PAGETOP
Do My Best, GO! 〜アスリートインタビュー

プロアスリートを支える食事に迫る。第64回 スピードスケート・佐藤 綾乃選手インタビュー

2026.03.01
プロアスリートを支える食事に迫る。第64回 スピードスケート・佐藤 綾乃選手インタビュー

アスリートへのインタビューを通し、明日への一歩を応援する「Do My Best, Go!」。今回登場するのは、今年行われたミラノ・コルティナ冬季五輪も含め、スピードスケートで3度オリンピックに出場、複数のメダルを獲得するなど第一線で活躍する佐藤綾乃選手です。活躍の中で感じていることや、その土台となる食への意識、今後への思いなどをお聞きしました。

▶ 佐藤選手の食事にまつわるインタビューはこちら

まず、スケートを始めたきっかけを教えてください。

私自身は覚えていないのですが、3歳上の兄が小学6年生までスケートをやっていて、両親と一緒に送り迎えにしているときに遊びでスケートしたら「楽しい。始めたい」と言ったのがきっかけだったそうです。

どのような環境で練習していたのでしょうか?

地元の北海道の厚岸町には、スケートをやっている子どもの親たちが水を撒いて作る自然のアイスリンクがあって、小学4年生くらいまではそこで滑っていました。その後は車で1時間くらいかけて釧路市に通っていました。

高校も釧路市の学校で、放課後、スケートの練習が始まるまで2時間ぐらい待ち時間があったのですが、お母さんかお父さんが迎えに来て、練習が終わるまでずっと待っていてくれるという生活が3年間続きました。両親がそこまで私のために時間を費やしてくれなかったらここまで成長することができていなかったと思うので、本当に両親に対して感謝しかないですね。

スケートへの気持ちの変化はいかがでしたか。

中学生のときは、夏の時期はあまりスケートに特化した練習はしていなくて、陸上部と一緒にとにかく走り込みをしていました。なので中学校3年生の全国大会で優勝できたのは正直びっくりしました。純粋にスケートが楽しいなって思っていた時期だったように思います。
高校の時はシーズン通してスケートに向き合う時間が長くなって、1年生の時に初めて世界ジュニアに選ばれたのをきっかけに世界を意識するようになりましたね。

高校を卒業後、高崎健康福祉大学に入学した経緯を教えてください。

高校で世界大会を経験できたのは良かったものの、自分の中でオリンピックに出たいという気持ちがそこまで強くなっていなくて、むしろスケートをやめたいという気持ちでした。子どもが好きなのでスケートをやりながら保育士の資格を取りたいと考えて、それができるのが高崎健康福祉大学でした。

学生時代を振り返っていかがでしょうか。

大学時代に大きな転機がありました。2016年、大学2年生のとき前のナショナルチームのコーチだったヨハン・デビットコーチから、ナショナルチームに入らないかと誘っていただいたんです。そこから大きく私の人生が変わりました。
ナショナルチームは拠点が北海道の帯広市で、秋からは長野市で活動する生活になります。大学に通えなくなってしまうので葛藤はありました。でも周りの方たちから「そんな機会ないんじゃない」と勧められてナショナルチームに参加しました。

ナショナルチームに入ってみていかがでしたか。

トップの環境だからこそ学生のチームだと得られないものがすごくたくさんありました。スケートに対するモチベーションだったり意識だったり、スケートに対する意識を強くさせてくれましたし、一人の人間として大きく成長できたなって思います。

オリンピックを具体的な目標として意識したのはいつだったのでしょうか。

ナショナルチームに入った最初の1年で個人種目でも大きく伸びたことが目指すきっかけにはなりましたが、具体的なタイミングは平昌冬季オリンピックシーズンになって、ワールドカップのチームパシュートに参加して世界記録を平地で出したときです。私でもできるんだって思えました。それまでも口では「オリンピックを目指します」と言っていましたが、自信を持つことができ、本気でオリンピックを目指したいなって思いました。

そして2018年の平昌冬季オリンピックに出場。平昌ではチームパシュートのメンバーとして金メダルを獲りましたね。

金メダルという結果は大きなものでしたが、それ以上に自分の心の中が大きく変わった出来事だったと思います。一人のスケーターとして強くなりたいなと思いましたし、次のオリンピックも思い描くことができていて、もう一度、金メダルが欲しいと思えるきっかけになりました。北京冬季オリンピックへ向けての第一歩になったという感覚でした。

大学を卒業後、ANAに入社。その時の心境を教えてください。

飛行機に乗るときはANAが多かったですし、社風とかANAで活躍されているアスリートもたくさんいて、こんなに温かい社員の方たちの一員になれたら、その中でスケートができたらどれだけ楽しいか、自分のモチベーションにつながるなと強く思ったのが一つ大きく理由としてありました。実際に入社してみて、本当に皆さんすごく温かく応援してくれるので、私が頑張れている源でもあります。

スピードスケートはそこまでメジャーではないので、私の姿でよりスピードスケートを知ってもらえたらいいな、それと一緒に佐藤綾乃というスケート選手を知ってもらえたらいいなっていうのは、入社前も入社してからも強く思っています。

迎えた北京冬季オリンピックでは、チームパシュートで銀メダル、1500mでも4位入賞を果たしました。

北京シーズンのワールドカップ前半戦では1500mで3回、表彰台に立つことができました。信じられないような結果でしたし、自分でもここまで成長することができたと強く感じられたので、だからこそオリンピックでは個人種目でもメダルを狙うという目標を持って挑めました。
当時は4位という結果にやり切ったという気持ちの方が大きく、達成感もありました。でも、だんだんと時間が経つなかでメダルが手に届きそうな位置で終わってしまって悔しいという気持ちが強くなっていく感覚もありました。

キャリアを重ねて、ナショナルチーム内での立ち位置も変わってきたと思います。

本当にその通りで、ずっと上の先輩たちを追いかけて成長してきた環境から180度変わって、後輩たちもたくさん伸びてきて、自分も追われる立場ということに難しさがありました。最初の1、2年はどうやって頑張ったらいいのだろうというのは正直、自分の中での戦いとしてあったかなと思います。

葛藤はどうやって乗り越えられたのですか。

自分の根本にある、「負けたくない。やるなら絶対勝つ」という気持ちに支えられてきたかなと思います。年齢はあまり関係ないと思っていますが、それでも後輩に負ける経験はあまりしたくない、という純粋に負けず嫌いな気持ちがある一方で、個人でもチームパシュートでも選手として長く培ってきたものがあるので、滑りだけではなく普段の生活からも後輩たちが真似したいと思ってもらえるような選手になりたいと切り替えができました。そういう気持ちの変化があったからこそ、前を向いて次のオリンピックを目指そうという気持ちに切り替えることができたんだと思います。

第一線で活躍されるようになってから長い時間が経ちます。食生活で気をつけていることがあれば教えてください。

普段からヘルシーでバランスのとれた食事を摂るように心がけていますが、特に試合の前後ではタンパク質やビタミン、炭水化物の量を増やすようにしています。競技力向上やリカバリーには食事のバランスを崩さないようにすることが必要だと思います。

ただ海外遠征も多く、海外は出るものも限られますし、自分で持っていけるものも限られるので、その中でどこまで自分が求めている量の栄養をとれるのかが勝負になってきます。
寒いところと暖かいところの行き来も多くて体調も崩しがちになってくるので、体を冷やさないということを大前提として、温かいものを常にとったりもしますね。

ヘルシーさや栄養バランスを意識されているということですが、ヘルシー食材の代表である「きのこ」も食べますか?

はい。日頃からきのこはたくさん食べています。特にエリンギが大好きです。コリコリした触感や癖のない味でどの料理にも合わせやすい印象です。
きのこは料理に困った時におかずに少しでも追加してあげるだけで、彩りが増したり満足感が得られたりするというイメージがあります。
よく作るのは、きのこ(種類は気分で決めます)とお肉、野菜を炒めたり蒸したりして、お塩などの調味料で味付けをして食べることが多いです。また、中華風、和風などのスープに入れて食べることも大好きです。

きのこは腸内環境を整える働きもありますが、腸内環境については意識されていますか?

腸内環境を整えることは私自身も興味があり、様々なことに取り組んできました。きのこや発酵食品をたくさん食べることもそうですが、それと合わせて、生活リズムを毎日できるだけ同じにすることや、バランスのとれた食事をすることも心がけています。

では、スケートを頑張っている子どもたちや、スケートをやってみようかなと思っている人たちに、スケートの魅力と取り組む上でのアドバイスをお願いします。

細いブレードで氷の上に立つこと自体難しいことではありますが、スピードが出た時の快感、風を切る感覚は陸の上では体験できないことです。ぜひそういう楽しさを味わってほしいなって思います。また、自分自身と向き合う時間が長いので一人の人間として成長できる競技だと思いますし、トップの選手を見ていると、芯を持って自分の気持ちを曲げない強い選手がほとんどです。ぜひやってみてほしいなと思います。

最後に、スポーツを頑張るジュニアアスリートに向けて食事面でのアドバイスをお願いします。

オリンピックに出たい、上を目指したいって思っている子がいるのであれば、食事を含めた普段の生活、メンタル面も競技に関わることなので大切にしてほしいです。

Do my best,Go!5つの質問(会員限定)
こちらのインタビューはきのこらぼ会員の方だけがご覧いただけます。

ログイン / 会員登録

きのこらぼ会員とは>>

佐藤選手が今食べたい菌勝メシ

コメント

競技力向上やリカバリーのためにも、普段からヘルシーでバランスのとれた食事を心がけています。きのこは食感がよくどんな料理にも合わせやすく、腸にも良いためよく食べており、こちらの料理は私の好きな蒸し料理であることと、きのこ、野菜、お肉とバランスよく栄養がとれるところが良いですね。

きのことキャベツの彩り蒸し

きのことキャベツの彩り蒸し

きのこや野菜に豊富な食物繊維は、免疫細胞の集まる腸を整えることで体調管理をサポートします。また良質なタンパク源である鶏むね肉を合わせることで栄養バランス満点の一品に仕上がります。

詳しく見る>


profile

佐藤 綾乃

(さとう あやの)

1996年12月10日生まれ、北海道厚岸町出身
スピードスケートの第一人者として長年に渡り活躍。中学時代から全国大会で優勝するなど頭角を現す。初出場となった2018年平昌冬季オリンピック・女子チームパシュートで金メダルを獲得。高崎健康福祉大学を卒業後はANAに入社。続く2022年北京冬季オリンピックにも出場し、女子チームパシュートで銀メダル、1500mで4位入賞、マススタートで8位入賞と活躍。2026年ミラノ・オリンピックへの出場も決まり3大会連続でのメダル獲得を目指す。また2019年、2020年のISU世界距離別スケート選手権・女子チームパシュートでも金メダルを2度獲得している。

協力:THE DIGEST