肩の力を抜いて、柔軟に取り入れる。 オリンピアンの食生活と美容とは?
今週から2回にわたってお届けするのは、2008年北京、2012年ロンドンと、二度のオリンピックに競泳選手として出場した伊藤華英さんのお話です。
現在はオリンピアン(オリンピック出場経験者)としての活動のほか、水泳や引退後に習得したピラティスの指導者として、またスポーツ健康科学を専攻する大学院生として多忙な毎日を送っている伊藤さん。
そんな彼女にうかがったのは、食生活と美容についてのお話です。選手時代は徹底して食事管理を行っていましたが、現在は意外にも、こだわりなく何でも試してみるのだそうです。
今週の「きのこで菌活」では、免疫力を高めて夏バテを予防する身体づくりをご紹介していますが、トレンドコラムでは、伊藤さんの厳しいトレーニングを支えた体づくりと食生活の大切さについて伺いました。
—————— 教えてくれたひと ——————
伊藤華英 (Hanae Ito)
ベビースイミングから水泳を始め、2000年日本選手権に15歳で初出場。高校時代から競泳選手として注目を集め、100m、200m背泳ぎで日本新記録を打ち立てるなど活躍。2008年には日本代表選手として北京オリンピックに出場、100m背泳ぎで8位に入賞。怪我により自由形に転向してからも世界選手権・アジア大会での数々のメダル獲得を経て、2012年ロンドンオリンピック自由形の代表選手となる。現役引退後は、ピラティス講師の資格取得と共に、水泳とピラティスの素晴らしさを伝えるのと同時に、スポーツの発展、価値向上のために活動中。
オリンピック日本代表選手として鍛え抜いた日々と食生活
日本競泳界を長年支え続けた実力者にして、美貌のアスリートとしても知られる伊藤華英さん。2012年の引退後は後進の指導にあたるかたわら、ピラティスの講師、また大学院での研究など、さまざまな活動を行っています。「今は博士後期課程の論文を執筆中、佳境です(笑)」と話す伊藤さんに、まずは現役時代を振り返っていただくことに。そこには、特別なアスリートだけが到達できる境地が広がっていました。
「現役の頃はひたすら『鍛錬』、鍛え抜いた先に次があるという感覚でした。目標が決まればそこに向かうだけ。幼い頃から水泳に取り組んで、日本でトップになったと思ったら目の前にオリンピックがあって。でも、オリンピックって、普通の人ではたどり着けないんです。だからとことん練習をする。モチベーションとか、そういうことはもう超越していて。みんながオリンピックを目指してものすごいプレッシャーの中で必死に戦っている、その中で出場できないのは“屈辱”でしかない。そんな環境でした。振り返ってみると、すごい世界にいたんだなって思います(笑)」
オリンピック出場をめざしてトレーニングに明け暮れる日々。北京オリンピック出場の翌年、2009年にケガをしてからも熱意は消えなかったと言います。ピラティスを取り入れてリハビリに励み、背泳ぎから自由形に転向して、2012年のロンドンオリンピックにも出場。同年に引退を決意します。
現役時代は一回で3kg痩せるようなトレーニングをしていたので、身体づくりのために「食べる」ことが本当に大切でした。ときには、食事を受け付けられなくなることもあったので、普段から食事のバランスには特に気を使っていましたね。タンパク質を意識した食事を心がけ、果物や温野菜を多めに摂るようにして栄養のバランスをとっていました。
減量より、むしろ「増量」。栄養を考えてバランスよく「量」をとる食生活が、オリンピック選手のパワーとスタミナを支えているのですね。
食事も美容も、自分に合うものを柔軟に取り入れる
現役時代のストイックな食生活の反動というわけではありませんが、今は、身体が自然に心地いいと感じるものを摂っていると言います。その理由は、「あまり決めすぎると疲れちゃう」から、なんだとか。
「現役時代は身体のケアを徹底しますから、栄養士の先生から学んだり自分で勉強したり、情報や知識はたくさんあるんです。特に引退してからは、その中でいろいろ試して、自分に合うと感じたことを続けるようにしています。たとえば、水をよく飲むこと。水分不足になるとむくみますし、たくさん水を飲むと身体の調子がいいんです。あとは、今話題の『水素水』も。科学的に効果が証明されていないと言われていますが(笑)、寝る前に水素カプセルを飲むと朝スッキリ起きられます。また、フルーツや野菜やきのこは、意識して食べています。でもフルーツは糖分が多いので、夜は控えたり、夏は夏野菜が美味しいのでたくさん食べますが、夏野菜は身体を冷やすので、体を温める効果のある根菜も意識してとっています。あまり考えすぎずに、視野を広く、柔軟に取り入れていきたいですね」
さらに、こだわりの美容法について聞いたところ、教えてくれたのが愛用のローズヒップオイルです。オーストラリア生まれのスキンケアブランド「トリロジー」のもので、自然由来の成分にこだわりつつも、使い心地を追求したコスメです。
「オーストラリアに親戚が住んでいるのでよく行くんですが、チアシードやキヌアがふつうに食卓に出てくるほど、オーガニックが盛んです。その中で特にいいなと思ったのが、このオイルです。プロテニスプレイヤーの友人もすすめてくれて、日常のケアにはもちろん、日焼けしたときは特に効果が実感できます。いろいろ試してみて、いいなと思ったら続けてみる。美容にも健康にも、それくらいのスタンスで向き合っています」
引退後も前向きにいきいきと水泳やピラテスの指導にあたっている伊藤さん。競技からの引退後は、自分のペースで頑張ることにしてるそうです。
「今までお話ししたように、現役時代はストイックに練習に打ち込み、その分結果も残してきましたが、、今は自分の好きなものや身体に合うものを柔軟に取り入れることにしている、んです。食事でも美容でも、肩の力を抜いて取り組んでみることも大切かなと思っています」
そのメリハリこそが昔も今も、伊藤さんが輝き続け多くの人に勇気を与えている秘密なのでしょう。
終始リラックスした雰囲気のインタビュー中、スズメが数羽、伊藤さんに近寄っていくというシーンも。「いつも、犬とか猫とかがめっちゃ寄ってくる(笑)」と伊藤さん。突き詰めてひとつのことを成し遂げた人だからこその絶妙な力の抜け具合に、動物たちもつい気を許してしまうのかもしれませんね。
【次週は、「オリンピアンが教えてくれた『頑張らないで頑張る』方法をお届けします】
伊藤さんの厳しい練習の裏には、野菜や果物を取り入れた食生活がありました。今週の「きのこで菌活。」では、夏バテに負けないための栄養素、きのこに含まれるビタミンやミネラルについてご紹介します。
今週の「きのこで菌活。」を読む ▶︎
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