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きのこ面白情報

かわいいきのこグッズや、不思議で楽しいきのこカルチャーをご紹介!

【きのこ面白情報】とよ田キノ子さんコラム Vol.4

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「いいかげんな、きのこ」

こんにちは。
とよ田キノ子です。

鳥は生後直後に見たものを親として認識するといいますが、
私たちの生活においても、最初に見たものを「こういうもの」として
刷り込まれることは多々あります。
今回ご紹介するきのこグッズも、
出会った時に「こういうもの」として疑いを持たなかった品です。

鮮やかなオレンジ色のミルクガラスのボウルに、
オレンジ、ベージュ、茶色のきのこが乗っている陶器製の蓋。
ガラスと陶器の組み合わせに、ちょっとユニークなバランスのシルエット。
あまり見かけないキャニスターとして購入しました。
しかし、よくよく見ればボウルの底には「Fire-King」の刻印が。
ファイヤーキング(Fire-King)といえば、
アメリカのガラス製造メーカー・アンカーホッキング社のブランドのひとつとして有名ですね。
本体部分は刻印の特徴や器の形状から、ファイヤーキング1960年代中期の
ミキシングボウルだろうということがわかりました。

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では、この蓋は…?
もちろん、ファイヤーキングのものではありません。
調べていくうちに、1970年代のレフトン(Lefton)社製で
「Mushroom Forest」シリーズの蓋であることが判明しました。
戦後アメリカで設立されたレフトン社は、日本に工場があり、
欧米向けの輸出雑貨を製作していました。
この「Mushroom Forest」シリーズも日本でつくられています。
切り株をメインに、きのこ・どんぐり・葉っぱをあしらったデザインが特徴で
多くのラインアップが展開され、現在でも人気の高いシリーズです。

「こういうもの」だと思っていた品は、このように全く別のものの組み合わせでした。
本来別々だったものが、これだけ自然に組み合わさって(実際、サイズがピッタリ)、
新たな役目を持つということは、とてもすてきなことだと思います。
もしかしたら、レフトンのキャニスターが割れてしまったから蓋だけ使っていたのかもしれないし、たまたまボウルに蓋をかぶせたら使い勝手がよかったのかもしれない。
きっとそんなふうに工夫されて使っていく過程で、いろいろな食材を入れたり、
時にはサラダボウルとして食卓にのぼったりと、キッチンで活躍したことでしょう。
もしかしたら、きのこ専用のフードストッカーだったかも?なんて想像が膨らみます。
いずれにしても、この形になったのは、とても幸運な偶然です。

きのこは、その雰囲気や佇まいから“いいかげん”なように見えて、
実際は様々な条件がちょうど整った“良い加減”のところに生えます。
この蓋とボウルも、お互いにとって良い加減だったのでしょう。
そして、あなたの周りにいるきのこたちも、そこが良い加減だから、そこにいるのです。
タイミングや行動などいろいろな条件が組み合わさること、それによって成り立つきのこ。
だから、そんな幸運な偶然を喜びたいと思うのです。

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とよ田キノ子
アートディレクター、グラフィック&ウェブデザイナー、きのこグッズコレクター。
2007年に“キノコ病”を発症し、以後「とよ田キノ子」名義で活動を開始。
キノコグッズコレクションの展示や、キノコをモチーフにしたイラスト作品展、
キノコイベント等を開催。
2011年9月、グラフィック社より出版された『きのこ(乙女の玉手箱シリーズ)』を監修。
日々、キノコの魅力を伝える“胞子活動”を行っています。
信州きのこの会会員。

とよ田キノ子さんウェブサイトはコチラ

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