社員紹介 栽培技術部門

九州の出身だが進学先の長野県内の大学でエノキタケを研究テーマにしたことからホクトを知る。ホクトは九州にも生産拠点があることから、地元に戻って就職することも考えたが、研究職として長野に留まり、研究所に勤務することを選択した。

品質と生産量の安定を担う重要な仕事。
原菌管理は簡単に言うと全国で栽培されるきのこの種となる原菌(げんきん)や種菌(たねきん)の生産および品質管理とそれに関わる新技術を開発する仕事です。原菌や種菌は、ビンに詰めた培地(きのこの生育土壌)を殺菌した後、クリーンルーム(無菌室)内で菌を接種・培養して菌糸を蔓延させます。この原菌や種菌が全国のきのこセンターで生産される全てのきのこの元になるため、原菌管理は品質と生産量の安定に重要な役割を果たしているのです。これらの原菌や種菌はロットという概念(きのこの収量性や美しさを決定づける種菌生産の単位)を用いて管理します。また、ロットの経年劣化を防ぐために、選抜試験を行って定期的に新たなロットへ更新しています。

常識にとらわれない発想が
成功に繋がった。
入社以来、最も印象に残っているのは霜降りひらたけ種菌の管理方法を見直して生産の安定性向上を実現したことです。原菌や種菌は万一のトラブルが発生しても供給が滞らないように、常に予備を準備しておきます。しかし、霜降りひらたけの種菌は鮮度の低下が早く、予備を確保しておくことが困難でした。これまでは菌が容器内に蔓延したらすぐ保存するという管理が当たり前のルールとして知られていましたが、上司と相談して保存するタイミングを変えてみました。すると種菌の寿命が3倍に伸びて、予備として使えるようになりました。その後、実際の生産現場に導入されるまでには2年の歳月を要しましたが、新たな管理方法により生産されたきのこをスーパーの店頭で見た時に、喜びと達成感で胸が熱くなりました。

工夫と改善で新たな技術を
生み出す面白さ。
大学で研究していたテーマは、エノキタケの発生メカニズムです。まず現状を把握し、仮説を立てて実験手法を検討。実験の結果を教授に報告してフィードバックをいただき、次のアプロ―チを一緒に考えていくというプロセスを繰り返していました。こうした研究に対する姿勢や考え方は、現在の仕事にも生きています。どんな仕事であっても、PDCサイクルをいかに早く回せるかが、より良い結果を出すための第一歩です。
実際に技術開発課と協力して霜降りひらたけを株で収穫できるようにした際には、種菌管理方法の見直しや栽培培地への接種技術改良によって種菌製造作業の省力化を実現しつつ、手間がかかるトレー包装から機械による全自動ピロー包装化にも貢献することができました。
工夫と改善を重ねて生み出した新技術で原菌や種菌の管理方法をアップデートしていく面白さは、何にも代えがたいものがあります。

遺伝子によるロット選抜のパイオニアに。
いま挑戦している研究テーマは「遺伝子に着目したロット選抜」です。従来は、新規にロットを大量に作って培養状態を目視観察し、そこからきのこを栽培することで良し悪しを評価していました。これらの手法は確実性が低いうえに、結果を得るまでに多くの時間を要してしまいます。そこで、遺伝子に着目した良いロットを選抜する技術開発に取り組んでいます。実際にきのこを栽培する必要がないため、短時間で選抜できるのは大きなメリットです。
例えば、シイタケが持つ遺伝子は約1万種類ですが、そのなかで栽培性に関わる一握りの遺伝子を見つけることができれば、それらの発現量を知るだけでロットの良し悪しが判断可能になるかもしれません。膨大な遺伝子情報を解析して、当社がこの分野のパイオニアとなることを目指します。

研究所のメンバーでフットサルをしたり、スタジアムにサッカーの試合観戦に行ったりして楽しんでいます。以前はよく山登りをしていましたが、みんな家庭を持って子どもができると週末の過ごし方も変化が出てきました。研究所は自分を含めて長野県外の出身者が多く多様な文化や価値観に触れ刺激の多い毎日を過ごしています。

SCHEDULE

8:30
出社。メールとスケジュールを確認した後に原菌の選別・仕分け。
10:30
収穫の見通しから逆算して原菌・種菌の生産計画立案と準備。
12:00
先輩や後輩と談笑しながら昼食を楽しむ。
13:00
霜降りひらたけのロット選抜結果を上司とミーティングで共有。
14:30
霜降りひらたけ種菌生産の技術開発試験を実施。
17:00
本日の業務内容を整理して明日の予定を組む。
17:30
退社。

OFF TIME

週末は息子を外に連れ出して、一緒に遊びます。花見やスポーツ観戦、バーベキュー、紅葉狩り、ウインタースポーツなど、長野県は近場で気軽に四季折々のアクティビティを楽しめるので、子育てには恵まれている環境です。私自身が初めてチャレンジすることも多く、長野県の豊かな自然の魅力を改めて知るいい機会になっています。

CAREER STEP

入社1年目

原菌管理課へ配属
エリンギの種菌や原菌の生産・品質管理を通じて仕事の基礎を学ぶ。

入社2年〜7年目

ブナシメジを担当
ホクトの中で最も生産量の多い品種のため、責任と誇りを感じた。

入社8年目〜

霜降りひらたけを担当。
霜降りひらたけの原菌や種菌の管理に加えて、技術開発課と連携して種菌製造の効率化と霜降りひらたけピロー包装化に貢献。入社10年目からアガリクスとヤマブシタケが加わり、3品種の生産管理を担当。