4月の特集テーマ
自分の好きなことを、仕事に。ライフワークに。

夢は日本から海外へ。もっともっと人を幸せにしたい

2017.04.24

学生時代からフードコーディネーターとしての仕事を始め、20代でカフェ「HACOBU KITCHEN」を京都にオープンした中山咲子さん。インタビュー後編では、順風満帆に夢に向かって突き進んだ中山さんが、今、これまでを振り返って思うこと、そして日本を飛び出し、ドイツに移住するという次のステップへの想いを笑顔で語ってくれました。

学生時代からフードコーディネーターとしての仕事を始め、20代でカフェ「HACOBU KITCHEN」を京都にオープンした中山咲子さん。インタビュー後編では、順風満帆に夢に向かって突き進んだ中山さんが、今、これまでを振り返って思うこと、そして日本を飛び出し、ドイツに移住するという次のステップへの想いを笑顔で語ってくれました。

中山 咲子さん
教えてくれたひと
中山咲子(Sakiko Nakayama)
岡山生まれ。アメリカや名古屋を転々として育ち、デザイナーを志して京都造形大学情報デザイン学科へ。在学中に「株式会社はてな」でまかないづくりをはじめ、卒業後はフードコーディネーターとして独立。2011年、京都・五条にカフェ「HACOBU KITCHEN」をオープン。2015年からはケータリングやレシピ開発、撮影用のスタイリングなどに専念。2017年秋からドイツに移住予定。
http://hacobukitchen.com/

夢は日本から海外へ。もっともっと人を幸せにしたい

描いた夢は、周りの人に語ってみる

大学在学中にIT企業でまかないづくりを任され、卒業後はフードコーディネーターとしても活躍。さらに24歳にしてお店をオープンするなど、これまで順調に思い描いた夢を形にしてきた中山さん。オープン後の4年間は、どの仕事もさらに広がっていき「とにかくとことん働いた」という日々だったそうです。そのエネルギーの源は、どんなところにあったのでしょうか?

インタビューカット

「これまでやってこれたのは、出会いに恵まれたということが一番大きいと思います。そして、今振り返ってみると、その時々で“自分を追い込む”ということをしていたような気がしますね。こうなったら自分が心地いいな、と思うような状況を思い描いたら、それを周りの人に言っちゃうんです。まるで夢物語のように。そうやって公言すると、もう引き返せない。あと、私の場合は今まで会社に所属したことがないので、何をしても自己責任なんです。失敗したり、なんか違うなと思っても『あ、自分で決めてやってるんだな』って思うと責任もってやりきるしかないじゃないですか(笑)」

大きく自由に夢を描く一方、自己責任だと自覚しているからこそシビアな面もあり、お店をオープンする際には経営がうまくいかなかった場合に、融資額を返済できるかどうかを突き詰めて考えもしたのだそう。

「『食べる』という行為って、性別や年齢、国籍関係なく、誰に対しても必要な行為で、生きていくための身体を作るのはもちろん、生きる力になるような、幸せな食の記憶を作れるものだと思うんですね。そんな『食』の持つ魅力に向き合えば向き合う程どんどんはまっていますね。それに季節ごとの旬があって変化に富んでいるし。毎年食べているのに、『新玉ねぎって、なんて甘いんだ!』って感動するんですよ」

「食」そのものの魅力も、これまで続けてきた原動力になっているんですね。
そんな中山さんが、夢を叶えた次のことを考えはじめたのは、カフェをオープンして2年目に「もう1店舗出しませんか」と誘われたときのこと。これから事業を拡大していくという方向はちょっと違うのではないかと思ったそうです。

「その後も寝る間も惜しんで駆け抜けてきたけど、ちょっと速度を落としたいなって思ったことがあって。ずっと続けてきたまかないも、ただつくって配達するだけになってしまっていたんです。以前は配膳して、みんなと一緒に食べていたのに、いつのまにかそういうコミュニケーションができない状況になっていました。食べている人の顔が見られないのはどうなんだろうって思った結果、カフェの運営は別の人にお願いして、ケータリングに集中しようって決めたんです。それが2年ほど前ですね」

さらなる追及のために、ドイツへ

そんな中山さんにさらなる転機が訪れたのは、2016年の秋のこと。ケータリングやレシピ作成を行いながら、食や料理について勉強するために図書館に通い、ある本に書かれていた「バイオダイナミクス農法」に興味を持った中山さん。バイオダイナミクス農法とは有機農法・自然農法の一種で、ドイツやスイスで普及している、循環型農業のこと。その生産者団体「デメター」は、最古のオーガニック認定機関としても知られています。そのドイツへ、ふとした機会を得て、2ヶ月間滞在したそうです。

ドイツ

「ドイツのオーガニック食材でつくる家庭料理のレシピを考える仕事をしたりしながら、ドイツ以外にもいろいろな国へ旅行もして、ヨーロッパの食文化に直接触れる機会になりました。特にドイツは環境への意識も高くて、地域の中で農業や牧畜と消費者が手をつないで、必要な分だけ食べ物をつくるという伝統があるんです。“いい食循環”っていうんでしょうか、私がアメリカ留学で感じたようなずっと食の流通への疑問の答えもそこにあるような気がしたんです。それで、今は実際にドイツで暮らしてみようと準備を進めています」

ドイツには“エコロジー先進国”といわれるほど環境への意識が高い国で、世界で初めて環境保護法を制定した国としても知られています。滞在中、中山さんも、若者が当たり前のようにリサイクル活動をしている様子や、農村での循環型農業が実践されている様子を目にしたのだそう。

きのこの本

また滞在中は、きのこ狩りも体験。森の中に分け入って、ササクレヒトヨタケなどのきのこを採ったりもしたのだそうです。写真の図鑑も現地で中山さんが購入したもので、「菌が増殖したり発酵したりすること自体にぞくぞくする」というほど、中山さんはもともときのこも大好き。

「きのこは、風味を豊かにしたり、腹持ちを良くしたりという点でケータリングで本当によく使っています。エリンギや、ブナシメジマイタケなどを多めのオリーブオイルとニンニクで炒め煮にしたものを時間のあるときに作って、きのこストックしているんですよ! スープに少し入れても良いし、蒸し野菜に和えたりしても良いし。どんな料理にも風味と栄養素をあげてくれる万能食材だと思っています」

そしてきのこを含めた「自然」に惹かれ、「料理とは自然を活かしてアレンジして伝えるもの」だとも考えているのだそうです。

インタビューカッ

「料理をビジネスの手段にするという方向ではなく、もっと身近にいる大切な人のために、愛情を込めてごはんをつくり続けたいって思ったんです。京都ではやれる限りのことをやってきたと思いますし、これからはドイツで、料理というより食そのものを考え直してみたいと思っています。もともと知らないことを身につけるのが好きだし、自由に動けるうちに行こうって。ドイツ語はまだこれからなんですけどね(笑)」

中山さんがドイツへ移住するのは今年の6月頃。現地では料理教室の仕事をしながら、オーガニック農園でも働きたいと考えているそうです。その先はどうなるかわからないけれど、いずれは日本に帰って得たものを生かしたいと思っている、と中山さん。新たな夢に向かう中山さんの表情はイキイキと笑顔にあふれていました。

新しいこと一歩を踏み出し、夢を叶えるために必要なのは、「やってみたい!」「かなえたい!」と思う強い願いと、実行に移す熱い気持ち。そして、自分の生活環境や状況に合わせて、自分自身ができることに前向きに打ち込むことだと、気づかせてくれたお二人のインタビュー。いかがでしたでしょうか。みなさんもぜひ、この春は新しいことに挑戦し、新たな夢や目標を追いかけてみましょう。

今おすすめのきのこレシピ

きのこと白菜の旨煮〜ゆず風味〜

暦の上では冬となり、寒さの厳しくなる時期にぴったりな1品。きのこには血行を良くするナイアシンが豊富に含まれます。ゆずのヘスペリジンにも血液のめぐりを改善して、さらに冷え予防に効果的。身体を芯から温めてくれるあんが白菜やきのこに絡むのが美味しい和食メニューです。

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