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2月の特集テーマ
将棋の魅力、人気の秘密。

子どもの成長に欠かせない「礼儀と心」を学ぶ。習い事にも人気の将棋

2018.02.26

知育や情操教育にもよいと言われる将棋は、この春からの習い事として今注目を集めています。今週の「きのこで菌活。」コラムでは、春に向けたダイエットを成功させる方法についてご紹介していますが、トレンドコラムでは、この春から始めたい、将棋を教育に取り入れることの魅力を、5歳から将棋を続けている上田さんと日本将棋連盟学校教育アドバイザー安次嶺さんに伺いました。

知育や情操教育にもよいと言われる将棋は、この春からの習い事として今注目を集めています。今週の「きのこで菌活。」コラムでは、春に向けたダイエットを成功させる方法についてご紹介していますが、トレンドコラムでは、この春から始めたい、将棋を教育に取り入れることの魅力を、5歳から将棋を続けている上田さんと日本将棋連盟学校教育アドバイザー安次嶺さんに伺いました。

上田 初美さん
教えてくれたひと
上田 初美(Hatsumi Ueda)

将棋の女流棋士(三段)。東京都小平市出身。伊藤果八段門下。プロ棋士として対局をするほか、指導対局や詰め将棋の作成など、普及活動にも尽力している。2歳の娘さんを育てるママでもある。

安次嶺隆幸さん
安次嶺隆幸(Takayuki Ajimine)

私立暁星小学校教諭。公益社団法人日本将棋連盟学校教育アドバイザー。 2015年からJT将棋日本シリーズでの特別講演を全国で行う。中学1年生のとき、第1回中学生名人戦出場。その後、(故)剣持松二九段の門下生として弟子入り。アマ五段位。

「負けました」から学ぶ、大きな成功につながる心の成長。

「近年、子ども達に将棋を習わせたい!という親御さんが増えていることは確かです。集中力がない、落ち着きがないなどの課題を解決するために、将棋は役に立つと言われています。また、大人の方で将棋を始めたいという方も、多くなっているように思います」

と、話す上田さん。将棋を習うことの魅力は何でしょうか。

「私は、5歳から将棋を始めました。3つ上の兄が先に将棋を覚えたことがきっかけです。当時、男の子と女の子の比率は9:1くらいで、ほとんど女子はいませんでしたが、楽しみながら将棋道場に通っているうちに棋力が高まっていきました。今は、男子と女子の比率は7:3くらい。女の子も将棋を指す時代となり、将来有望な子どもも多くいます

 

ジュニア将棋大会の様子

ジュニア将棋大会の様子

女性と男性では、プロ棋士の制度が違うなどの差があるものの、上田さんは中学校1年で女流棋士としてデビューし、2011年には「女王」のタイトルも獲得しました。

「将棋の練習というのは、初心者も上級者も方法は大きくは変わりません。詰将棋だったり、他人の棋譜を並べることだったり。一番いいのは、盤を挟んで実際に将棋をたくさん指すこと。最近ではインターネット対局などもできるので、実際に将棋を指す機会も昔よりも得やすくなりました。これから始めたいという方にとっても、ハードルが下がったのではないかと思います」

「私も小さな頃から将棋を指してきましたが、一番身についたのは礼儀と集中力だと思います。特に、対局の中で礼儀作法はとても重要に考えられていて、礼に始まり礼に終わるという日本古来の作法が守られています。また、将棋は投了の際に、自分で『負けました』と言わなくてはなりません。自分の負けと認め、悔しさを乗り越えて、強くなっていく。その負ける経験が実は現代の子ども達には少ないのですよね」

一度の負けから学ぶことは多く、それは自分の子どもにも経験させたいと、上田さんは話します。

忘れてはいけない、我慢すること。

日本将棋連盟では、日本の伝統文化である将棋を次世代に継承する事業の一環として、平成18年末に学校教育課を創設。これは、思考力・集中力・決断力・洞察力の養成など、将棋の教育的効果の高さに注目してのことでした。
日本将棋連盟の学校教育アドバイザーの安次嶺さんにも、お話を伺いました。

「私は、33年間、小学校という教育現場で子ども達と共に歩んできましたが、最近『ウチの子は落ち着きがなくて、いつもイライラしているんです。学校ではいかがでしょうか』という相談を多く受けます。我慢できない子、すぐにキレる子、あきらめが早い子などは確かに増えており、子ども達だけではなく、私達大人も含めて、日本人が何か大切なものを忘れてしまっているように思えてなりません。そう、それは「我慢する機会」ではないかと思い至ったのです」

今は、欲しいものがすぐに手に入る世の中になりました。お腹が空けば、24時間営業のコンビニやインスタント食品もすぐ手が届くところにありますよね。「ちょっと我慢しなさい!」と親が子どもに我慢の大切さを学ぶ機会を失わせてしまったと、安次嶺さんは話します。

「将棋は、相手がいなくては対局ができません。目の前にいる相手と一手ずつ交互に指し手を進めて、二人で一歩ずつ長い道のりを歩いていきます。そのため、相手のことを受け入れ、相手の手番も待つということを、当たり前のこととしてやっていきます。また、将棋をすることで、考えを積み重ねていく地道な習慣も身につきます。指し手のすべての決断を自分の責任で行うという厳しさ、相手の手の意味を考え、意図を汲むことも子どものうちから覚え、自他ともに精神的に成長できることを、実体験として覚えていきます」

 

 

そしてやはり大切なのは、3つの礼。「お願いします」の礼、自分で自分に負けを宣言する「負けました」の礼、そして、一緒に駒を一つひとつ数えながらしまい、最後にお互いに対して言う「ありがとうございました」の礼。何よりもこの3つの礼こそ、学校教育の中で今の子どもや日本全体が見失いかけている大切なことなのではないか、と思い至ったのだそうです。

「2008年と2009年にハワイで将棋のイベントが行われました。指導にあたった島九段によると、ハワイ在住の子供たちに将棋の心得を説いて、投了の合図と意味を示し、負けたら自分から『負けました』としっかりと言いましょうと教えたら、「No!」と言って激しく拒まれたそうです。現地の小学校低学年の子どもは泣き出して、その場から逃げ出そうとしたとか。その子どもにとっては、自分の負けを認めることは自分のすべてを否定されるように感じてしまったのでしょう」

「負けました」と負けを宣言する言葉の背景には、日本人が長年抱いてきた美学があります。長い歴史の中で、将棋を指す人、将棋を観る人が多く、この歴史が失われないのは、きっとその美学が共感され、自分の成長を実感でき、感動を生むからでしょう。
負けから学び、そしてもう一度這い上がる勇気や他人に対する謙虚さや思いやりを学べるのが将棋のとても良いところ。子どもだけでなく、大人にとっても自分自身を見つめ直すいい機会となるのです。この春から将棋を始めてみてはいかがですか?

 

【今週更新!きのこで菌活。】

将棋は自分自身との戦いでもあります。ダイエットも自分自身との戦い。日々の食習慣を改善し、春に向けたダイエットを成功させるための食事のポイントときのこで菌活をご紹介します。

今週の「きのこで菌活。」を読む ▶︎

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