現場のチカラ 5つの業務がスムーズに連携してきのこの品質と収量を高めていく。

赤沼きのこセンター 所長代理
2006年入社 佐藤 貴俊
美味しく、安全・安心で健康によいきのこを安定して食卓に届けるというホクトの使命を支えているのが生産の現場です。畑に種を蒔いて収穫する農作物と違って、施設内できのこを生産する工程は主に5つの業務に分かれています。それぞれ精度の高い技術と状況に応じたきめ細かな調整が必要であり、品質と収量に影響を与える重要な業務です。一例として、エリンギ生産の現場で連携している5つの業務について、各部署の班長から紹介してもらいます。

赤沼きのこセンター 詰込 班長
2005年入社 吉原 秀樹
きのこづくりのベースは柔らかく均質に
きのこを生育する土台となる培地を作ってビンに詰めるのが詰込の仕事です。培地とは、一般的な作物にとっての土に該当します。ホクトで使う培地の主な原料は、トウモロコシの芯や米ぬかです。季節によって原料の状態が変化するため、配合する際には年間を通じて均一になるようにしています。培地が固いと菌糸が張れないので、ビンを振動させて空気を入れて柔らかくするなど、微妙な調整が品質や収量に影響するところに仕事の難しさと面白さがあります。
詰 込
赤沼きのこセンター 培養 班長
2007年入社 北澤 亮太
9万本のビン内の菌糸を目視でチェック
ビンに詰め込まれたばかりの培地には雑菌が含まれているため、100度以上の釜に入れて殺菌し、冷却した後にクリーンルームでエリンギの種菌を接種します。次に、ビンを培養室に運び1カ月間寝かせて菌糸を十分に培地に這わせます。菌糸の状態は菌廻りという言葉で表すのですが、茶色い培地が白くなっていく菌廻りの様子を目視で確かめて、温度と湿度、二酸化炭素濃度を調節するのが培養の役割です。毎回約9万本のビンを接種し、培養していますが、菌廻りやビン内温度に問題が無い状態で、自信をもって次の菌掻き工程へと送り出しています。単純なようで、奥の深い仕事です。
接種・培養
赤沼きのこセンター 菌掻 班長
2005年入社 渡辺 雄一
菌糸を刺激して傘づくりをスタートさせる
菌掻とは、菌廻りで白くなった9万本のビンの培地の表面を機械の刃で掻き取る工程です。菌糸を傷つけて刺激を与えると、きのこはストレスを感じて子孫を残そうと胞子を飛ばすための子実体をつくります。私たちが食用にしているのは、この部分です。ビンごとの菌糸の状態にバラつきがあっても、菌掻でリセットしてスタートラインを合わせることができるのですが、菌掻の深さが1ミリ違うだけで収量に影響するため、単純な作業ではないのが面白いところです。
菌掻(きんかき)
赤沼きのこセンター 生育 班長
2006年入社 山﨑 裕希
ビンに込められた想いを2週間で育てる
菌掻したビンのきのこを、2週間で出荷できるように育てるのが生育の仕事です。温度、湿度、光量の変化がきのこの育成を大きく左右するため、常に状況を見ながら調整します。生きものが相手なので、工業製品とは違い繊細な感覚と注意力が必要です。生育は担当社員の人数が最も多く、他の工程の業務経験者も多いことから、人手が足りない時に他部署への応援を出すこともよくあります。培養や菌掻など、前工程の努力と想いの集大成になるので、責任を持って取り組んでいます。
生 育
赤沼きのこセンター 包装 班長
2006年入社 村田 裕
品質管理の最後の砦として責任を担う
きのこづくりの最終工程が包装です。このセンターで生産しているエリンギは、収穫したら株をバラバラにして100gごとにトレーに分ける必要があり、自動化が難しいため人手が必要となります。社員3人に対して作業スタッフの方は約80人で、このマネジメントが私の主な業務です。包装と同時に検品を行うため、この工程は出荷するきのこの安全や品質を守るうえで最後の砦。最終的な出荷量が計画を上回った時に、喜びとやりがいを感じます。
包 装
現場の力を支えるのは、一人ひとりの個性
各工程の担当者は、異動などを経験しながらマネジメントへの道を進む基幹職と、プロフェッショナルとして技術を磨く専任職に分かれています。採用時は全員が基幹職ですが、経験を重ねながら各人の適性や要望に合わせて選択することができます。「誇れる品質のきのこを、自信をもって届けたい」という強い使命感と想いが、生産の現場を支えるチカラなのです。