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トレンドコラム

日本の夏の食で「涼」を楽しむ

日本の夏は湿度が高く暑さで食欲が落ちる反面、そうめんやかき氷など、この時期ならではの食の楽しみも豊富。高温多湿な日本には、昔から暑さに負けないための夏の食の工夫がたくさんあります。「きのこで菌活。」では、きのこで免疫力を高めて夏の体調不良を一掃する方法を紹介中ですが、トレンドコラムでは、広田さんが“日本の夏の食の味わい方”を伝授してくれました。この夏は、おいしく、涼しく、夏ならではの食をぜひ楽しみましょう。

 

—————— 教えてくれたひと ——————

広田千悦子

広田千悦子 (Chieko Hirota)

日本の行事・歳時記研究家。日本の行事、季節の愉しみ、和のこと、和服、縁起物など、日々の暮らしの中にある“たからもの”を絵と文で綴る。うつわ、ことばの作家。新聞や雑誌などで連載多数。ロングセラーとなった『おうちで楽しむにほんの行事』(技術評論社)、『知っているとうれしいにほんの縁起もの』(徳間書店)、『ほんとうの和の話』(文藝春秋)など、著書は25冊以上。オフィシャルサイトはこちら

 

旬のものには、時期に合った効果がある

サラダ

日本の行事・歳時記研究家の広田千悦子さんにうかがう「日本の夏の楽しみ方」、今週のテーマは「食」についてです。はじめに話題になったのは「きのこ」のことでした。

「きのこらぼの取材だからというわけではありませんが(笑)、きのこは大好きです! 低カロリーで旨味が強いので、毎日の食卓に欠かせません。“日本の食”ということで言えば、きのこが精進料理などでお肉の代わりに用いられてきたのは、味がしっかりしていて栄養が豊富だからでしょうね。それと、きのこは昔から身体を冷やす効果があるといわれていて、きのこのスープなどは発熱時の熱冷ましに使われてきました。食欲の落ちる夏にはぴったりですね」

きのこ以外にも、ほてった身体を冷やす効果があるのが、きゅうり、トマト、ナスといった夏野菜。その理由は、夏野菜には水分やカリウムが豊富なため、尿と一緒に体の熱を排出してくれるのだそうです。きのこが熱冷ましになるということも、カリウムが豊富だからかもしれませんね。

夏野菜が身体を冷やしてくれるように、旬の野菜には、その時期に合わせた効果があるんです。旬の食べ物を楽しむことは季節をより味わうことにもなりますし、おすすめですよ。ただ、最近はどんな野菜も一年中出回っていますから、なかなか旬のものを意識して摂る機会も少ないのが現状です。スーパーで買うよりも、八百屋さんなどで地場野菜を選んだほうが、その時期に獲れたものが手に入りやすいかもしれませんね」

ちなみに、広田さんがおすすめするのは、冷やしトマト。ポイントは、皮を湯むきすることだそうです。たったそれだけで、皮付きのものと比べて別の食べ物のように感じるほどおいしくなるそうですよ。ぜひ試してみてください。

 

和風スムージーに甘酒のかき氷、おすすめ夏の和レシピ

 

ほかにも、広田さんがおすすめしてくれる夏の和のレシピはたくさん。そのひとつが、いわば「和風スムージー」だという、「すりながし」。「すりながし」とは、野菜や豆腐、魚介類などをすり鉢ですり、かつおだしや昆布だしなどで伸ばして調味したもの。

「夏野菜をおいしくいただくのにおすすめです。基本は、野菜をすり鉢ですったり、フードプロセッサーにかけて、だし汁で割るだけ。食欲がないときでも食べやすくて、夏バテのときにもいいですよ。キリッと冷やしていただくと、よりいっそうおいしくいただけます。夏野菜と同じく熱をとるといわれている豆腐やきのこを使うのもおすすめですね」

すりながし

 

●きのこのすりながし

(材料)
だし汁 300cc (水 500cc、かつお節 10g) 
ブナピー、ブナシメジ  各100g
サラダ油 大さじ2
大和芋 150g
醤油 お好み
塩  お好み
白ワイン 少々

(つくり方)
(準備)だし汁:鍋に水500ccを入れ、沸騰したら火をとめ、片手ひとつかみの鰹節(10g)を入れて1、2分おき、漉してできあがり。
(1)ブナピー、ブナシメジは石づきを切り小房に分ける。
(2)サラダ油を熱したフライパンに(1)のきのこを入れる。白ワインをふりかけて炒めたら別皿にとり、粗熱をとる
(3)(2)が冷めたら、フードプロセッサーにかけてなめらかにし、鍋に移す。
(4)大和芋はよく洗い、ひげをおとし小さく切り、フードプロセッサーでなめらかにする。
(5)鍋に(3),(4)を入れ、中火にかけゆっくりかき混ぜる。ふんわりしてきたら弱火にし、だし汁300ccを入れてよく混ぜ合わせ、醤油や塩でお好みの塩加減に味付けする。
(6)クーラで冷えた時にはあたたかいままで、暑い時にはきりっと冷やしていただく。
※ だし汁を多めに入れるとサラッと飲みやすく、少なめだと食べごたえのあるおかずになります。

 

そのほか、スイカのスムージーも広田さんの夏の定番メニュー。残った皮は漬け物にしているそうで、これも基礎代謝を高め、むくみを取るなど、うれしい効果があるそうです。また、夏に欠かせないかき氷には甘酒をかけるのがおすすめだそう。

甘酒は“飲む点滴”と言われているほど、栄養価が高い飲み物。冬にあたためていただくイメージが強いですが、実は冷やして飲むのもまた格別です。ぜひ、クセのないものを選んで試してみてほしいですね。『こんなにおいしいのか』って、きっと驚くと思いますよ。かき氷のシロップ代わりにするだけでなく、お菓子をつくるときに砂糖の代わりに使うのもおすすめです。優しい甘みが味わえますし、身体にもとてもいいですから」

氷

日本の夏の食を楽しむなら、器や演出にもこだわりたいもの。広田さんの家では、夏になると、近所の竹林で採ってきた竹を使い、流しそうめんをすることもあるそうです。

 

「毎日の食事も、ちょっとした工夫で、楽しみに変わるものです。氷の中にエディブルフラワーを入れてみたり、そうめんなら、竹を切った器に盛って、紅葉の青葉を添えてみたり。毎日の食事に和のテイストなどのワンポイントを取り入れてみてほしいなって思います。きっと、夏をもっと楽しめると思います」

 

 

【今週更新!きのこで菌活。】

夏の食事にも、旬や”日本らしさ”を取り入れて涼を楽しみたいですね。免疫力を高める栄養がたっぷりのきのこも組みあわせて、熱中症や夏風邪知らずの身体をつくりましょう!

今週の「きのこで菌活。」を読む ▶︎

今おすすめのきのこレシピ

生どんこの淡雪あんかけ

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