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トレンドコラム

夏祭り、花火、盆踊り…伝統行事から “日本の夏”を愉しむ

お祭り、盆踊り、花火大会……。日本には、伝統的な夏の行事がたくさんあります。日本の行事・歳時記研究家の広田千悦子さんにまずうかがったのは、そんな日本の夏の楽しみ方についてです。広田さんいわく、それぞれにまつわる「由来」を知っておくことが、行事をより楽しむためのポイントなんだとか。暑い毎日が続いていますが、夏を思い切り楽しむためにも「きのこで菌活。」でご紹介している熱中症の原因と予防・対策のポイントをおさえておきましょう。まずは、日本の夏祭りのお話から教えていただきました。

 

—————— 教えてくれたひと ——————

広田千悦子

広田千悦子 (Chieko Hirota)

日本の行事・歳時記研究家。日本の行事、季節の愉しみ、和のこと、和服、縁起物など、日々の暮らしの中にある“たからもの”を絵と文で綴る。うつわ、ことばの作家。新聞や雑誌などで連載多数。ロングセラーとなった『おうちで楽しむにほんの行事』(技術評論社)、『知っているとうれしいにほんの縁起もの』(徳間書店)、『ほんとうの和の話』(文藝春秋)など、著書は25冊以上。オフィシャルサイトはこちら

 

夏の行事の由来を知れば、楽しみはさらに広がる!

 

夏の行事の由来を知れば、楽しみはさらに広がる!

「夏は各地でお祭りが行われますよね。お神輿を担いだり、山車(だし)を曳いたり。実はその多くは、日本を代表するお祭りである、京都の『祇園祭』から影響を受けているといわれています。そして祇園祭は、無病息災の祈願がその由来。暑い夏は体力が落ちて病気になりやすかったり自然災害などが多くなりますが、それを防ごうとしたのが夏祭りなんです

広田さんいわく、伝統的な行事を楽しむためのポイントは「由来」を知っておくこと。そうすることで、見物するときにも雰囲気を味わうだけでなく、「自分ごと」として感じることができると言います。もちろん、お神輿を担ぐなど、お祭りに実際に参加するときにも、由来や意味を知っておくといっそう楽しみが広がります。

「たとえば、お神輿を担ぐお祭りも多いですよね。お神輿とは神様の乗り物ですが、担いで街中を練り歩くという行為には、みんなに神様の元気を分けるという意味があるんです。お神輿を揺り動かす『魂振り(たまふり)』も、そうすることで元気を高めようとしているんですね。その意味を知っていると、本当に元気が出てきそうでしょう?」

日本の夏の行事の中でも、広田さんが特に好きだというのが、「七夕祭り」。現在は7月7日に行われる年中行事として親しまれていますが、旧暦の本来の7月7日(8月初旬〜中旬)に行う地域も多く、楽しみ方が多彩だということがその理由です。

七夕は、中国の星伝説など多くの由来があります。それがもともとあった日本の祖霊の祭り(お盆)と関連づいたりして、現在、私たちがよく知る行事になったもの。新暦の7月7日は梅雨の時期ですから、せっかくの天の川もあまり目にすることはできませんが、本来の旧暦の7月7日は空が澄み渡って、星がよく見えます。子どもがいれば笹に短冊を飾ったり、子どもが手が離れたら本来の七夕の日(8月初旬〜中旬)に夜空を眺めたり、七夕にちなむ和歌を楽しんだり、暮らしに合わせた楽しみ方ができるんです」

ほかにも、全国各地に日本の夏のお祭りはたくさんあります。由来や意味を知れば、楽しみ方はもっと広がっていきますよ。地元のお祭りはもちろん、日本各地の行事にもぜひ参加してみてはいかがですか?

 

●編集部おすすめ、お出かけしたい日本の代表的な8月の夏祭り

・青森ねぶた祭
TR_nebutaお囃子に合わせた掛け声とともに、歴史上の人物や歌舞伎などを題材とした大きな人形型の「山車燈籠」を曳いて街を練り歩きます。前夜祭と最終日には花火も。眠り流しの行事(禊祓い)が原型と言われています。
場所:青森県青森市
公式ウェブサイト>

・深川八幡祭り(富岡八幡宮例祭)
TR_nebuta江戸の三大祭のひとつ。「水掛け祭」とも呼ばれ、お神輿を担ぐ人たちに沿道の観衆が豪快に水をかけまくります。1642年、江戸幕府の命で、徳川家光の長男・家綱の世継ぎ祝賀を行ったことが起源なのだとか。
場所:東京都江東区
公式ウェブサイト>

・徳島市阿波おどり
TR_nebuta江戸開府より約400年続く、日本の伝統芸能のひとつ「阿波おどり」。全国で開催される中でも、突出した規模と知名度を誇るのがこちら。精霊踊りや念仏踊りが原形であるといわれますが、起源は明らかになっていないそうです。
場所:徳島県徳島市
公式ウェブサイト>

 

花火に盆踊り、海水浴。季節を感じる、夏の楽しみ

 

花火にお盆、海水浴。季節を感じる、夏の楽しみ

夏の行事は、お祭り以外にももちろんたくさんあります。たとえば花火大会は日本の夏の風物詩として欠かせませんし、盆踊り大会は日本のどこでも開催されている、伝統的な行事。それぞれのおすすめの楽しみ方を、広田さんが教えてくれました。

「現在のような夏に花火をする風習は、江戸時代に、現在の東京・両国ではじまったと言われています。疫病や飢饉などで亡くなった方々を慰めるために花火を打ち上げる『鎮魂』の意味があり、迎え火や送り火、灯篭流しなどと同じような意味合いもあるのかもしれません。花火がちょっぴり切ないのは、そのせいかもしれませんね」

ちなみに、広田さんの住む辺りからは、熱海の花火大会の様子が海の向こうに見えるそう。海上に線香花火のように小さく咲く打ち上げ花火を観るのが、広田さんの楽しみ方なのだそうです。

「間近で観る迫力ある打ち上げ花火はもちろん楽しいけれど、遠くの花火も味わい深くておすすめです。場所取りをする必要もありませんしね(笑)。家のベランダでも近所の公園でも、見晴らしのいい場所から遠くの花火が見えるポイントを探して見物するのもいいものですよ」

 

●編集部おすすめ! 8月に行われる日本の花火大会

・長岡まつり 大花火大会
規模の大きさと花火の質は折り紙付き。「米百俵花火・尺玉100連発」では、音楽と光のマリアージュを楽しめます。
場所:新潟県長岡市
公式ウェブサイト>

・全国花火競技大会
選ばれた二十数社が精魂込めて技を競い合います。花火師も力が入る大会で、創造的な新しい花火を多数見られる機会でもあります。
場所:秋田県大曲市
公式ウェブサイト>

・ふくろい遠州の花火
「日本一名曲メロディースターマイン」「大玉100連発豪華対打」など企画性の高い花火が◎。最後を飾る「日本一ジャンボワイドスターマイン」も必見。
場所:静岡県袋井市
公式ウェブサイト>

 

次に教えてくれたのは、全国の多くの地域で毎年行われている盆踊りについて。広田さん、お気に入りの行事があるそうで……。

富山県の『おわら風の盆』という行事です。地域によっては歌謡曲に合わせて楽しく踊ったりするものもありますが、この行事はすごくしっとりとしていて。胡弓などの切ない旋律に合わせて、無言の踊り手たちが街を踊り流すんです。賑やかなものもいいけれど、情緒が感じられるこうした盆踊りもぜひ楽しんでほしいですね」 おわら風の盆ホームページ

最後にうかがったのは、夏のレジャーの代表格「海水浴」について。
ビーチで日焼けしたり、浮き輪でぷかぷか浮いたり、「日本の伝統」というイメージはありませんが、実はここにも”由来”がありました。

海水浴って、『浴』という言葉がついているように、入浴などと同じ医療行為の一環だったといわれています。行楽として一般に浸透したのは、実は昭和に入ってからと、比較的新しいレジャーなんですよ

日本に最初の海水浴場は、1885年に開設された神奈川県大磯町の「大磯海水浴場」。当時は、海水による皮膚の洗浄効果や新陳代謝の促進などが期待されていたのだそうです。実際に海水浴に効果があるかどうかはともかく、現在でもお祭りで海に入ることがあるなど、「清める」という側面は息づいているのかもしれません。

楽しみ方は人それぞれ、日本の夏の行事を味わうには、由来や歴史を押さえつつ、自由に楽しむのが一番かもしれません。さあ、今年の夏、あなたはどんな“日本の夏”を楽しみますか?

 

【今週のトレンドコラムは2回更新!次回は「涼を感じる工夫あれこれ」をご紹介します】

 

【今週更新!きのこで菌活。】

行事も多い夏休みは、健康的で元気に過ごしたいもの! 熱中症にならないためにも、毎日の食事から腸内環境を整えるきのこで菌活が効果的です。
今週の「きのこで菌活。」を読む ▶︎

今おすすめのきのこレシピ

きのこの具だくさん骨太オムレツ

ケガをせずに良いパフォーマンスを発揮するためにも、土台となる骨を丈夫にすることが大切です。きのこに豊富なビタミンDは、骨の主成分であるカルシウムの吸収を高める栄養素のため、チーズやしらすと合わせて骨づくりを助けます。また、卵に豊富なタンパク質は骨の材料となるので、成長期やアスリートの身体づくりにぴったりです。

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