人と菌の物語
人と菌の物語

歴史が育んだ、きのこの効果と人体の秘密
第7回 腸脳相関の神秘と心身の健康に寄り添うきのこ

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腸内細菌がヒトの脳や心、疾患も左右する!?

腸内細菌が、ヒトの免疫機能に深く関わっていることは前回紹介しましたが、それだけでなく、ヒトの思考や行動のパターン、脳の代謝にも大きな影響を与えていることが2010年以降の研究で明らかにされています。

腸内細菌を有するマウスと無菌飼育装置で飼育された無菌マウスを同一条件で7週間飼育した後、大脳内物質を調査すると、検出された196の成分のうち38種類の成分に違いがみられたのです。

その中には、前述したドーパミンや、枯渇すると統合失調症の促進に関係するセリン、乳児の脳発達や行動に関与するN-アセチルノイラミン酸などがあり、腸内細菌の有無による生成量の違いは、脳の発達や働きに影響を及ぼすと考えられています。

つまり、腸内細菌は宿主の思考や行動、感情変化にも影響し、運動や勉強といった日常生活、そして脳の衰弱や病気の発生にも関わってくる可能性があるのです。

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そういった腸内細菌の中で脳機能に有用な生きた微生物は「サイコバイオティクス」と呼ばれ、自閉症や認知症、パーキンソン病など様々な疾患との関係を解明する研究が現在進められています。

NEXT▶腸を整えることでストレスから解放される

監修:辨野義己(べんの よしみ)
1948年生まれ。酪農学園大学獣医学科を卒業。東京農工大学大学院をへて特殊法人理化学研究所入所 研究員。独立行政法人理化学研究所バイオリソースセンター・微生物材料開発室室長。現在は、同所科技ハブ産連本部辨野特別研究室特別招聘研究員。十文字女子大学客員教授、農学博士(東京大学)。受賞歴は、日本獣医学会賞(1986年)、日本微生物資源学会賞 (2003年)、酪農学園大学獣医学部同窓会「三愛賞」(2007年)、文部科学大臣表彰 科学技術賞(理解増進部門)(2009年)、Top Ten New Species Award (2009)
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