人と菌の物語
人と菌の物語

歴史が育んだ、きのこの効果と人体の秘密
第6回 免疫を呼び起こす腸内細菌と秘められたきのこの驚くべきチカラ

アイキャッチ

地球の生命誕生に深く関わり、私たちと同じルーツを持つ菌類のきのこ。

このコラムでは、地球環境をととのえてきた細菌や菌類とヒトの奇跡的な関係や、きのこと人体との密接な関わりをわかりやすく紹介していきます。

第1回から第4回は、地球上での生命誕生から現代まで、地球の健康を整えてきたきのこをはじめとする菌類や細菌の知られざる物語を紹介してきました。

第1回 生命の共通祖先は「菌」だった
第2回 「菌」がいるから、人類が誕生した
第3回 きのこの進化が地球の健康を創った
第4回 神秘的な魅力を持つ“人の理解者”

今月は前回からはじまった体内微生物との共生関係の第2弾。
ヒトの免疫を支える腸内細菌ときのこの知られざるチカラを探っていきましょう。

免疫機能の約7割を担う腸は人の健康を司る要

前回紹介したように、私たちの体の中では、物質の循環が行われています。
その中で腸は、分解、吸収、排泄という重要な機能を果たしていますが、それ以外にもヒトの健康を大きく左右する役割を担っています。

それが免疫機能です。

口から肛門まで腸を含むヒトの消化管は全長約9メートル。それは一つの長いチューブのように体内に空間をつくっています。つまり腸管は体の中に隠れているようで、実は外の世界に接している“内なる外界”。そこは栄養素だけでなく病原菌やウイルスの侵入経路にもなっているので、防御機能の中枢となり、なんとヒトの全免疫の約7割を担っているんです。

腸の中でも、消化・吸収の場である小腸には多くの免疫細胞が集約されています。小腸の免疫機能は実によくできていて、まず、リンパ組織である「パイエル板」が侵入してきた病原菌にトラップをしかけて捕獲し、病原菌の情報を腸内の免疫細胞に伝えます。加えて、「粘膜上皮細胞」がタンパク質を生み出してブロックするなど、大きく分けて4つの部隊が役割分担をしながら働き、病原菌を撃退します。

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さらに、小腸の免疫細胞の活動やバランスを取るのに欠かせないのが、大腸にいる600兆個以上もの腸内細菌。小腸の免疫細胞が病原菌やウイルスと戦う前線戦士だとすると、腸内細菌は後方支援部隊。腸内細菌の状態が良好なら、前線の免疫細胞が活性化し、外から侵入する病原菌やウイルスをしっかりと撃退することができます。腸内細菌はいわば免疫界の影の立役者であり、免疫のカギを握る存在なのです。

NEXT▶腸内細菌のパワーとは?

監修:辨野義己(べんの よしみ)
1948年生まれ。酪農学園大学獣医学科を卒業。東京農工大学大学院をへて特殊法人理化学研究所入所 研究員。独立行政法人理化学研究所バイオリソースセンター・微生物材料開発室室長。現在は、同所科技ハブ産連本部辨野特別研究室特別招聘研究員。十文字女子大学客員教授、農学博士(東京大学)。受賞歴は、日本獣医学会賞(1986年)、日本微生物資源学会賞 (2003年)、酪農学園大学獣医学部同窓会「三愛賞」(2007年)、文部科学大臣表彰 科学技術賞(理解増進部門)(2009年)、Top Ten New Species Award (2009)
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