close
きのこで菌活。

理由がわかれば怖くない!「夏バテ」の予防法

菌活1

 

「夏場になると気分や体調がすぐれなくて……」という方も多いのではないでしょうか。今年の夏を元気いっぱいに楽しむために、今からしっかり夏バテ対策をしておきたいですよね。今週のトレンドコラムでは、モデルの仕事をしながらトライアスロンの選手として活躍する丹羽さんに、身体を健康に強く美しく保つための食に対する考え方について伺っていますが、「きのこで菌活。」では、管理栄養士の松岡里和先生に夏バテのメカニズムとその予防策、インナーケアの大切さについて教えていただきます。暑い季節をパワフルに乗り切るための秘訣とは……? 

 

—————— 教えてくれたひと ——————

riwa matsuoka

松岡里和(ニュートリズム代表・管理栄養士・日本糖尿病療養指導士・病態栄養認定管理栄養士)

総合病院や医療現場の管理栄養士として勤務し、栄養・給食管理、栄養カウンセリング、NST(栄養サポートチーム)など、チーム医療の実践に尽力。2万人以上の栄養カウンセリング実績を持つ。病院栄養士より独立後、管理栄養士によるコンサルティング事務所ニュートリズム【NUTRism】を設立。『栄養する。そして笑顔になる。』をコンセプトに、講演・セミナー講師、企業や飲食店のコンサルティング、レシピ・商品開発、書籍執筆、メディア出演、アスリートへの栄養サポートなど多方面で活動を行っている。

 

夏バテの原因はズバリ“自律神経の乱れ”!

—— 編集部:暑さが増してきて、いわゆる夏バテの症状に陥っている方も多いと思います。夏バテと聞くと、「身体がだるい」、「食欲がない」といった身体の不調が思い浮かびますが、ほかにはどんな症状が挙げられますか?

—— 松 岡:一般的には、全身の疲労感や倦怠感、無気力、イライラ、食欲不振、不眠、ふらつき……こういった夏場の体調不良のことをひとくくりにして“夏バテ”と呼んでいます。ですが特にはっきりとした医学的な定義があるわけではないのですよ。

—— 編集部:夏バテが無気力やイライラといった精神的な症状まで引き起こすとは思いませんでした。こういった不調に頭を悩ませている方も多いと思いますが、そもそも、夏バテはなぜ起きるのでしょうか?

—— 松 岡:夏バテの原因は大きく分けて3つあります。1つ目は自律神経の乱れです。特に、室内外の温度差によって引き起こされる自律神経の乱れが、現代の日本人にとって一番の原因になっていると言われています。

—— 編集部:暑い外からエアコンで冷えた室内に入ることによる急激な温度変化が、夏場の体調不良を引き起こしているということですか?

—— 松 岡:はい、そうですね。身体の体温調節は自律神経の働きによってコントロールされていますが、身体はその都度外気に適応しようとしますから、温度差が大きいとそのストレスによって自律神経が乱れてしまうんです。ただし、温度差がなければいいというわけでもありませんよ。冷えすぎた部屋にずっといると、今度は“冷え”によるストレスから自律神経がうまく働かなくなり、これもまた夏バテを引き起こす要因となってしまいます。

—— 編集部:なるほど、適切な温度管理が大切ということですね。では、2つ目の原因も教えてください。

—— 松 岡:2つ目は、高温多湿の環境による体力の消耗や発汗の異常です。暑さによって体力が消耗すると、消化器官の機能低下が起きてしまうんです。疲労感やだるさ、食欲不振などの症状が起こりやすくなるのはこのためです。

—— 編集部:湿気が多いことも、夏バテに関係してくるのでしょうか?

—— 松 岡:はい。多湿の状況だと汗の蒸発が妨げられ、発汗異常が引き起こりやすくなります。汗がうまく出せないと体内に熱がこもって体温調整がうまくできなくなるので、疲労感や倦怠感といった症状が助長されてしまうんです。

—— 編集部:なるほど。汗はしっかりかいたほうがいいんですね。

—— 松 岡:そうですね。汗をかくこと自体はとてもいいことですが、逆に大量にかきすぎると水分とミネラル不足による脱水症状を引き起こしてしまうので注意が必要です。また、水分の摂り過ぎも体液のミネラルバランスを崩して体調不良を引き起こしてしまうので、こまめに少しずつ補給するよう心がけて下さいね。

—— 編集部:水分の摂り方にも注意が必要なんですね!では、3つ目の原因はなんでしょうか?

—— 松 岡:他には、熱帯夜による睡眠不足なども原因となります。近年は、夜も気温が下がりにくく寝つきが悪くなりがちですが、十分な睡眠がとれないと日中の疲労回復がうまくできずに疲れがたまってしまい夏バテを引き起こしてしまいます。睡眠不足は自律神経の乱れも招きますので、さらに体調が悪くなるという悪循環に陥ってしまうんですね。

—— 編集部:今伺った3つの原因は、夏場ならば、どれも考えられる事柄ですよね。

—— 松 岡:そうなんです。夏バテは、現代社会で生きていれば誰がなってもおかしくないもの。「健康な人はならない」というわけではないんですよ。

 

疲労回復のコツは、「きのこ」にあった!

エリンギ

—— 編集部:では、夏バテにならないためにはどうしたらいいのでしょうか?

—— 松 岡:一番は自律神経の乱れを起こしにくい生活習慣を身につけることです。そのためにはまずバランスの良い食事と規則正しい食生活、そして適度な運動や十分な睡眠が重要ですね。

—— 編集部:運動をする時間をなかなか確保できないという方も多いと思いますが、適度な運動というのは、体操レベルの運動でも構わないのでしょうか?

—— 松 岡:はい、体操もいいですね。そのほかにも、自律神経を調整するためにはウォーキングや軽いジョギング、水中歩行といったような適度な運動が効果的です。なかなか時間がとれない…という方は、たとえば隣の駅まで歩くとか、なるべく階段を使うなど、日頃のちょっとした心がけで身体を動かす習慣を取り入れるだけでも違ってきますよ。逆に激しい運動は疲労や脱水、ミネラル不足を引き起こしやすいので、夏場はかえって注意が必要ですね。

—— 編集部:なるほど。ほどよい疲れは心地のよい眠りにつながりそうですし、日頃から意識的に身体を動かすよう心がけたいですね。

—— 松 岡:そうですね。ですがやはり一番大切なのは食事です。必要な栄養素をしっかり摂って体力をつけないことには夏バテを撃退することはできません。特に、疲労回復、疲労予防、免疫力アップ効果のある栄養素を上手に摂り入れることで、自律神経のバランスを効果的に整えることができます。

—— 編集部:疲労回復効果のある栄養素というと、具体的にはどのようなものがありますか?

—— 松 岡:疲労回復に特に有効な栄養素といえば、ビタミンB群がその代表格です。中でもビタミンB1はエネルギーづくりや筋肉に蓄積された乳酸の代謝を高めるなどの肉体的な疲労にも効果がありますが、同時に精神的な疲労を抑える働きもあるので、特に意識的に摂取していただきたいですね。そして、カリウムも重要です。カリウムは、細胞の浸透圧の維持をして水分を保持する働きや筋肉の収縮を調整する働きがあるので、不足すると脱力感や倦怠感といった疲労感を引き起こしてしまうんです。

—— 編集部:これらの栄養素が豊富に含まれている食材というと、具体的にどんなものがありますか?

—— 松 岡:ビタミンB1を豊富に含む代表食材といえば豚肉ですが、マイタケやブナシメジ、エリンギといったきのこ類には、ビタミンB群だけでなくカリウムもたっぷり含まれているのでどちらも効率よく摂取することができます。また、きのこには免疫力アップに効果的なβグルカンという不溶性の食物繊維の一種が豊富に含まれているので、夏バテ対策にはうってつけの食材ですね。

—— 編集部:きのこと豚肉を使った料理は“最強の疲労回復メニュー”ということですか!?

—— 松 岡:そうですね!ビタミンB群は自律神経の乱れを調整する働きがあり、ビタミンB群どうしをあわせて摂ると相乗効果が期待できますし、運動時のスタミナも保ってくれますので、きのこと豚肉の組み合わせは夏バテ対策にぴったりです。

 

おすすめレシピ

きのこ×豚肉のビタミンB群パワー!身体を整えて夏をパワフルに楽しみたい方にぴったり!

 

【次週は「夏バテを遠ざけるのはきのこで菌活と規則正しい食生活!?」をお届けします。】

夏バテ・熱中症予防のキーワードをもっと詳しく!