きのこのうま味と引き出し方
2026.04.30
皆さんこんにちは、料理研究家の浜内千波です。
昨年からスタートした「Let’s go kitchen」、早くも2年目に入りました。昨年は1年を通して、私が気になる現代の食事情についてお話ししてきましたが、2年目となる今年は「きのこ」にフォーカスしながら、知っているようで知らなかったきのこの魅力、魅力を引き出す調理方法、便利な活用方法などをお届けしていきます。
初回となる今回は、「うま味」をテーマにお話しします。
素材には、それぞれ「うま味成分」が含まれています。代表的なうま味成分はアミノ酸であるイノシン酸、グルタミン酸、コハク酸、グアニル酸など。皆さんも聞いたことのある方も多いのではないでしょうか。イノシン酸といえばかつお節、グルタミン酸は昆布、コハク酸は貝類、グアニル酸はきのこたちが代表的なものですね。
そしてこのうま味は、1種類ではなく、うま味同士を組み合わせることにより、より美味しさが増し、料理には欠かせないものとなります。ですから、天然のうま味成分がしっかり多く含まれているものを理解すると、料理はそれだけで豊富なうま味が生まれて香りや食感とともにおいしく感じる事が出来ると思いますね。
以前こんな質問がありました。「うま味と出汁は一緒なのか?」とのこと。これは、同じ事だと思います。細かく言えばうま味が出てくる事を“出汁”というと私は理解をしています。素材の持ち得ているうま味を最大限に引き出すことができたお料理をいただくと、皆さん「出汁が良く効いていておいしい」と言いますよね。添加をするのではなく、引き出すから「出汁」と言われていると思いますね。
きのこに言及してみると、主となるうま味はグアニル酸ですが、その他グルタミン酸も含まれており、きのこのうま味成分は細胞の中にしっかり入っています。調理方法としてはゆっくり温度を上げていくことでうま味が出やすくなったり、軽くもんでから料理をするとより香りとうま味が引き立ったりします。急速に、高温にあげないことがより美味しくいただけるコツかもしれませんね!
また、きのこのうま味は基本的にどの食材ともうまく融合しやすく、グアニル酸だけではなく、うま味成分が複雑に組み合わさる事でより一層おいしさをアップする事が出来ますので、料理の相方にはもってこいです。さらに、きのこ同士でも数種類組みわせる事でうま味が20倍にも跳ね上がって良い出汁が出るという調べもあります。もしきのこ中心の料理であれば、数種類のきのこを一緒にぜひお使いになっていただければと思います。
これは個人的なお話ですが、基本的に「うま味」はその食材の持っているうま味を調理によって引き出せれば十分と思っていますので、市販品の“だしの素”のようなものは入れずに毎日料理を作っています。どうぞ皆さんも素材の持っているうま味を引き出して、自信をもって料理していただけたらと思っています。
最後に、うま味を活かして出汁を楽しむお料理をご紹介します。ぜひ作ってみてくださいね。
【高野豆腐と野菜の含ませ煮】

●材料(4人分)
高野豆腐 4枚
しめじ 100g
水 300cc
酒 大さじ2
塩麹 大さじ3弱
砂糖 大さじ2弱
●作り方
1.高野豆腐は熱湯直前の湯をたっぷりと回しかけて2分程おいて戻す
2.しっかり水で冷やし、絞って4等分に切る
3.しめじは石づきを切り、少し大振りにほぐし、軽く揉んでおく
4.鍋に水、調味料を入れて混ぜ溶かす
5.高野豆腐をもう一度絞り、しめじとともに鍋に入れて中火にかけてひと煮たちさせる
6.少し火を弱めて蓋をずらし、10分ほどかけて煮る
【鶏むね肉のブレゼ】

●材料(2~3人分)
鶏むね肉 300g
塩(鶏肉用) 小さじ1/2
胡椒 適宜
霜降りひらたけ 200g
キャベツ 300g
パプリカ 50g
塩(野菜用) 小さじ2/3
ハーブ類 お好みで適量
粒マスタード お好みで適量
●作り方
1.鶏肉は皮を外し、そぎ切りにして鶏肉用の塩、胡椒をもみこむ
2.霜降りひらたけは食べやすい大きさにほぐし、野菜は食べやすい大きさに切る
3.フライパンに(2)を広げ入れ、野菜用の塩を全体に振り入れる
4.その上に鶏肉をのせ、お好みでハーブ類を散らして蓋をし、蒸し煮にする
5.器に盛り、粒マスタードを添えていただく