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10月の特集テーマ
「薬膳の魅力」

家庭で楽しむ「薬膳」で、人生がもっと豊かに

2017.10.09

10月の「ピンクリボン月間」に合わせて、女性と子どもの健康をテーマに「薬膳」の魅力をお伝えしている今月のトレンドコラム。1週目に続き、中国医学研究家で「薬膳」のプロフェッショナル・瀧本靖子さんにお話をうかがいます。今週の「きのこで菌活。」では、腸内環境を整えて、栄養素を取り入れやすい健康的な身体を作る方法をご紹介していますが、「トレンドコラム」で今週お届けするのは、女性にとっての健康の考え方と、家庭での薬膳の取り入れ方についてです。

10月の「ピンクリボン月間」に合わせて、女性と子どもの健康をテーマに「薬膳」の魅力をお伝えしている今月のトレンドコラム。1週目に続き、中国医学研究家で「薬膳」のプロフェッショナル・瀧本靖子さんにお話をうかがいます。今週の「きのこで菌活。」では、腸内環境を整えて、栄養素を取り入れやすい健康的な身体を作る方法をご紹介していますが、「トレンドコラム」で今週お届けするのは、女性にとっての健康の考え方と、家庭での薬膳の取り入れ方についてです。

教えてくれたひと
瀧本靖子(Yasuko Takimoto)中国医学研究家、国際中医師、国際薬膳師、管理栄養士
実践女子大学家政学部食物学科管理栄養士専攻卒業後、漢方と食事で病気の治療をする病院の食養内科に勤務。その後、老人福祉施設で管理栄養士として勤務。その頃、中医学の面白さに魅了され、中医学、薬膳を学ぶ。2005年4月に横浜・青葉台で「薬膳料理レストラン心味」を開店。2006年より「薬膳教室心味」として今に至る。東京・横浜の教室を中心に、カルチャーセンター、大学の生涯学習センター、各地サロンで薬膳を教えるほか、各種イベントやレストランにおけるメニューの監修などを手がける。著書に『免疫力を上げる魔法のスープ』(PHP研究社)、『お酒と楽しむ薬膳ごはん』(学陽書房)がある。

薬膳で加齢による変化を“ゆるやかに”する

「ご存じの方も多いかもしれませんが、女性は7の倍数、男性は8の倍数の年齢で身体が変化すると言われています。女性の場合は28歳、男性の場合は32歳が生命力のピーク。生まれてからこの年齢に至るまでの間に生命力が高まっていきます。そして最盛期を迎えたあとは、女性は35歳、男性は40歳で加齢による衰えが出はじめ、40代でさまざまな不調を感じはじめるわけです」

瀧本さんに家族の健康と薬膳の関係について聞いたところ、こんな中医学の考え方を教えてくれました。人間には「五臓(※1)」があり、そのうちの「腎」が貯蔵しているのが、生きるためのエネルギー「精」。子どもにとってはこの「精」が発育の元となり、大人にとっては加齢とともに「精」が減少していくことが老化であると考えるのだそうです。そういえば、日本語でも栄養のあるものを食べて元気になることを「精をつける」と言いますよね。
※1 五臓…心・肝・脾・腎・肺

「こういった加齢による変化は自然なものですが、『女性の不調』は変化によるギャップが引き起こすことが多いんです。そのギャップをできるだけ緩やかにするということが、薬膳におけるアンチエイジングの考え方ですね」

たとえば、40代半ばのいわゆる「更年期」といわれる時期に起こる不調、冷えやのぼせ、倦怠感などは、女性ホルモンのひとつ「エストロゲン」が減少することで起こります。

「加齢による不調をやわらげるには、『腎』の働きを強めて生きるためのエネルギーである『精』や『天癸(※2)』を増やす、と薬膳では考えます。「腎」は五臓の一つで、老化や生命をつかさどる臓。腎の働きを補って、足腰や性機能の衰えをサポートしてくれる『くるみ』や精を増やしてくれるとされる『クコの実』を食事に取り入れるのです。私の場合は、毎日、そのまま食べていますよ。くるみや栗は頻尿にも効果があるとされるのですが、生徒さんにおすすめしたら1ヶ月で頻尿が改善したと言っていましたね」
※2 天癸…精が体内に十分に貯蔵されると分泌される性ホルモンにあたるものを天癸と言う。天癸の分泌により月経が始り、天癸の枯渇により閉経となる。

きのこの栄養素や取り入れ方を知っているだけで簡単に実践できる「きのこで菌活」と同様に、ちょっとした薬膳の知識があることで、子どもや家族の健康にも役立てることができる、と瀧本さん。子どもによっては、食が細くて「精」を多くつくれない、あるいは「腎」が生まれつき弱くて「精」を貯蔵する力が弱い場合もあるそうです。そんなときは……。

「もちろん生まれつきの体質がありますから、個々に合わせた食材選びが必要になりますね。ただし、基本的に子どもの臓は未完成で、14~16歳くらいまでにかけて成長・完成されていきます。だからこそ、必要なのは『精』を増やす食材と『腎』の働きを強める食材。これらを日々の食生活にバランスよく取り入れるといいと思います」

  代表的な元気が出る食材、腎の働きを強める食材
1 野菜類 カリフラワー、キャベツ、ブロッコリー、山芋 など
2 肉類 豚肉、牛肉、うずらの卵 など
3 魚類 カツオ、イワシなど

 

ちなみに、きのこは虚弱体質改善にいいのだそうで、食欲不振・無気力・消化不良に効能があると瀧本さん。子どもや家族の健康のためにおすすめしたいお料理も教えてくださいました。「きのこで菌活。」コラムでご紹介している、きのこに豊富な栄養素の知識に加え、薬膳の知識を取り入れることで、効果も倍増しそうですね。

子どものおねしょ対策に サーモンとマイタケの炒め物

腎を強化して排尿をコントロールする力をアップさせる栗と、腹部の冷えを改善するサーモンに、消化不良を助けるマイタケを合わせて炒め物に。

【作り方】
生鮭とマイタケを一口大に切る。
フライパンにオリーブオイルをひいてスライスしたにんにくと唐辛子1本を炒め、香がでたらサーモンと舞茸を加えて炒める。
そこに、しょうゆとブラックペッパーを入れて味付けする。


虚弱体質の改善に きのこと鶏肉のスープ

食欲不振の解消に効果のあるきのこに、精のつく山芋、そしてタンパク源となる鶏肉を入れて。

【作り方】
ブナシメジ、鶏もも肉を食べやすい大きさに切り、お湯に入れる。
火が入ったら、アクをとって、塩、胡椒、すりおろした山芋を加えひと煮たちしたら溶き卵をまわし入れる。


落ち着きのない子どもに ごぼうと黒豆の炊き込みご飯

熱を下げるごぼうと血流を整える黒豆を入れて。

【作り方】
ごぼうはささがき、黒豆は一晩水に浸す。
炊飯器に洗った米、ごぼう、油揚げ、黒豆、黒豆の戻し汁、水、塩を加えて炊く。


その他、瀧本さんの女性にうれしいレシピは下記のサイトでも掲載中です。
https://ninkatsuouen.jp/health_food/vol01.php

 

効能に合わせた食材の組み合わせを、
家庭料理に取り入れる

「健康の源は食事であり、家庭で毎日食べる食事は、家族の心身へ多大な影響があるんです。私自身も経験から、体調を崩してしまったときにはまず薬膳で体調を整えることの大切さを知りました」

たとえば、メタボ気味の家族が居たら、血流が原因なのか、体力のなさが原因なのか、その要因を分析して改善できる食材を取り入れてみる。ご主人が喫煙者であれば、タバコの害をケアできる春菊などの食材を取り入れてみる。家族それぞれの健康を考え、どんな食材の組み合わせがいいのかを考えて料理するのが薬膳。中華風でなくても、いつもの味つけや調理法で構わないそうです。家族の健康を考えてつくられた、家で食べる薬膳料理を広めることは、瀧本さんの願いでもあります。

「そして、食事って本来、楽しいものですよね。薬膳では、身体と心はつながっていて、1つであると考えます。私は薬膳とワインの組み合わせを提案しているのですが、それは心身両面を健康で豊かにしていくことで、相乗効果が生まれると考えているから。適量のお酒とともに薬膳を楽しんで、家族みんなで健康になってほしいと思っています」

そして、最後に教えてくれたのが、瀧本さん自身のこと。実は瀧本さん、バレエが趣味で、この大好きな趣味を全力で楽しみたいという想いが、薬膳を通して身体を健康に保つためのモチベーションになっているのだそうです。

「身体の不調をきっかけに健康に興味を持つことはもちろん悪いことではありません。でも、ネガティブな理由よりも、ポジティブな理由のほうが、モチベーションが長続きすると思うんです。だからぜひ、皆さんにも『これがやってみたい』『こんな自分になりたい』という前向きな考えで、生活に薬膳を取り入れてほしいですね」

薬膳の考え方と、きのこで菌活には通じるものがあります。家族やご自身の健康や笑顔のために、薬膳やきのこで菌活を取り入れてみてくださいね。
 
 

【次週は、子どもと家族との健康的な毎日を楽しむための特集をお届けします】

【今週更新!きのこで菌活。】

薬膳で身体に必要な栄養素を取り入れるとともに、「すべての健康を司る」と言われる“腸”の健康状態の改善を目指してみませんか。食物繊維が豊富なきのこで、女性の悩み「便秘」や「貧血」といった症状を緩和する方法をご紹介します。

今週の「きのこで菌活。」を読む ▶︎

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