこの会会員。

とよ田キノ子さんウェブサイトはコチラ

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